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平凡転生者と寡夫のエルフ   作者: たこ足配線
ありがたい不自由
19/25

本気の狩りごっこ2

俺はようやく勝ち筋が見えたことに安心感を覚え、疲れていた肉体が回復していく錯覚を起こす。でもその錯覚は、俺の心の回復には貢献したようだ。いや、心が回復したから肉体が回復したように思えたのか

因果を逆にしてしまう事は人間良くあることだ

今は、そんな言い訳は置いておいて、、、


(よし。あとは単純作業だ)


俺はマッシュを先ほどと同じコースに、誘導し続けるという単純作業に取り掛かる。


そうしてしばらく時間が経過したが、、、


(ダメだ~全然うまくいかん)


何度も誘導を試みているが、マッシュが思った方向に進んでくれない。きっと、マッシュはあの付近に罠が仕掛けてあることと、それを避けて進むと俺に距離を詰められることが分かっているんだ

しかし、そちらに行くのを避けてくれているため、逃げることのできる空間が縮小し、逃げるコースが予測しやすくなり、当初の予定より早いペースで追いつけてきている。


ここで、俺には三つの選択肢がある

まず一つ目は、このまま、棒を振ったら当たる距離まで追い詰めるという選択肢だ。たしかに、このまま追いかけ続けられたら間違えなくマッシュを「狩る」ことが出来るだろう。でもそれは、「追いかけ続けられたら」の話だ。おそらく、完全に追いつくまであと30分くらいは掛かってしまうだろう。それまでに俺の体力は限界を迎えてしまう。(距離が縮まっていくペースが上昇したのにも関わらず、これなのだから、たとえマッシュが罠の方へ走って行ってくれたとしても罠に掛かる以外、俺の勝機は薄かったのだ)

そこで二つ目の選択肢だ。それは、体力が限界を迎えるまで追いかけ続け、「もう無理!」ってなったところで棒をマッシュ目がけて投げる、というものだ。これは最後の瞬間の一発勝負になってしまうから、なるべくなら三つ目の選択肢を実行した上で行いたい。

それでその三つ目だが、正直に言って、多分成功しないだろう。なぜなら、俺のしたいことはそこら中に水をばら撒くことなのだが、それは俺が最近ずっと苦戦している「魔法を同時に使う」ということだからだ。熱風を出そうとし続けて思うことだが、


(きっとマナの扱い方にもコツがいるんじゃないか?)


どれだけ詠唱とイメージを正しく行っても複合魔法は成功する気がしない。

だから、俺は二つ目の「出来るだけ近くまで走って投擲」を主軸にしつつ、三つ目の「水をばら撒いてマッシュの機動力を奪おう」を狙っていくことにする


それで、マッシュだが、今にも鼻歌を歌いだしそうな様子でこっちを見てくる。全く憎たらしい。


(やっぱり追いつくのは厳しそうだな)


俺は一つ目の選択肢を完全に諦め、水魔法を使おうと試みる


「天より授かりし、、奇跡の液体は、、、変幻自在にその姿を変え、、、、我らを魅了する。我、、水を求めるものなり。、、、我が思いに応え、水よ、、顕現せよ」


俺はイメージと伴に息も絶え絶えの詠唱をし、水が発生してくれるのを待つ


、、、、


だが、俺の予想通りどれだけ待っても(待っているという時点で失敗なのだが、ちょっと期待してしまう)水は発生しない。こういう望んでいない予想が当たってしまうのは本当に止めてほしい


その後、マッシュのことを追いかけ続けながら、何度も水魔法を試してみるが全く成功しない

もちろん闇雲にイメージと詠唱を繰り返しているわけではない。例えば、滅茶苦茶我慢して詠唱を息を切らさずにしてみたり(マジで死ぬかと思った)、いつもはマナの処理を意識していないが、あえて意識して水魔法を試してみたりしてみたが、どれもダメだった

しかし、マナの処理(流れや繋がり)を意識しながらやってみた時に、ほんの少しの違いを感じた。その違いは間違い探しのラスト1個のあの感じと酷似していて、違いがあるのは分かるけれど一向に分からない。でも、その違いは俺に一縷の希望を見せてくれる

どうやら、俺は間違い探しをする必要がありそうだ。その間違い探しをするためには、やはりマナの処理をイメージすることを繰り返すしかない


それから、俺は何十回と詠唱、イメージ、マナ処理を繰り返したが、これっぽっちも違いに気づくことが出来なかった


(あ~もう全然わからん!というか、もう走るのも限界だ)


ついに俺は体力の限界に到達する


ラスト一回水魔法を試したら、棒を投げよう


俺は水魔法が成功しても何の効果も無いことを理解しながら、ラスト一回の試みをする。まあ、ただの自己満だ


「天より授かりし、、、奇跡の液体は、、、、、、、変幻自在にその姿を変え、、、、我らを魅了する。我、、水を求めるものなり。、、、、、、我が思いに応え、水よ、、、、、、顕現せよ」


この時、シュンの体は限界まで体力を使用したせいか、体中があらゆるストレスに対し過剰に反応するようになっていた。人間にとって普段と異なるというのは、想像以上に大きなストレスであり、それに過敏になっているシュンの体がそれに気が付かない訳がなかった


!!!


(分かった!!!)


俺はついに感じていた「違い」に気づくことに成功した。やはり、その感動は昔おばあちゃんとやった定期的に届く雑誌の付録の間違い探しのラスト一個を見つけた時と同じだった

そして、その「違い」だが右腹部、すなわち肝臓付近を流れるマナの流れが詠唱とイメージをすると少し変化しているのだ。その流れは二つに分流し、一つはいつもの流れだがもう一つは少し流れ、そして滞っているようだ


(この停滞しているマナを上手く巡らせることが出来たら、二つの魔法が同時に使えるんじゃないか?)


自分の体力が限界を迎えていることなど感じないほど興奮している俺は、そんな仮説を立て、実行してみる


(このマナの詰まりを無理やり動かして、、、)


俺は停滞しているマナの流れを促すために、奇妙に体くねくねし(走りながらその動きをしているため、見ている側からしたら無茶苦茶キモイだろう)、手のひらまで移動させる

その瞬間、手のひら手前から少量だが「ぽこっ」と水が発生する


(よおよよよよっしゃあああ!!!)

「ううううぉおお!!」


俺は心の中でも声でも喜びを爆発させ、そしてぶっ倒れる


(あ、、、マナ切れだ)










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