4日目って何もしたくないよね
俺はマナ切れを起こし、その場にぶっ倒れる。体力切れではなくマナ切れと判断した理由は、インフルエンザのような症状が今絶賛、俺を襲っているからである
「シュン!!!大丈夫か!?」
シュンの走る気配が途絶えたのを感じ取ったマッシュは慌てて振り返り、そしてシュンが倒れ伏している状況を見て顔を真っ青にし、慌ててシュンのもとに駆け寄る
「父、、さん。マナ、、、切れ、、」
俺は精一杯顔を上げ、絞り出すようにマッシュに何が起こっているか説明する
「あ、なんだ、、、良かった~マナ切れか~。いつもマナ切れで倒れるなんて事はないから何かの病気なんじゃないかって心配したんだぞ」
「心配かけてごめん」と、言いたかったが、声を発する気力も残っていないので弱弱しく頷くことしか出来なかった
そんな様子の俺を見てマッシュは、すぐさま俺をおんぶし、寝室まで連れて行ってくれ、横にしてくれた
それからメアリの看病を受け、三日が経過し、全快した
この三日間、俺は動くことがままならない状態であったので、考えることしかできなかった。まあ、その内容も大体はしょうもない物ばかりなのだが(勇者の力を手に入れ無双し、この世界の美女を総なめする。とか)、だけど、四つだけ有意義な内容があった
その内容としてはまず、ミネラルの事だ。
俺はこの世界の人の事を全然知らないのだが、知っている人全員が何の健康問題も抱えていないように見える
それで、このままの食事でミネラルが足りないように思えても、みんな健康だし、全く問題ないのでは?
という結論に達した。石鹸の時もそうだったが、俺がこの世界で心配する事柄は大体、「みんな健康だし大丈夫か」という結論に至って、心配事は解消される
それから次に変な夢の事だが、この三日間発熱し倦怠感や頭痛を感じていて、インフルエンザの時に悪夢を見がちなように、部位が欠損していく悪夢にうなされても良いはずだが。しかし、そんな夢を見ることなんて無かったため、もう心配する必要なんてないと結論付けた
そして三つ目だが、魔法の同時使用の事だ
今回俺は、肝臓当たりのマナの流れの停滞を解消し、生命魔法と水魔法を同時に使うことに成功したわけだが、果たしてこのやり方で熱風を出すことはできるのだろうか?
その疑問の自分なりの答えとしては「ノー」だ
その理由は単純で、ただマナの流れを確保しただけで、詠唱とイメージの問題が解決していないからだ
そこで四つ目だが、なんと自分の中で「ストン」と腑に落ちるイメージは思いついたのだ
あ、でもどちらかというと「思いついた」というより「思い出した」という方が正しいかもしれない
それは俺があの奇妙な夢の事を考えていた時の事だった
二回目の夢の中で、俺は火柱が立つ空間で強烈な風を受けていた。それで、その風は火柱による上昇気流の影響で、その周りの空間が低気圧になり発生したのではないか?という考えに至った。(ちなみに、このアイデアのソースはお天気お姉さんの朝のときめいてしまうお天気解説だ)
そして、それを魔法を使う際にイメージすれば、火と風の複合魔法、すなわち熱風が使えるのでは?というイメージ問題の解決に繋がりそうな一つのアイデアを思い付いたのだ。それを思い付いた時、早速実践してみたくて仕方がなかったが、流石に体が動く事を拒否した
それでも、冷静になって考えてみると詠唱を思いついていないため、イメージが正しくても無理だろう
詠唱は三日間では思いつかなかったので、また試行錯誤しなくてはならない
(とりあえず、ご飯食べよ)
「シュン、もう大丈夫なの?」
俺が食卓に着くやいなやメアリが食事を運びながら心配そうに聞いてくる
「うん。もう大丈夫だよ」
「本当に?」
まだ安心できないのかメアリは心配そうな顔を解かない
「本当にもう大丈夫だよ!」
俺は体の内から溢れる気力で全く心配ないが無いことを伝える
「そう。良かったわ~」
ようやくメアリは顔を綻ばせ食卓に着く
「それにしても、どうして急にマナ切れなんて起こしたんだろうな?」
マッシュは、慣れればマナ切れなんて起こさない生命魔法で、だいぶ慣れてきた俺がマナ切れを起こした理由が気になるようだ
「水魔法を使ったからだよ」
「え~!?」「水魔法!?」
メアリもマッシュも目を丸々と開け、驚きの声を上げる。そういえば結局、水魔法が使えるようになったことを話してなかったな
「もしかして、あのおもらしって水魔法によるものだったのか?」
(ん??おもらし???
あ~水出して直ぐに倒れたせいで、出した水が股間辺りに染み込んだのか。そうだよね?そうであって!!)
「そ、そうだよ」
恥ずかしいことに、前世の小さい頃お漏らしを繰り返してきた俺は、いまいち自身が持てず少しだけ返答に詰まる
そんな俺の様子など目に入らないほど驚いている両親は、俺を口々に褒める
「シュン、本当にすごいわね!」
「あぁ。魔法を同時に使える奴なんて、村の中にもほとんどいないぞ。やっぱり天才だ!!」
やはり褒められることは嬉しいが、やはり心のどこかで怯えている自分もいる
「ありがとう。父さん、母さん。」
その後の朝食はマッシュとメアリがひたすら俺をほめ続けて終わった。もう途中から、嬉しさは消え失せ、気恥ずかしさが俺の心の全てを占めていた
両親をガッカリさせないためにも「これからもっと頑張らなくてはいけない」という事実に少し疲弊を感じるが、まあ気楽にいこう。
俺が気楽である証拠としては、今日は体に一切の不調を感じず、熱風魔法に挑戦してもよかったが詠唱も思いつかないし、気分じゃなかったので少し筋トレだけしてダラダラと過ごした。
あ、これは気楽じゃなくて怠惰か。俺は気づいてしまった正体を忘れるために眠りにつく
でも明日は良い詠唱が思いつかなくても、行き当たりばったりでやってみよう
というか結局また勝てなかったな、、、
、、
、
zzz
シュンはこの日から、夢の中で光が消失した。しかし、シュンはそのことに気づくことが出来なかった




