↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪異のご相談は、夜間受付まで――退魔師協会・東部支所の日常  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
84/192

倉庫の最後の灯

台秤の盤面を洗浄した整備工場から、五番の印があると知らせが来た。鷲尾は写真を持って倉庫へ戻り、港の古い帳面と並べた。印の形は似ていたが、寸法は微妙に異なる。相良は同一の道具として扱わないよう注意した。

倉庫長は新しい検量器を据え付け、作業員全員に確認手順を教えた。塩袋の重量は朝と夕方に測る。誰か一人だけに責任を負わせないよう、二人一組で数字を書く方式にした。

夕暮れ、鷲尾が保管棚を巡回すると、一袋の口に結び目が二つできていた。封の紐は切れていない。誰かが内側から結び直したようにも見えるが、袋を扱った作業員は皆その形を知らなかった。倉庫長はその袋を売り場へ出さず、仕分け区画に残した。

相良は結び目の一つへ札を貼るだけにした。強く閉じれば、何かが別の袋へ移るかもしれない。ここで断じられるのは、人間が安全に働ける範囲を確保することだけだった。

夜、作業員の高齢の男性が倉庫長へ茶を差し入れた。『昔も帰りの遅い班には灯を残した』と話す。その言葉を聞いた鷲尾は、倉庫の片隅に昔のランプがあることを思い出した。電気は通っていないが、掃除されている。

倉庫長は夜勤明けの職員から、これまで使われていなかった休憩室の換気が悪いと相談された。相良は相談を聞くだけにとどめ、設備の点検は管理者へ任せた。古いランプを残すなら、そこで働く人の息苦しさも見落としたくない。翌週には換気扇を交換する日程が決まった。

倉庫長は最終点検後、そのランプのそばに常夜灯を置いた。塩の減り方はまだ分からない。しかし帰る作業員が暗い足場で転ぶことは、今夜から防げるようになった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。