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転生者と寡夫のエルフ   作者: たこ足配線
ありがたい不自由
17/27

連続

俺は、玄武岩質の岩が一面に広がっているだけで、数百メートル先に見える火の柱以外何も無い空間に、裸の状態で立っていた。幸いなことに勃ってはいないようだ(6歳になって少しずつ性欲というものが発現し始めてきていたので不安だったのだ。まあ、誰かが見ているわけでもないため、幸いも何もないが)。しばらくの間、手持ち無沙汰に突っ立っていたが、ふと、奥に見える火柱が猛烈に気になってきたのでそれに向かって歩くことにした


しばらく歩き続けたところである違和感を覚えた

しかし、その違和感の正体に辿り着けないまま火柱に到着してしまった。その火柱は永遠に伸び続けていて、太さは人30人を集めた分くらいだろうか。その周囲は熱く、風がその火柱に向かって吹き荒れていた。「ビュー」という音はなく、静寂を引き連れて吹き荒れていた

そこで、俺は先ほど感じた違和感の正体に気が付いた。


(あれ?音がないな)


そう、音が無いのだ。俺が違和感を感じたのは、ふつう裸足で歩くと「ペタペタ」という音が響くはずだが、それが無かったからだろう

そして、音が無い原因として俺の中で二つの理由が思い浮かんだ。まず音を受け取る器官である耳が無いこと。次に音を伝える媒体である空気が無いことだ

風が吹き荒れているということは、空気があるという事なので耳が無いということが確定した。

まあ、そんなことを考える前に、音が無いことに気づいた時点で耳が本来ある場所を触っていたので、分かっていたわけだが、耳が無くなっていることに対する動揺を鎮めるために、ちょっとイキって「推論」という行為をしてみたわけだ


(え、、、耳無いんだけど)


二重に確認が取れたので、俺の中から絶望の声が聞こえてくる

そして、落ち着かなくて、訳もなく頭を触ったら、いつも優しく手を受け止めてくれるフサフサとした物体が無くなっていた。


!。!、?・


そして、俺は心が乱れに乱れまくった状態で目を覚ました

今回は昨日とは異なり、朝起きた時に今夜見た夢を割と鮮明に思い出すことが出来た

まあ、その夢のせいで起きることになったのだから当たり前といえば当たり前だ


(最近の俺の見る夢はどうなっているんだ?)


夢の中では、髪が二夜連続して無いことに気づいていないが、目覚めてから考えると髪のない自分が持続しているようだ。そして、今夜は髪に加えて耳まで消えてしまっていた。この感じで行くと、次の夢は髪や耳に加えて、他の部位も無くなりそうだ。別に、夢の中の出来事なのだから無くなってしまっても何も問題はないのだが、精神的に悪いのでやめて欲しい

そんな願望を朝起きてすぐに抱いて、また一日が始まる


そして昨日と同じで空が晴れ渡っている昼頃、そんな陽気なおかげか、すっかり夢のことなど頭に無い俺は、熱風を生み出す魔法を発動させるために、トライ&エラーで色々試してみることにした

俺が躓いていた点としては、「熱風が発生するイメージをする」ということだった。それで昨日は、火魔法や風魔法が一発であっさりと成功していたせいか、確実に成功するようなイメージを思いつくことに無意識的にこだわってしまっていたので、今日はしょうもなさ過ぎるアイデアでもイメージしてみる


まず思いついたイメージとしては、黒光り熱血体育教師が全力で息を吐いている様子をイメージして、


「天は熱に光を与え、それは我らの道を照らすものとなりけり。我、火を求める者なり。我が思いに応え、火よ顕現せよ。天は呼吸をし、世界に恩寵と災いを齎す。我、その恩寵をあやかる者なり。微風よ駆けろ」


脳無しにただ詠唱を繋げて唱える


、、、、、、


もちろん、アホくさいイメージと、頭の悪い詠唱で魔法が発動するわけもなく、俺はさっさと次の「イメージはそのままで、詠唱を入れ替えてみる」というアイデアを試す。もちろん、発動しない

それから20通りのアイデアを試してみたが(その中には詠唱の言葉を文字ってみたり、暖房をイメージしてみたりした、少し期待が持てる試みもあった)、ただの一つも手ごたえのある反応は得られなかった


(また明日だな。)


一応まだまだアイデアは残っているが、試すまでもなく「無理だ」と思ってしまうようなアイデアばかりなので家に帰って、メアリが作ってくれている食材の味が大いに感じられる昼食を頂こう


突然だが、やはりというべきか、この世界の食事は味が薄い。きっと近くに海がないのだろう。しかし、食材の味が地球の食材と比べると圧倒的に美味であるため何の不満もない

なにも地球の素材が美味しくないと言っているわけではない。あまりにこの世界の食材が美味しすぎるのだ。しかし、そうなってくると「疑問」というか「不安」になってくるのが、ミネラル系の栄養素を補えているか、という点だ。絶対にあの味の薄さではミネラルが足りていないと思う。今は何の健康被害も無く生きれているから良いが、大人になった時に慢性的なミネラル不足で病気になったりしないか?、という心配が最近になって俺の頭を占領し始めたので、それを解決するために「そろそろマッシュに勝とう」という思いが募ってきている。俺のスタンスとして「自由に行動することが出来たら解決するでしょ」というのがある。だから、さっさとマッシュに勝って自由に行動したいのだ


マッシュはいつでも俺の宣戦布告に応じてくれるので、さっそく今日の夕食時に狩りごっこの予約をしておいた

しかし、ここ二日で新たな心配が俺の頭の中に台頭してきている。体の部位が消失していく夢だ。冷静な俺は「夢の中だから何の問題も無い」と理解しているが、何故か心配をしてしまう

でも、今のところ圧倒的にミネラルの心配の方が大きいため、心配ではあるがあまり気にならない

それに、熱風を出すことに熱中しているため、気にしていられない


今夜は俺の心配の種である、部位が消失する夢を見ずに済んだ。やはり、気にするようなことでは無かったようだ


一安心した俺は、心も体も軽い状態で、すっかり手に馴染んだ木の棒を握りしめ、マッシュと狩りごっこを始めようとしている


「そろそろ負けが知りたいな~」


マッシュは相変わらず大人げなく、6歳児を煽ってくる


「安心してよ。父さん。今回で味合わせてあげるから」


日々の筋トレが俺に自信を与えてくれるため、マッシュの煽りに煽り返す

マッシュは俺と距離を20mほど取り、四つん這いになって開始の合図をする


「じゃあ、スタート!」




















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