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シアの赤い空  作者: 光政
15/35

15.-バルト視点-後半

翌日シアを囲んでいた四人は、コーサから騎士達が普段行う訓練をするよう伝えられ、別の野営演習をする事となった。

学園で訓練する時よりも、数倍厳しい訓練に早くも1日目から音を上げ始めたのだが、コーサが見張るように側にいる為、倒れても水をかけられ訓練を続けさせられる。


演習最終日、他の生徒達から離れ四人を連れて騎士10名とコーサと共に演習場の周りを巡回していると、普段あまり見かけないはずの獣が現れた。


四人を守るように配置しながら戦い始めたが、獣の数が多く騎士が獣から襲われ倒れ始める。それを見たザガリー卿の嫡男は1人で逃げるよう走り出した。

1人で動くな! っと叫んだが、走り続けた為に獣に追いかけられ襲われた。


コーサには教官へ伝えるよう指示を出し、残りの騎士と俺でどうにか獣を倒す。

倒れた騎士と、ザガリー卿の嫡男を皆で野営のテント地まで運ぶと、教官が怪我をした騎士とザガリー卿の嫡男を見て走り出した。


集まってきた騎士が応急処置を施すが、傷を深く負った騎士とザガリー卿の嫡男は止血しても血が止まらず意識がはっきりしない。コーサとセシルさんの元へどうにか連れて行けないか話し合っていると、教官がシアを連れて戻ってきた。


シアは悲惨な状態の騎士達を見て息を止めて見つめていたが、教官がシアの腕を掴んで口を開いた。 


「演習で見回りをしていた時に獣が出たんだ。結構な数がいたみたいでな、ここら辺ではあまり見かけないから油断してた。シア、すまないが今はお前が頼りなんだ。」


教官の言葉を聞いて顔を青くしたようだが、顔を引き締めると無言のまま傷が深い騎士に近づき地面に膝をつけると手をかざし始めた。


血を流すような深い傷を、見るのでさえ辛いと思うのに、と思っているとシアが手を添えた場所から白い光が現れ始めた。


光は騎士の体を包み込み、光が消えると深かった傷が消え血が止まっている。


---- セシルさんの治癒魔法を見た時も思ったが、治癒の力は本当に凄いな、しかも迷いや躊躇がない。次々と倒れている騎士を治していくシアの姿を見て、バルトは目が離せなくなった。


騎士達に魔法をかけ終えると、シアはザガリー卿の嫡男の元に近づき先程と同じ体勢になったと思うと、動きが止まり出した。


---- 無理もないな。むしろ治してくれとは誰も言えないだろう。

ザガリー卿の嫡男と共にいた他の三人の様子を見れば、ばつの悪い顔をして立ち尽くしている。


少しの間動きを止めていたシアは、頭に手を添え始めたが、他の騎士達のように光が一向に現れない。様子を見ていたが、近づき顔を覗くと目を強く閉めながら涙を流している。


---- 発動が出来ないのか。セシルさんは確か、発動である条件がシアは想いだと言っていたな。やはり怒りがあるのだろう。


シアの辛さが軽くなれば良いと、シアの左肩に手を置けばシアが瞳を潤しながら俺の目を見たので口を開いた。


「セシルさんからなんて言われたか思い出すんだ。」


シアは何かを思い出したのか、ハッとしたように目を見開くと再びザガリー卿の嫡男に手を添えながら強い眼差しを向けた。

すると今までよりも強り光が周りを包み込み、今までと違って現れた光は頭の傷へと流れて消えていく。


光が完全に無くなったなと思うと、頭の傷が完全に無くなり顔や首にあった細かな傷も全て消えていた。


その光景に驚いていると、シアが力をなくしたように地面に座り込んだので言葉をかけながらシアを地面から剥すように抱き抱えた。

気持ちが緩んだのか小さな嗚咽が聞こえ始め、シアの顔が寄り掛かる自分の肩が濡れていく。


------- ここから離れるか。ザガリー卿の嫡男の顔を見たくないだろうしな。


シアを片抱きしたまま歩き出し、頑張ったなと頭を優しく撫でる。シアの熱い体温を確かめながら、柔らかくサラサラな髪に触れる指に神経が集中した。


----- このままでいたいと思うのはなぜだろうか。 

まずいな、この気持ちは。シアは若すぎる。


テントに着きシアを寝袋の上に降ろし、そのままテントから出ようとすれば、急にズボンを掴まれたので心臓が跳ねると同時にシアの方へ顔を振り向かせた。


「------- 有難う御座いました。こないだも、今日も、その前も------- いつも助けてくれるのに直ぐにお礼が言えてなくてごめんなさい。」


---- やばいな。

シアの今の姿に、最初に見たときの美しい姿が重なり息が止まる。このままここには居れない。


頭を下げたシアの頭を少し乱暴になりながら撫でると、ズボンから手が離れたので、んっとだけシアに返事を返してテントから出た。


テントからでると、陽は燃えるように赤く空の色を変えている。

まるで自分の心を映してるかのような空を見て、バルトはコーサの元へと歩き出した。





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