28.久しぶりの時間
「シア!」
「マリ会いたかった!」
「私もよ、色は隠さなくて大丈夫なの?」
「うん、大丈夫だよ。学園はどう? 何もされてない?」
「シアが居なくなってから不思議なくらい絡まれてもいないわ。だから安心して」
「それなら良かった。直ぐ戻れなくてごめんね」
「本当だ。心配したんだからな」
「カイ、そうだよね。来てくれて有難う」
三人でいつものように抱きしめ合う。二人の温もりを感じて涙が出た。
「それで、何で色を隠さなくて大丈夫なんだ?」
「あのね、私---- 王族だったの」
「王族? そうだったの、シアには家族がいたのね、良かったわ」
「両親には会えたのか?」
「両親は亡くなっているみたいなんだけど、二人とも驚かないの?」
「ふふ、何となくそう思ってたから」
「マリはシアの瞳にある印と、城にある人物画を見て考えてたんだよ」
「えっ、マリは私の瞳にある印を知ってたの?」
「小さい頃に見たのを何となく覚えてたのよ。やっぱり瞳にある印が関係してたのね」
「あ、えっと----」
「あーあ、シアそれじゃあ肯定してるのと一緒。三人共、瞳の話は王族しか知らない事だから内緒だよ」
シュウがカレン様を連れて現れた。横に並び立つカレン様は私達を見て美しく微笑む。
「シア様、皆さんもご機嫌よう。お呼び下さり有難う御座います」
素敵なカーテシーについ見惚れてしまう。私もドレスのスカートを掴み緊張しながらカーテシーをした。
「カレン様、挨拶が遅れてしまいすみません。お会い出来て嬉しいです」
「どう? カレンから見て」
「シュウったら---- 丁寧な挨拶で良いと思いますわ。カーテシーなんて最近習ったとは考えられません」
「カーテシーは小さい頃習ってたみたいだよ」
「それなら納得ですわ。姿勢も良いですし、お披露目パーティーにそのまま出ても問題ないかと」
「カレンがそういうなら大丈夫そうだね、後はダンスかな。シア明日から特訓だよ」
「有難う御座います。カレン様、今後も宜しくお願い致します」
「もちろんよ、シュウの従姉妹ですもの。皆さんも宜しくお願い致しますわね」
「あ、はい」
「宜しくお願いします」
「こちらこそお願い致します」
カレン様をエスコートするシュウの後に続き、食事が用意されたターブルへと向かう。ランチを皆で楽しんだ後シュウと別れ、カイとマリ、セバスと共に私室へと戻った。
「皆座って、お茶を淹れて貰うね」
皆でソファに腰を下ろし侍女の方が下がるまで無言のまま過ごす。私達だけになったとたんカイが口を開いた。
「城は疲れるな、シア少しは慣れたのか?」
「うん、皆優しくて良い人達だよ」
「それなら安心だわ。それにしてもお披露目パーティーってシアのお披露目なの?」
「そう。不安だけどジルベート王が王族だと発表してくれるみたい」
「どうしてお披露目を?」
「シュウがね、ミリヤ嬢にされた事を話したの----」
「なるほど。それで---- シアは今後どうするつもりなんだ?」
「そうよね、騎士課はやめるの?」
「王族だしなー、騎士課にいるのは難しいよな」
「ううん。私、騎士になるつもり。シュウには伝えたの。今ジルベート王と話してくれてる。皆と離れたくないの」
「シア---- 寮はどうするの? 同室は難しいわよね」
「マリと離れるのか---- 色々と心配だ」
「殿下の事だから考えてはいると思うけど、確認してみないと分からないな」
「シュウは皆と離れなくて良いと言ってくれたよ。だから大丈夫だと思う」
「一先ずお披露目パーティーが終わらないと戻っては来ないんだな」
「うん、皆ごめんね」
「良いわ、こうして会えたんだし元気そうで良かった。結局シアの両親って誰だったの?」
「そうだよな、亡くなってたんだろ?」
「母はシンシア様といってジルベート王の従姉妹なの。母のお姉様であるセレステア様から絵を見せて貰ったよ。父はまだちゃんと分からないんだ」
「王族なら金色の筈だ。シアは何で色が違うんだ?」
「セバス---- 言っていいのか分からないんだけど。血が濃いと魔力が高くなるみたいで色が変化するようなの。父もジルベート王の従兄弟みたい」
「なるほど---- だからシアは二属性なのか」
「良く私には分からないんだけど、取り敢えずお披露目パーティーが終わったら直ぐ学園に帰るね」
「分かったわ。それにしてもさっきのシア、王女様みたいだったわよ」
「びっくりしたよな。マーサさんか?」
「うん。マーサが教えてくれてたの」
「マーサさんは知ってたのね。でも何で隠してたのかしら?」
「そうだよな、最初から城に連れてくれば良かったんじゃないか?」
「多分だけど、近親婚を禁止してるからだと思う。母と父は従兄妹みたいだし」
「ああ、なるほどな。それならシアを隠した理由が分かる」
「セバス、どうして禁止なの?」
「俺が知るに魔力が高くなり過ぎて寿命が短いらしいんだ」
「セバスは何でも知ってるよな。俺も頑張らないとなー」
「あら、カイは今のままで良いのよ」
「ハハッ。マリにそう言われたら余計に頑張らないと」
「シア、俺達は何も変わらないから。変な気を使うなよ」
「本当? それが心配だったの」
「約束したでしょ? 私からは離れないわよ」
「そうだ。俺達は家族だからな」
「皆、有難う----」
変わらない皆との距離に安心し涙がポロポロと溢れる。
「これからは私が守るね」
「頼んだぞ、王族に嫌がらせする奴はいないしな」
「もうカイっ」
皆で顔を合わせて笑い合う。久しぶりに皆で過ごす時間は前と変わらないまま。居心地の良い空間で会話を楽しみ、夜になるとシュウの提案でマリは泊まって行く事となった。
マリは最初遠慮したが、私からお願いしたら二つ返事で頷いてくれた。
夕食時、ジェーナ様が折角だからともてなしてくれたが、マリは緊張から顔を引きつらせる。サーナ王女には質問責めされて、オロオロしながら私に助けを求めてきた。
私は面白くてつい笑ってしまったけど、気持ちは凄く分かるからご飯を食べた後直ぐにマリを連れて部屋へ戻る。
「緊張したわ。シアよく平気でいれるわね」
「私も最初は話せなかったよ」
疲れたマリと一緒にお風呂へ入り、着替えた後直ぐにベッドへ向かう。
マリと手を繋ぎながら向かい合わせで横になると、小さい頃や孤児院での事を思い出した。
「ねえマリ、私達今までに色んな事があったよね」
「そうね、あっという間だったわ」
「もうここに来て六年だね。マリ今まで本当に有難う」
「何いってるのよ。私こそシアには感謝してるわ。これからも一緒よシアが王族なら侍女が必要よね? 私がなるわ」
「いいの? でもマリに世話して貰うなんて---- それに私マリに何も返せてないよ?」
「今と対して変わらないじゃない。私がなりたいんだもの。シアはいてくれるだけでいいのよ」
「マリ、何かさせて欲しいの。それにマリとカイには幸せになってほしいんだ」
「有難う。何かして欲しい事が出来たら言うわね」
「絶対だよ、約束」
「じゃあシアの侍女は私よ、シアも約束してね」
互いに見つめ合い小指を絡めて約束する。そういえば小さい頃はよくマリと約束をしてたな----
「マリ、小さい頃の約束って覚えてる?」
「そういえばよくしたわよね。忘れたわ、シアは覚えてるの?」
「ごめん、私も忘れた」
「ふふ、じゃあ今の約束は忘れちゃダメよ?」
「マリも忘れちゃダメだからね」
互いの額を合わせてクスクスと笑う。小さい頃に戻ったようで懐かしくなる。
「あの頃は毎日笑ってたわね」
「うん、幸せだった」
「街が襲撃されて辛かった。もうあんな思いはしたくないわ」
「私も---- これからまた幸せになろ」
「ええ、幸せになりましょ。シアは将来どんな人と一緒になるのかしら?」
「私、好きとかよく分からないの。マリはカイといてどんな気持ち?」
「んー、ポカポカと温かい気持ちかしら? 安心するし一緒にいたいと思うわ」
「一緒にいたいと思うのって友達にも思うじゃない? どう違うの?」
「どんな時も一緒にいたいのよ、友達だと嫌な時もあるでしょう? それに相手にとって特別な存在でいたいの」
「特別?」
「そう特別。私だけに見せる表情や感情が嬉しいのよ」
「私だけ----」
「シアもそう思う人が出来たら教えてね」
「うん、マリには一番に話すよ」
「楽しみにしてるわ」
マリは天井を向いて目を瞑る。夜も遅くなり私も段々眠くなってきた。
私もマリにとってのカイみたいな存在が出来るのかな----
頭に浮かぶのはセバスやバルトさん。二人の顔を思い出しながらゆっくりと夢の中に落ちていく。
夢の中にはマーサがいて、母もいる日常。二人の笑顔に包まれて幼い私は幸せそうに笑っていた。
こんにちは。
次話からついに色々と展開していく予定です。
ブクマや評価、感想を頂き感謝。
読んで頂けてるだけでももちろん嬉しいですが、反応があると凄くやる気が起きます。有難う御座います。
書いて間もない光政ですが、これからも宜しくお願いします!
シアは次話から色々と展開が始まる予定ですので、楽しんで頂けると嬉しいです。




