↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【火山転生】目覚めたら火山そのものだった〜マグマの力で最強の聖地を作ったら、麓に国ができていました〜  作者: 尾の長い虎(てぃが)
第一章:建国編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
12/70

11. 迎撃

 ドンッッ――!!


 洞窟全体が大きく揺れた。


 地面が震え、壁が軋み、天井から砂や小石がぱらぱらと落ちてくる。洞窟内の温度が一気に上昇し、空気そのものが熱を帯びていくのが分かった。壁に埋まった赤い鉱石も一斉に赤く輝き始め、まるで山そのものが鼓動しているように明滅している。


「な、なんだ!?」

「揺れてるぞ!」


 盗賊たちの顔色が変わる。


《火山領域・防衛機構起動》


(そんな機能あったんだ!?)


 初めて見る表示だった。


 山全体を巡る熱が、一つの意思を持ったように動き始める。どこに熱が集まり、どこから噴き出すのか、全部感覚として伝わってきた。


(うわ……)


 俺がやっている。


 いや、違う。山そのものが俺の覚悟に応えて、本気で侵入者を排除しようとしていた。


 ガレスが低く唸る。


「総員、撤退準備」


 部下たちが息を呑んだ。


「団長!?」

「帰るのか!?」


 ガレスは洞窟全体を鋭く睨みつけていた。壁、地面、天井、その全てを高速で確認している。異常の兆候を一つも見逃さないために。


「ここはまずい」


 低い声だった。


「仲間を見つけられなくても、ここにいれば全員死ぬ」


 空気が凍りつく。


 部下たちにも分かった。団長が、本気で危険だと判断したのだと。


 ガレスは歯を食いしばる。本当は戻りたくない。消えた仲間を置いていきたくない。ここで引けば、死んだ仲間たちの命は無駄になる。


 それでも、長年の経験が叫んでいた。


(ここで全滅すれば終わる)


 この山にいてはいけない。これは人が挑んでいい相手じゃない。


「全員生きて帰るぞ!!」


 怒声が洞窟に響く。


「走れ!!」


 その瞬間だった。


 ごうっ!!


 右側の壁が爆ぜた。


 亀裂の奥から灼熱のマグマが激流となって噴き出す。赤く流動する液体が岩肌を溶かしながら一気に洞窟へ流れ込んだ。


「うわあああっ!!」


 二人が巻き込まれた。


 一瞬だった。悲鳴すら最後まで続かなかった。鎧が焼け、肉が灼け、命が呑み込まれる。


《侵入者の生命反応消失:二》


(……っ)


 また二人。


 残り七人。


 だが、終わらない。


 天井に無数の亀裂が走った。細い線が一瞬で広がり、嫌な音が連鎖する。


 ぱきっ。

 ぱきぱきっ。


「まだ来るぞ!!」


 ガレスが叫んだ。


 直後。


 どごぉぉん!!


 巨大な岩塊が降り注いだ。


「散れ!!」


 盗賊たちが飛び退く。だが一人、足がもつれた。


「しまっ――」


 間に合わない。


 その瞬間、ガレスが動いた。


 一歩踏み込む。


 地面を砕くような踏み込みだった。大柄な体からは想像できない速度で距離を詰める。両手で握った大剣が唸りを上げた。


 轟ッ!!


 振り抜かれた一撃が、落下してきた巨大岩を正面から叩き砕く。


 硬い岩がまるで脆い氷のように砕け散った。破片が周囲へ弾け飛び、激しい衝撃音が洞窟に響く。


「走れ!!」


 男は転がるように退避した。


 間一髪だった。


(強っ……!)


 思わず息を呑む。


 なんだ今の。


 人間の力か?


 だが次の瞬間、左壁から超高温の熱風が噴き出した。


 至近距離。


 避けきれない。


 ガレスの目が鋭く細まる。瞬時に判断した。


 避けられないなら、防ぐ。


 大剣を盾のように構える。


 ごおおおおっ!!


 灼熱が直撃した。


 熱波が洞窟を薙ぎ払う。岩肌すら赤く染まり、空気が歪む。部下たちが顔を庇いながら悲鳴を上げた。


「団長!!」


 熱風が収まる。


 そこにいたガレスは片膝をついていた。


 大剣の刀身は赤熱し、金属がじりじりと焼ける音を立てている。握る手から煙が上がっていた。服の袖は焼け焦げ、肩口から胸元にかけて黒く焦げている。露出した腕の皮膚は赤く爛れ、熱傷の跡が痛々しく浮かび上がっていた。


 普通なら、立てない。


 それでも。


 ガレスは荒い息を吐きながら立ち上がった。


「……止まるな」


 低い声だった。


「走れ」


 その姿に、部下たちの顔が引き締まる。


(なんなんだ、この男……)


 強い。


 強すぎる。


 だがそれ以上に、絶対に仲間を見捨てない。その執念が恐ろしかった。


 ガレスが火山を睨む。


 鋭い目に恐怖はない。


 あるのは確信だった。


「これは災害だ」


 低く呟く。


 次いで、静かに言った。


「……いや、違う。ただの災害じゃねぇ」


 大剣を握る手に力がこもる。


「意思がある」


(……っ)


 見抜かれた。


 ガレスは確信していた。この山は生きている。そして、自分たちを殺そうとしている。


 コロが震える。


「ぷる……」


 俺も息を呑んだ。


 まずい。


 この男は、想像以上に危険だ。


 その時、ガレスの視線が洞窟のさらに奥へ向いた。


 赤く脈打つ光。


 俺のコアがある方向だった。


(まずい)


 背筋が凍った気がした。


 この男、気づく。

読んでいただきありがとうございます。


面白いと思っていただけたら、ブックマークや評価をいただけると励みになります。

thread、Xのフォローしていただけると喜びます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。