↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪異のご相談は、夜間受付まで――退魔師協会・東部支所の日常  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
153/252

代替の担当者

東部支所の当直表に赤い印が増えた。深見が山へ出張し、相良は橋の補修、三崎は町内会との会議で不在になる。井波は机に人員表を広げ、残る職員で夜間受付を維持する方法を考えていた。

新人の鷲尾は連続勤務を申し出たが、井波は断った。「疲れている人を二人分として数えるわけにはいかない」。代わりに別支所へ応援を頼み、未緊急案件の訪問日を調整した。

応援に来たのはベテランの橘だった。支所のやり方が違い、受付用紙の項目も少し異なる。橘は初日に台帳を見直し、危険箇所の地図が大きく印刷されていることを褒めた。井波は使いづらい欄があれば遠慮なく言ってほしいと頼んだ。

橘は応援先で使う鍵の本数を確かめ、紛失時の連絡方法をメモした。慣れた支所なら目を閉じても歩けるが、知らない廊下では非常口の位置から覚え直さなければならない。鷲尾は案内を申し出て、夜間に閉まる扉の場所を一緒に回った。

その夜、相談電話が三本重なった。一件は病院の換気音、一件は自宅に入れない高齢者、一件は井戸から聞こえる笑い声だ。橘は高齢者の連絡先を先に確かめ、民生委員へつないだ。怪異の疑いだけで緊急度は決められない。

夜勤の椅子は高さを変えられず、橘は背中へ小さなクッションを当てた。職員も身体の具合に合わせて働く必要がある。

鷲尾は電話の途中で、相手が声を震わせていることに気づいた。井戸の相談者は子供の頃の怖い記憶を話し始めた。橘が隣からメモ用紙を差し出し、聞き取れた言葉だけ書くよう示した。

夜明け、当直室の冷蔵庫には誰かが置いたおにぎりが二個残っていた。鷲尾は名札を確かめ、一個を温めた。井波は机に顔を伏せず、次の勤務表を静かに組み直していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。