↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者と寡夫のエルフ   作者: たこ足配線
中年エルフの旅
30/41

ホーンラビットの無傷狩猟

アレイは小動物の動く音が聞こえてきた方に、ゆっくりと音を立てずに近づく


(やっぱりホーンラビットだ)


アレイは小動物の正体がホーンラビットだと確認できる距離まで近づくと、次はそのホーンラビットの動き方を見る


(予想通り普通の個体だな)


そのホーンラビットの目の色は体に遮られよく見えないが、移動速度や跳躍力から、通常個体だと判断する。もし、魔物個体だったらアレイの背丈くらいは余裕で跳躍する。だから、近づくまでもなく姿が確認できるはずで、その様子が確認できなかったため、通常個体であるとアレイは予測していた

狩猟と言っても食べるための狩猟ではなく、調査個体確保のための狩猟なので損傷が少ないようにしなければならない

だからアレイはホーンラビットを眠らせてから、氷でそのまま保存する方法を試みることに決める

眠らせることは、生命魔法を使えば容易に行える

動物は活動をする度に休養が必要になる。それは身体が活動によって生じた疲れを回復させたいからだ。そして生命魔法は、他者に施す場合、基本的に治癒の効果が基本であり、それは、他者に対する生命魔法は対象に触れるか、対象の願望と使用者の意図が合うことによって発動するからである

したがって、それらを逆手に取れば、睡眠という状態異常を引き起こすことができるのだ

ただ、それができるのは本能と理性の天秤が本能に大きく偏っている存在のみで、尚且つそういう存在の警戒心が然程高くない時に限られる。そのため、人間や魔族には効果がない場合が多い

今回は行動原理が大方本能であるホーンラビットだから、容易に眠らせることができる

しかし、アレイの高い生命魔法熟練度でも今のアレイとホーンラビットの距離は生命魔法の効果がホーンラビットには届かない距離だ


そのためアレイは気付かれないように踵から足を慎重に踏み下ろし、ほぼ無音でホーンラビットに近づく.。それでも、ホーンラビットは耳の良い生き物であるし、ほぼ本能で生きている生き物であるため、アレイの接近は気づかれてしまう

アレイの存在に気がついたホーンラビットは草を食べるのを止め、慌ててアレイの接近方向と反対方向に跳び逃げる

だがアレイは生命魔法で身体強化をし、開いた距離を一瞬で詰める

そしてアレイは、一瞬で距離を詰められたことに慌ててふためくホーンラビットに対して、生命魔法を発動させる


生命魔法の対象となったホーンラビットは、警戒心と僅かな理性で強制的休養に抗うが、瞼が徐々に落ちていく。そして僅かな時間を経て穏やかな鼻息を立て始める

アレイは、気持ちよさそうに眠っているホーンラビットに対する感謝と謝罪を念じ、そして自分の無責任への怒りを心の中で感じながら、氷魔法を発動させる


ホーンラビットの体は質の悪い安物の剣を破壊する程の硬さに凍り、それは完全なる生命活動の停止を感じさせる

アレイは冷気を放つホーンラビットをカバンにしまい、魔物個体を探しに行く

魔物個体は少し前までは通常個体より数が少なく、貴重であったが、最近では通常個体よりも多く見かけるようになった

そのため、魔物個体を探すのは容易で、実は通常個体が魔物個体よりも早く見つかったのはかなり幸運であった

その証拠に、隆起している地面の上に乗り、周りを見渡してみると、白色の動物がピョンピョンと高く跳び上がっている。それがまさにホーンラビットの魔物個体で、見つけるのはかなり容易だ

しかし、狩猟となるとそう簡単にはいかない。魔物個体の身体能力は高く、粗野な暴力は簡単に避けられてしまう。そして、生命魔法で眠らせるにも五感や警戒心の高さに上手くいかない

それならどうすればいいか


その答えは魔物個体のホーンラビットの習性にある。魔物個体のホーンラビットは通常個体と変わらず基本的には草食だが、虫の死骸があるとそれを好んで食べる

だから、虫の死骸を集めてそれを餌にする。そして、その中に安楽死させれる致死性の毒を混ぜて、その毒餌を食べさせて殺す

安楽的致死性を持つ毒を手に入れることは難関であるように思えるが、しかしその毒を得ることは簡単だ。なぜなら、必要な物はアンレルというどこにでも生えている薬草にエルフの血を混ぜるだけだからだ(人間が作ろうとすると大変苦労するが)。しかし、実際の所難しいのは虫の死骸をある程度集める事だ。生き物は死んだら分解されて地に還るが、虫は死んでから地に還るまでの速度が早く、意外と探しても見つからない

そのことを熟知しているアレイは、魔物個体のホーンラビットを狩猟すると決めた時から、虫の死骸を見つけたら集めていた。そのため、今のアレイの手元には数十匹の小さな虫の死骸が入ったビンがある

ビンの栓を抜き、中の死骸を地面に出す

それから、エンビン大草原で採集したアンレルを家から持ってきたすり鉢で潰す。そして、アレイは鞘に収まっている剣を引き抜き、その剣先を指に当てて血を出し、その血をすり鉢に垂らす

血を垂らした瞬間に潰れたアンレルはみるみると毒々しい赤紫へと変色する。アレイはその物体を地面に置かれた虫の死骸達の中心に落とし、それが均等になるように混ぜて、山の形に盛り上げる。その餌には鼻を衝く強烈な匂いが伴うが、それは人型の種族にだけのようでホーンラビットには無関係だ


(よし、これであとは待つだけだな)








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。