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転生者と寡夫のエルフ   作者: たこ足配線
中年エルフの旅
26/42

名乗り

「お前生き残るあんのか?」、その言葉の返答にアレイは困る

確かに、周りにいる冒険者達と比べたら自分の生への執念は圧倒的に劣るであろう。だが、簡単に死ぬ気はない。もし簡単に死んでしまえば、ナーシャにあの世で、当分口を聞いてもらえないだろうからだ

そして、どちらを言ったにせよ、その言葉を投げかけてきた主が次にアレイに発する言葉は、冒険者の心得、もしくはメンタリティについてのお説教だろう


アレイが返答に困っていると、「待ちわびた」とでも言わんばかりに予想通りのお説教が飛んできた


「お前、そんなんじゃ直ぐに死ぬぞ。冒険者をするんだったらもっと生に貪欲であれ」


(やっぱりか。適当に返事して、さっさとここから出よ)


「忠告ありがとうございます。精一杯頑張ります。では失礼します」


アレイは足早に冒険者ギルドを後にすることを妄想するが、そういえば道が塞がれていることを思い出す


「新人、まだ帰らせないぞ」


「あの~どうしたら帰らせて貰えますか?」


そのアレイの言葉に、先ほどからアレイに声を掛けている、ギルドの二回に腕を組んで佇む白髪混じりの男は呆れたような顔をする


「新しい共同体に入ったらまずは挨拶だろ」


その言葉にアレイは「はっ」とする


(そうだった。冒険者の拠点、ギルドでの仲間意識はかなり高いんだった。それなら挨拶が必要だ)


ギルド登録している冒険者内で仲間意識が高いのは、生存可能性を高める働きがあるからだ


「名乗り遅れて、申し訳ございません。あ、帽子って取った方がいいですか?」


「そんなことはしなくていい。各々事情があるだろうしな」


アレイはその答えがあることを見越していた


「私はアレイと申します。これからよろしくお願いします」


アレイの挨拶に冒険者達は満足げに頷く。そして無秩序に各々名乗り始める


「俺はレックス。よろしく頼む」、「僕はカイル。よろしくね」、「うちはリンダ。よろしく」、、、、、、、、、、、、、、、

各々が名前を言い終わり、静かになったタイミングで先程の白髪混じりのここのドン的な存在の男が自己紹介をする


「俺はマクロだ。よろしくな」


そう言って男はニヤリと笑い、体を翻し、二階部分にもある円机に戻っていく


アレイは出口の方に体を向けるが、先ほどは散々アレイに興味津々だった冒険者連中も既にアレイへの興味を無くしているし、流れていた気まずい空気はほとんど無くなっており、早く帰る必要性が無くなったため依頼書を見ていくことにする

受付の右隣のボードに目玉依頼が載っているが、そんなところに7級の依頼なんて載っている訳もなく、その隣にある台に置いてある階級ごとにまとめられた依頼書の中から探す


(どれどれ、パンチラ草の採取、ホーンラビット2頭の狩猟、、、、7級でも色々あるな」


アレイは二つの穴に紐を通す形で綺麗にまとめられた依頼書の一覧をパラパラと見ていきながら、容易に達成できそうな五つの依頼書をそこからちぎる


(フライビーズの回収、ロックリワームの採集、家に巣食ったダ・ビーの駆除、チーノ君の遊び相手、ホーンラビット2頭の狩猟。よしこれなら今日中に達成できそうだ。早く階級を上げて高難易度な依頼を受けれるようにしないと)


「これらの依頼を受けたいんですが」


アレイは早速受付に五つの依頼書を持っていき(受付嬢は依頼書の多さに少し驚いた顔をしていたが、何かを言うわけではなかった)、開始の手続きをする。手続きと言っても誰がその依頼を受けたのか依頼書の下の欄に受付嬢の前で署名するだけだ


五つの依頼書に署名をしたアレイは、受付にある自由に使っていい紙に依頼内容を一応メモしてギルドを立ち去る。メモをしたのは依頼書はギルドで回収されていまうためだ


(絡まれなくて良かった。いきなり五つ受けるのは出しゃばり過ぎだ、とかってあのマクロっていう人に言われるかと思ったけど、私が思うよりもよくある事なのかもしれない。あと、エルフってバレなくて良かった~)





煌球が傾き始めた刻、アレイはまず巣食ったダ・ビーの駆除に向かう。ダ・ビーが棲みついてしまった家は冒険者ギルドから歩いて15分の所にあった

ダ・ビーは人間を噛む、刺すなどの危害はほとんど与えない。ただ、翅の音が異常なまでにうるさく(依頼主の家に到着する3分前には音が聞こえていた)、生活に支障をきたす程だ。普通はこんな家の密集地帯に巣を作るなんてことはないのだが、アレイは棲みついてしまった家の様子を見てすぐにその理由が分かった


(すごい量の花だな。ダ・ビーが巣食うわけだ)


その花畑のど真ん中にアレイの身長ほどのサイズの巨大な巣が探すまでもなく目に入ってきた

アレイは早速その家の依頼主に呼びかける


「あブーーーーーーーンせブーーーーーンきブーーーーーーーン」


アレイの声はほとんどダ・ビーの羽音に遮られ、依頼主に届く気配が無い


(仕方ない。駆除してしまってから声を掛けるか)


危害を加える事がほとんど無いダ・ビーがなぜ、わざわざ依頼料を出してまで冒険者に依頼されるかというと、それはダ・ビーの駆除方法にあった

その駆除方法はダ・ビーの羽音よりも大きな肉声を出すことだ。どうやらダ・ビーにとって人間の声は大きなストレスらしい

しかし、それは普通の人間では到底不可能で、それが可能なのは特定の獣族と全器官が筋肉で出来ている脳筋くらいだ。そのため獣族や脳筋が多く所属する冒険者ギルドに依頼を出すし、もしお金を渋って依頼を出さないと近隣住民からの反感を買う。それは後にダ・ビーの羽音よりも厄介なものとなる


それで、早速アレイは大声を出すために息を肺いっぱいに吸い、、、

ということをするわけではなかった








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