↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者と寡夫のエルフ   作者: たこ足配線
中年エルフの旅
29/43

ナーシャとの出会い

(知力が発達した種族が仲間を助けるために多種族の命を奪うという行為は自然の摂理か。だからもし女の言っていることがが本当なら、私の中でも「不純な動機」ではないな)


「それは本当ですか?もし本当なら、何故同胞を救うためにビカリヤが必要なのか、詳しくお聞かせ願えませんか?」


そのアレイの探るような問いかけに、女は一瞬、いかにも鬱陶しそうな顔をするが、すぐに何か思いついたような顔をし、女の顔に悪戯っ子のような笑みが浮かぶ


「分かりました。それであなたの邪魔が入らないのなら喜んで話します」


「もし納得の理由であれば一切邪魔をしないと誓いましょう」


女は自分の挑発に顔色一つ変えない若いエルフの様子に、背中に冷や汗をかくが、そんな自分を認める前になぜビカリヤが必要なのか喋りだす


「ビカリヤが必要なのは、父親の病気を治すためです。父親は労咳で、私の居住地域での古くからの言い伝えで、その病気はビカリヤを丸々一匹肛門に挿入し、一日その状態で放置し、そして一日後にそのビカリヤをすり潰して飲みます。それで治ります」


アレイは途中、大の大人が虫を肛門に入れているのを想像し、笑いをこらえることに必死になるが、女の話を聞き終わると、そんな話を年頃の娘が即興で思いつくはずがないと思案し、女の話が嘘でないと確信する


「なるほど。そうだったんですね。分かりました。あなたがビカリヤを自然的な理由で追っていることを信じましょう」


アレイは声を震わせながら言う。女はそんなアレイの様子に、自分の話に堅物なエルフが憐れみを感じてくれたと勘違いする


「そうですか。ありがとうございます。それで、、、もし良かったら私の父親を救うのに協力してくれませんか?」


アレイは少し考え、ビカリヤとこのままだと可哀想な事になってしまう父親のために協力することにする


「、、、いいですよ」


アレイの返事に女は作戦が上手く行ったことに歓喜する


(自然をよく知るエルフが協力してくれたらビカリヤも簡単に捕まるでしょ)


「本当ですか!!ありがとうございます。私はナーシャと言います。よろしく」


「私はアレイです。よろしくお願いします」


「じゃあ、早速ビカリヤを捕まえに行きましょう」


「いや、ナーシャさんのお父さんの元へ向かいます」


「あなたは何を言っているの?ビカリヤ無しで行っても意味が無いの。それともあなたに治せるっていうの?」


ナーシャは再びビカリヤ捕獲に奮起した次の瞬間に水を差され、エルフに対して苛立ちが湧いてくる。しかし、若きエルフの次の言葉に呆気にとられる


「ええ。治せますよ」


「えぇ?」


アレイの淀みの無い返答に「もしかしたら私をからかっているのではないか?」という疑いも出てこない


「治せるって、あなた本当に言っているの?」


「はい。本当です。じゃあ早速証明に向かいましょうか。ポッピッピ調査隊の皆さん、申し訳ありませんがあとお願いします。報酬は少な目で構いませんので」


そう言って、アレイはナーシャの案内でナーシャの父親の下へ向かう




これがアレイとナーシャの出会いで、そこからはまた別の話である

アレイにとって、ビカリヤがアレイとナーシャの恋のキューピッドであるのだ

だから、そんな存在を絶滅させるわけにはいかないのである


ホーンラビットは角を生やした兎の準魔物で、エンビン大草原の至る所に生息している。なぜホーンラビットが「準」魔物などと言われるかというと、魔石が取れる個体と取れない個体が存在するからである。そのような個体差が生じる理由はいまだ解明されていない。それでも、魔石を保有する個体と保有しない個体の見分け方は知られており、それはホーンラビットの目を見ればよい。もし、魔石を保有しているホーンラビットならば紅色の目をしており、保有していない個体は単に黒い目をしている

しかし、それは筆記試験で見分けなければならない時の話だ。実際、実物のホーンラビットを発見したならば、いちいち目を観察しなくても、ホーンラビットの動きを見れば魔物個体か通常個体か一目瞭然で分かる。なぜなら、魔物個体の身体能力は通常個体よりもずば抜けて高いからである

そのため、依頼で「ホーンラビットの狩猟」とあれば、冒険者は通常個体をこぞって狩る

アレイも「ホーンラビット二頭の狩猟」という依頼を受けた時、初めのうちは二頭の通常個体を狩猟しようと考えていた。でも、調査に使うなら通常個体と魔物個体の両方いた方が良いのでは?という考えに至り、通常個体と魔物個体の両方を狩ることに決めた

しばらく膝の高さ程の草を踏みつけながら歩いていると、地面が所々抉れた小動物が跳ね回った跡を見つけた

アレイはその跡を見てすぐにホーンラビットのものであると確信する


(まだ近くにいるはずだ)


アレイは折れた草が再起しようとしているのを見て、ホーンラビットはまだ遠くへ行っていないと推測する

そして、目を閉じ、呼吸を殺し、耳を澄ませているとガサゴソと草と小動物がぶつかる音が少し先から聞こえて来る
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。