第5話 理不尽
いつも読んでいただきありがとうございます。
気分が悪くなるので、気を付けてください。
少年は、毎日犬の散歩を担当していた。
学校が終わると、犬を連れて外へ出る。
それだけのことだった。
だが――学校で嫌なことがあると、機嫌が悪くなる。
散歩の途中、犬が思い通りに動かないと、苛立ちをぶつけた。
蹴る。
ただ、それだけだった。
その日も、機嫌が悪かった。
犬が言うことを聞かない。
すぐに怒りがこみ上げる。
そして――蹴った。
家に帰る。
だが、家の中は真っ暗だった。
「……ただいま」
違和感を覚えながらも、中へ入る。
その瞬間――
「因果応報」
声が響いた。
「いんが……?なに……?」
言い終わる前に、頬に衝撃が走る。
「いっった……!なんだよ!」
次の瞬間、腹に強い痛み。
息が詰まり、うずくまる。
「うっ……!」
その声に反応するかのように、再び腹を蹴られる。
「うっ……やめてください……」
また、蹴られる。
少年は理解する。
――声を出すと、蹴られる。
必死に声を抑える。
だが、うずくまったままでも――
脇腹を蹴られた。
理解が追いつかない。
声を出していないのに。
その時、再び声が響く。
「やられたことは、返る」
少年は気づく。
これは、自分が犬にしていたことだと。
その後も――
蹴られ続けた。
「カジさん、この病室です」
「ああ……」
病室のベッドに、少年が横たわっている。
腹には包帯。
顔は腫れていた。
「何があった?」
カジが静かに尋ねる。
少年は答える。
「……自分のせいで、こうなりました」
「いじめか?」
「そうです。私がやりました」
タキが口を挟む。
「自分でやったのか?」
「いいえ……私がやったことが、返ってきたんです」
「犬を蹴ったから……私も蹴られました」
「私が悪いんです。捕まえてください。私がやりました」
カジが言う。
「……それは、お前が悪いな」
「カジさん!」
タキが止める。
「だってそうだろ。こいつが悪い」
少しの沈黙。
そして、カジは続けた。
「でもな、逮捕はできない」
「自分で償う道を考えろ」
そう言って、病室を出ていく。
タキが後を追う。
「カジさん、調書……いいんですか?」
「あれ以上、喋らないだろ」
「……そうですが……」
気分は大丈夫でしょうか?
気を付けてください。




