第15話
早朝、落としたデュッセルの陣地の中で俺とモーゼスは持ち場をこっそりと抜けて何かないかと死体や陣地を物色をしていた。
「見ろよこれ、爆撃でひっくり返ってるが飯だ」
「煙草もある、勲章もだ。銅だがいい土産になりそうだ」
恐らく今いる場所は炊事場だったんだろう。
地面に転がってるデカイ鍋に、冷めきった粥がまだ少し残ってた。
他にも近くで死んでるデュッセル兵からは煙草と……ここじゃなんの役にも立たないが銅や鉄の勲章もあった。
勲章もいいが食料のほうも大事だ、残った粥は勿論俺達の飯になる。
両手で掬ったら終わりの量しか無いが御馳走には間違いない。
「軍曹殿にばれる前に食っちまおう。他にはないか?」
俺は他にも何かないかと辺りを物色してみた。
結果、缶詰めにビスケット、水の入った水筒が見つかった。
大満足の戦果だ。
「ほれ煙草屋、食え」
「おう……うめぇ」
泥まみれの手を軍服でぬぐって、俺とモーゼスは嬉しそうに片手に乗った粥を口の中に流し込む。
冷めきっている上にまともに味もついてないが、空腹の俺達にとってはうまいもんだった。
「しばらくはゴミみたいな缶詰め食わなくてもどうにかなりそうだな」
「ああ、煙草にも困らない」
「弾も困りませんね」
ん?
声が1人分多いような?
恐る恐る後ろを振り返ると、そこにはアヌックと……
「お前達……戦利品は平等に分配するもんだぞ。それ以前に持ち場はどうした?」
薄暗い時間帯でもよく分かるほど、言葉に怒気を含ませたエリアンの姿があった。
手には拳銃が握られているが、撃つのは多分敵じゃないだろう。
「も、申し訳ありません。軍曹殿」
「このことはどうか穏便に」
俺とモーゼスは背中に汗を滲ませながらエリアンに謝った。
折角エリアンが寝ている時を見計らって動いていたのにまさかバレるとは。
モーゼスも黄色い歯を見せて表面上は笑ってるが内心は穏やかじゃなさそうだ、手が震えてる。
「はぁ……全くお前達は……ここは戦場なんだぞ。分かってるのか? お前達が役目を投げた結果、仲間が死ぬかもしれないということを少しは自覚しろ」
お?
この流れは許してくれるのか?
「とりあえず入手した物資を寄越せ」
許されなかった。
「「はい」」
声を揃えながら俺とモーゼスは入手したビスケットや煙草を差し出そうとした。
だがエリアンは一度俺のビスケットを受けとると、中身をその場にいた全員に分配しだした。
「一枚食え」
言われるままに、俺達はビスケットを口の中に入れて咀嚼し始めた。
固い、とんでもなく固い。
だが食えなくはない。
「……これで我々は同じ罪を背負った仲間だ。誰1人この事を話すことは許さん。仲間を裏切り、見捨てることは許さん。いいな?」
エリアンはそう言うと、自分の持ち場へと戻っていった。
「軍曹殿……アンタ……」
ちょろすぎるな、俺とモーゼスがそう言うと、アヌックがすかさず頭を殴ってきた。




