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シアの赤い空  作者: 光政
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31.シュバルト視点

ブクマ頂き有難う御座います!

今回はシュウの視点話です。

「殿下、問題が起きました。あちらでコーサ副団長がお待ちです」


「分かった。カレンごめんね?」


「私なら大丈夫ですわ。早く行って下さいまし」


「カレンは優しいね、愛してるよ」


 優しく微笑んでくれるカレンの手にキスをしてから騎士と共に会場を出る。カレンとの楽しい一時をゆっくり過ごせず残念だ。


「何があったのかな?」


 厳しい顔をするコーサ副団長へ尋ねてみればシアが何者かに拐われたと言われ驚く。


 何故今? シアの身を心配しつつ内心どうして拐われたのか分からない。


 シアが王族であると今日まで箝口令が言い渡されていたし、一部の者しか知らない筈。城の内部にスパイやネズミが紛れていたということか?


「シアは会場にいたよね? 何故拐われたと?」


「シア様の侍女に呼ばれたバルト団長が部屋へ入ると誰もいなかったそうです。扉の前に配置された騎士に確認し、床にこれらが落ちていた事から誘拐されたと判断しました」


 コーサから見せられた物はシアが身につけていたイヤリングと靴。どちらも片方だけなのが返って真実であると物語っているようだ。


 話を聞くにシアは会場から抜け出しバルトと会おうとしていたらしい。


 会場を抜け出すといった考えにどうしてなったのか---- 経緯が気になるがシアと話していたサーナに聞けば分かるだろう。


「バルトは今どこ?」


「バルト団長は直ぐ様外へ出て行かれました。バルコニーの下に足跡を見つけたようで後を追っています」


「分かった。この事は皆にバレてないよね?」


「はっ。一部の騎士とシア様の侍女のみ、バルト団長から口を閉じるよう命令されております」


「ははっ急いでいたのに頭が回るね。一先ずパーティーを終わらせよう。父様の元へ行ってくる、コーサはそれまでに調査をして内容をまとめてよ」


「承知致しました」


 会場へと戻り壇上に座る父様へ耳打ちする。父様はピクリと眉を動かしただけで表情はいつもと変わらない様子。父様に耳打ちする僕を母様とアリアナ様が何処か心配そうな表情で見つめてきた。


 母様やアリアナ様に何て言うかな----


 母様はまだしもアリアナ様は腹芸なんて出来ないし、そう思ったら話すのはパーティーが終わってからの方が得策だと思える。


 パーティーを終わらせ母様達を連れてコーサの待つ部屋へと急ぐ。シアがいない事を不安に思ったのかサーナが僕の服を掴んで引っ張った。


「シアお姉様はどちらにいますか?」


「---- シアの事をこれから話すよ」


「何かあったんですの?」


「とりあえず部屋に行こうか」


 サーナの青くなった顔を見て何となく察した。きっとシアに抜け出す事を提案したのはサーナだろう---- 


 これからの話し合いに取り乱しそうだと感じ、サーナの側に座るよう母様とアリアナ様にお願いした。


「シアが何者かに拐われた」


「どうして---- 騎士をつけていたのでしょう?」


「俺もどういった状況か分からん。コーサ報告を」


「はっ。シア様は会場を抜けて部屋に1人でいたようです。扉には騎士を配置していた為、バルコニーから連れ出されたと思われます」


「何故一人に? 侍女はいなかったの?」


「シア様がバルト団長に会いたいとこちらに来ていました。離れた時間は少しだけのようです」


「---- 私のせいだわ」


「サーナが何かシアに言ったのか?」


「シアお姉様に抜け出しても良いと言ったのです。よくお兄様達がしていましたから----」


「何て馬鹿な事を---- 何故そのように助言したのです?」


「ごめんなさい。シアお姉様が誰かを見つけてソワソワしていたの。最近は城に篭っていたからお友達と話したいのかなって----」


 ポロポロと泣き出したサーナを母様が抱きしめた。


「過ぎた事はもう良い。だが抜け出すなどとこれからは絶対に考えるな。コーサ続きを」


「バルコニー付近の床にイヤリングと靴が落ちていた為、バルト団長が調べた所バルコニーの下に足跡を見つけました。現在バルト団長が足跡を追っています」


「そうか---- シュウやる事は分かっているな?」


「大丈夫、今影からの連絡を待っているところ。シアの捜索は僕に任せて」


「シアの捜索はシュウに任せよう。必ず見つけ出せ」


「了解。コーサ行こうか」


「お兄様、シアお姉様を必ず見つけて。謝りたいの」


「約束するよ。だからあまり泣かないように」


 サーナの頭を撫でた後、コーサを連れ部屋から退室すれば、第一騎士団の団長であるマイヤーが準備を整えた様子で僕を待っている。


 ---- 速いなあ、マイヤーには感謝だ。父様の部下って本当有能で困るよ。僕も気を引き締めないと。


「これからシアの捜索へ向かうけど、手筈は整ってる?」


「はい。直ぐに出発出来ます」


「そう、流石マイヤーだね。出発しようか、僕の着替えもつんでくれる?」


「ビルドが用意して殿下をお待ちしています」


「それは感心するなあ。ビルドはやっぱり凄いよ」


 馬車に乗り込めばビルドがいつも通り涼しい顔をして座っている。この状況にも涼しい顔を崩さないビルドを見て笑えてきた。


 マイヤーが張り切った様子で指示を出しバルト団長が向かった方向へと進み出す。窓から状況を確認しつつも影からの連絡が早くこないか待っていた。


 シアに影をつけといて正解だったな---- ボーっとする癖があるシアを心配して影をつけたのは二日前。僕の判断は間違いじゃなかったと思う。


「ねえコーサ呼んでくれない?」


 ビルドにお願いし、一度馬を止めてコーサとは馬車の中で話す事にした。再び馬が走り出したのを確認してコーサへ話しかける。


「ねえ、バルトとシアってどんな関係なの?」


「---- 私には良く分かりません。野営演習の時にシア様を助けた時からの付き合いかと」


「シアが顔に痣をつくったやつかな?」


「そうです---- 」


「ふーん。バルトってタジリアの街が襲撃された時シアを助けたみたいなんだよね」


「シア様をですか? 確かにバルト団長はあの場にいた筈ですが---- バルト団長からは何も---」


「そう。バルトは口が硬いんだね。ますます気に入ったよ」


 シアのバルトに対する気持ちは側から見てると丸わかりだ。セバスは何も言わないけど分かっているとは思う。


 シアは好きとか恋愛の事を最近になって考え出したようで、見ていてとてもじゃないがもどかしいの一言。僕から見ればシアはバルトを好きといった感じだ。


 セバスを応援したい気持ちはあるけど、決めるのはシア自身。他人がとやかくいう問題ではない。


「で、シアを拐った人物は誰かまだ分からないよね?」


「何となくですが他国の者だと思われます」


「何となくって何処からそう感じたの?」


「---- 勘です。シア様を国内の者が拐う必要はないでしょう。光属性であるシア様を欲した他国が拐ったと考えれば納得出来ます」


 コーサから光属性という言葉が出てハッとする。


 僕とした事が忘れてたよ----


 光属性は他国においても貴重な存在。一人だって存在しない国もあると父様から聞かされていた。


 シアは王族という立場で拐われた訳ではなく、治癒師として拐われた可能性は高い。本来の色に変化しても顔をよくよく見ればシア自身だと分かるし、学園にいた時から狙われていたと考えられる。


「なるほどね。第二騎士団は勘で動く事が多いのかい?」


「すみません。調査は致しますがバルト団長含め勘を大事にしています。今まで生きてこれたのも勘によって助けられましたから」


「謝らなくて良いよー。第二騎士団が強い理由が何となく理解出来たし。是非ともその勘とやらでシアを見つけて欲しいね」


「--------」


「あ、あとさ第一騎士団との仲はあまり良くないって聞いてるけど、仲良くやってよね」


「---- ご心配なく。バルト団長がいない今、主導権は既に渡してあります」


「ハハッ。マイヤーが張り切っている訳だ」


 コーサを馬車から降ろし再び走り出した時、馬車の窓から丸めた紙が投げ込まれ膝の上にのった。


 影か---- 何でこうも紙を丸めるかな。直接話せばいいのに。


 影とは長い付き合いだが職業柄僕の前に姿は表さない。会話はしても天井から微かに聞こえる声と報告をまとめた紙が落ちてくるだけ。


 何も丸めなくて良いのに---- シャイな性格の影に溜息を漏らしつつ報告書に目を通した。


 シアは意識を失ったまま荷馬車に乗せられているようだ。今はまだサリーシャ王国の南に進んでいるとのこと。


 バルトが向かったのも南の方---- このまま進んでいけば早い段階でシアを助けられるかも。


 そう思っていたのに、日にちは瞬く間に過ぎて未だシアを見つけることが出来ない。四日目の朝、眠っていたところを丸めた紙が頬に当たり目を覚ます。紙には馬車へ乗り換えたと書かれていたが邪魔者が現れてシアを見失ったようだ。


 邪魔者の話し方や動きから国内の者ではないとも書かれていたが、南に位置する他国はサザン連合王国のシュンラ王国またはマナリア王国である。


 付き合いが全くない訳ではないけど---- 条約を結んでない相手では仲が良いとは決して言えないだろう。どうにかナージあたりで見つけられればいいのだが----


 ハア。セバスに怒られるなあ。


 パーティーが終わり次第シアを学園に戻すと約束させられたばかり。セバスのネチネチした攻撃は側から見れば面白いけど、自分にされると思ったら少し気が重い。


 まあそれでこそ僕の従者としてピッタリなんだけど。


 学園を卒業した後もセバスを従者として側に置くつもりだ。何処かの貴族の養子入りして貰う為、候補をいくつか出し調査をしている段階でまだセバスには伝えていない。


 セバスはきっと驚くだろう---- シアの為にも養子の話には直ぐに頷くと想像出来る。だけどこのままシアがいなくなったら? 学園に残りもしないで探しに行くに違いない。


 お気に入りの者達が次々と他国へ取られるなんて腹が立つ。気に食わないでは済まないよ。


 早くシアを取り返さないとね---- 


「マイヤー、ちょっと良いかな」


「殿下どうされました?」


「バルトと合流してくれる? 情報は多いだけ良いし出来ればナージにいるうちに見つけたいんだ」


「---- 承知」

 バルトはどんな顔をしてるかな---- 十歳も離れたシアに対する思いは兄妹のような気持ちだろうと想像しつつ、僕はシアが無事でいる事を願う。


 シア無事でいてよね----


 砂が舞う乾いた空気を吸いながらバルトがいる場所へと向かった。

最近気温が上がってきましたね。皆様体調にはお気をつけ下さい。


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