↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪異のご相談は、夜間受付まで――退魔師協会・東部支所の日常  作者: 竜太郎


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
148/240

岸へ戻る足

橋脚の鉄片を調べた資料係から、古い渡し舟の札に似ていると報告が来た。穴の位置が合い、塗料の年代も近い。ただし橋脚の工事材へ再利用された可能性もある。相良は断定せず、舟の登録記録を調べるよう井波へ頼んだ。

森崎は声を聞いた翌日の診察で、睡眠に支障がないと話した。医師は症状がないことを喜び、次の検査日を決めた。退魔師だからといって、身体の負担を放置してよいわけではない。

渡し舟の名簿には、一日に渡った人数と荷物の重量が残っていた。船頭の名前は毎日同じとは限らず、雨の日には代役が立ったらしい。井波は記録を読み、昔の舟も人員配置を調整しながら動いていたと知った。橋が架かる以前から、この川を越えるには仕事が要った。

川沿いの古い道には、荷車が通った幅の轍が今も残る場所があった。奈央はその地形を地図へ写した。

奈央が川原で測量をしていると、水面へ一人分の足跡が続いて見えた。泥の浅瀬までなら説明できるが、そこから先は水が深い。彼女が足を止めると、足跡も止まった。相良は近づこうとする奈央を呼び戻した。

川辺の漁具店では、主人が貸した長靴を乾かしていた。測量に協力した職員が水に入る際使ったものだ。相良は足跡の時刻と長靴の返却時刻を照らし合わせた。合わなかったが、だからといって足跡が怪異だと確定するわけではない。

夜、鉄片の保管箱の内側に泥が付いていた。鍵は掛かったまま。奈央が撮影すると、泥の中に細い藁が一本混じっている。橋脚の中で見た記憶はないものだった。

その日、橋上の歩道は予定どおり一部開放された。通行する人々は水面の足跡を知らず、修理された柵を握って家へ帰っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。