表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【火山転生】目覚めたら火山そのものだった〜マグマの力で最強の聖地を作ったら、麓に国ができていました〜  作者: 尾の長い虎(てぃが)
第一章:建国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
16/70

15.流した魚は気にしない

 洞窟に静寂が戻っていた。


 轟音も、悲鳴もなく、残っているのは、流れるマグマの音だけだった。


 ごう……。

 ごう……。


 赤熱した岩壁が、じりじりと熱を放っている。崩れた天井。溶けた岩盤。戦いの激しさを物語る爪痕が、洞窟中に刻まれていた。


 視界の端に表示が浮かぶ。


《侵入者反応:一》


(……一人)


《火山領域外へ離脱》


 表示を見た瞬間、理解した。


(逃げた……)


 ガレス。


 あの団長だけが、生き残った。


(逃がした、のか)


 あそこまで追い詰めたのに。


 あと少しだったのに。


(くそ……)


 だが、現実は変わらない。


 俺は火山で、動けないし、追えない。


(動けたら追ってたんだけどな)


 少し間を置いて、自分でツッコむ。


(まぁしょうがない。逃した魚は気にしない気にしない)


 だが、あの男は危険だ。


 強いだけじゃない。頭も回る。そして何より、生き延びる力がある。


(絶対、広めるよな……)


 生きている火山のことを。


 ダンジョンコアのことを。


 嫌な予感しかしなかった。


 だが今は、それ以上に優先すべきことがある。


(コロ!!)


 意識をコロへ向ける。


 小さな体が、岩陰でぐったりしていた。


 中心の炎はかすかに揺れているが、明らかに弱い。


 視界に表示が出る。


《眷属損傷:重度》


《魔力供給を推奨》


(重度!?)


 焦りが一気に込み上げた。


(ちょまっ、待ってくれ!!)


 慌てて地脈から魔力を集める。


 熱と魔力をできるだけ優しくコロへ流し込んだ。


(頼む……)


(無事でいてくれ)


 しばらく反応がない。


 数秒のはずなのに、やたら長く感じる。


 やがて。


「ぷ……」


(!)


 炎が、少しだけ大きくなった。


「ぷる……」


 小さな体が震える。


 さらに魔力を流す。


 炎が少しずつ戻っていく。


 そして――


「ぷるっ!」


 コロが跳ねた。


(よかったぁぁぁぁ……!!)


 心の底から安堵した。


 全身から力が抜ける。


(寿命縮んだわ)


(火山に寿命あるのか知らんけど)


 コロがふらふらしながら近づいてくる。


「ぷる……」


 ぴとっ。


 コアにくっついた。


 甘えているようだった。


(無茶しやがって……かわいすぎだろ)


 責める気にはなれなかった。


 コロは命がけで俺を守った。


(ありがとな)


 コロの炎が嬉しそうに揺れた。


「ぷる!」


 その時、視界に新しい表示が浮かぶ。


《防衛成功》


《条件達成》


《眷属再生機能を解放》


(再生?)


 思わず目を見開く。


 さらに。


《守護眷属生成条件を解放》


(守護眷属?)


 初めて見る単語だった。


 表示は続く。


《条件:火竜核の形成》


 数秒、思考が止まる。


(……火竜?)


 火竜。


 ドラゴン。


 その単語が持つ破壊力は、男心に刺さりすぎる。


(ちょっと待て)


(期待に胸が広がりんぐ)


 さっきまでの重苦しさが、一瞬だけ吹き飛ぶ。


 いや、待て。


 落ち着け。


(でも火竜ってあの火竜だよな?)


(空飛んでブレス吐くやつ?)


 コロが元気に跳ねる。


「ぷる!」


 なぜか誇らしげだった。


(お前、知ってるのか?)


「ぷる!」


(うーん…かわいい)


 なんだか未来が少しだけ見えた気がした。


 守る力が増える。


 この山はまだ強くなれる。


 ◇ ◇ ◇


 少女は夢を見ていた。


 燃えるような赤い空。


 紅蓮の炎。


 そして、一人の青年。


 赤い髪。炎の瞳。


 その背後には巨大な火竜がいた。


 青年が、静かにこちらを見る。


『…!』


 そこで、少女は目を覚ました。


「……っ」


 心臓が激しく脈打ち額に汗が滲む。


 荒い息を整えながら、窓の外を見る。


 夜の向こう。


 遠くに見える巨大火山が、赤く輝いていた。


 少女の瞳が揺れる。


「……山が」


 震える声が漏れる。


「呼んでる……?」


 白い月明かりの下、少女は火山を見つめていた。


 この出会いが自分の運命を変えることを、まだ知らない。


 そして、災害と恐れられるその山が、やがて世界を変える神話の中心になることを。

読んでいただきありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

thread、Xのフォローしていただけると喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ