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鳴き声は……返る  作者: アル治


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第6話  独り善がり

いつも読んでいただきありがとうございます。

感情は大丈夫でしょうか?

ご無理はなさらないでください。

ある女性がいた。


彼女は、とても猫が好きだった。


ある日、外に出ると野良猫が庭で昼寝をしていた。

見ているだけで、心が和む。


次の日も、その次の日も、ご飯をあげる。

やがて猫は懐き、飼い猫として迎え入れた。


しばらくして、また別の野良猫が来る。

もちろん受け入れた。


2匹の間に子供が生まれる。

女性は自分で育て、里親募集の電話もした。


――それを、何度も繰り返した。


気づけば、猫は50匹を超えていた。


さすがに、お金も時間も足りない。


生活はどんどん苦しくなる。


それでも猫は子供を産み、増え続ける。


やがて――限界が来た。


多頭飼育崩壊。


ご飯も水も足りない。

汚物は溜まり、部屋は荒れ果てる。


中には、無惨な状態の猫もいた。


猫たちは痩せ細り、それでも生きようとしている。


――地獄だった。


その時。


女性だけが、暗闇に包まれる。


「え……私、死んだの……?」


自分自身も満足に食べられていない状況。

現実が理解できない。


声が響く。


「因果応報」


気づいた時、女性は檻の中にいた。


しかも――周囲には人間がぎゅうぎゅうに詰め込まれている。


ほとんど身動きが取れない。


「なにここ……?」


「出してよ!」


「出せよ!」


あちこちから叫び声が上がる。


女性も叫ぼうとするが――


隣の人と目が合う。


逸らしても、別の誰かの視線が入る。


逃げ場がない。


しばらくして、声がする。


「ご飯の時間だよ」


見ると、たった1食分の食事が置かれている。


檻の中の人間たちは、一斉に群がった。


食べられる者。

届かない者。

奪い合い、争い。


一瞬で食事は消えた。


再び、声。


「元気な子たちだね。可愛いから、いっぱい飼っちゃった」


女性は、理解し始める。


「これ……私が猫たちにしたこと……」


「だから……因果応報……」


だが、気づくのは遅い。


食事は一日一回。


トイレは檻の中。


何日も続く。


動かなくなる人も出てくる。


食べられた者も、衰弱していく。


そこへ、また声が響く。


「また見つけてきちゃった。可愛い子」


新しい人間が、檻に入れられる。


それが、繰り返される。


やがて女性は呟く。


「ごめんなさい……」


「こんなつもりじゃなかった……」


「助けたかった……一緒に暮らしたかった……」


その後。


女性は意識不明のまま、病院の前で発見された。


ガリガリに痩せ、動くこともできない状態で。


他の病院の前にも、同じように倒れている人間がいた。


その中には、息をしていない者もいた。


「酷い飼育崩壊ですね……」


「亡くなっている子もいる……」


「みんなガリガリだし、人に懐かない……」


現場で声が上がる。


「そちらは何匹受け入れできます?」


「こちらは10が限界です」


「こっちは20がやっと……」


「どうしよう……みんな生きたいだけなのに……」


その時。


聞いたことのない保護団体が現れる。


「我々が、すべて引き取ります」


「え……でも、お宅の団体名、聞いたことが……」


「最近できましたので。資金も人材も揃っています」


「ですが……50匹以上ですよ……?」


「問題ありません」


「心配でしたら、そちらの団体に出資もできますが?」


「我々は、助けたいだけですから」


少しの沈黙。


「……分かりました。お願いします」


「必ず幸せにします」


「不安でしたら、こちらのHPをご確認ください。里親も募集しています」


後日。


この団体を通じて、20匹の猫が里親の元へ渡った。


新しい家族のもとで――


穏やかに暮らしている。



読んでいただきありがとうございます。

不快な気持ちにさせて申し訳ないです。

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