表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
17/93

桜井コデット、ブータを諌める

<ブータ>という言葉から受ける印象の通りの体形をしたその地域猫は、体形だけでなく、顔付きもとても印象的だった。実にふてぶてしく、可愛げのない、人間を睨み付けるようなそれをしているのだ。


この点では、ナニーニにも似ている。


しかし、猫としては大きすぎるその体は、人間が与える餌を際限なくたべた結果なのだろう。が、今の時代、ここまでの状態になるまで放置するというのはもはや『<動物虐待>にあたる』として、刑事告訴されされかねないものでもある。同時に、当該の動物は直ちに保護されるのが一般的な対応鵜だった。警察用のレイバーギア、もしくは警察用のメイトギアは、そこまで行う。


けれどここでは、警察用のレイバーギアもメイトギアもほとんどいない。たくさん食べてくれるからといってついつい与えすぎてしまうのだろう。それ自体は決して好ましいことではないものの、これもまた<人間>の姿というものか。


決して完璧にはなれないという。


そんなことを考えているアリシアに、コデットが話し掛ける。


「ブータはね、ナニーニといっつもケンカばっかりしてるんだよ。ごはんの取り合いとかもしてんの。だいたいブータが勝つけどね」


「なるほど」


コデットの言葉に、アリシアが得心がいった。人間が餌を与えすぎているのもあるかもしれないが、それに加えてブータ自身が他の猫の為に用意された餌を横取りしているというのも原因なのかもしれない。


結局、様々な複合的要因があるということだと思われる。


このブータがこうして姿を見せたのは、餌をせびりに来たというのもあるようだ。


それを証明するかのごとくブータは、媚びるようにコデットの足に大きな体を擦り付けてきた。すると、決して愛嬌のある姿ではないはずなのに、なんだか可愛らしく見えてくるから不思議である。しかも栄養状態は当然いいだろうから、毛並みも決して悪くない。いかにも触り心地も良さそうで。


けれどコデットは、さすがに慣れていて、


「ダメだよ、ブータ。あんたはちょっとダイエットしなさい!」


きっぱりと告げた。するとブータは、


「なんだよ、ケチくせえヤツだな」


とでも言わんばかりに恨めしそうな表情でプイっと踵を返してのそのそとその場を去っていった。その姿がまたなんとも芝居がかって見えてどこか滑稽ささえ醸し出している。


その様子にもつい苦笑いしてしまう。人間相手にはそれも我慢できたものの、さすがに猫が相手では我慢する必要もなかった。


しかしブータが立ち去るとそれと入れ替わるようにして次々と猫が集まってきた。実はアリシアも公園に入ったとたんに複数の猫が自分達の様子を伺っていることに気付いていたのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ