53:缶詰め
悪魔といえば思い出すのはオーガのお爺ちゃんたちだよなぁ。あれ?この鳥もお爺ちゃん?この世界のお年寄り強すぎでしょ。
フィロンデルに襲われた時にはぐれちゃったけど、そーいやあの人達もステータス見れなかったんだっけ。うーん、そういう仕様なのかな?まぁじゃあ早速悪魔探しに行くか。
「因みに親分。悪魔達ってどこにいるか分かりやすかね?」
「あぁ、もちろん知っとるぞ?それはのぅ、この溶岩の湖をずっと深く潜った場所に、祠がある。そこで悪魔に呼びかけ、興味を持たせれば契約できるじゃろう。」
うぉい、この溶岩の下?無理ゲーでしょ。いや、でも見せかけ倒しの可能性もワンチャン……?体の一部をちぎって落としてみる。あ、跡形もなく消滅しおった。まぁ今は諦めよう。
「親分、俺にはまだまだ無理みたいですぜ。しかし、必ず強くなって帰ってきやす。その時にはまた迎えて頂けるよう……。」
うーん、ロールプレイもキレッキレ。まぁでも強くなるのはホントだしね。ダンジョンの中ならワープも出来るし、来ようと思えばすぐ来れるんだけども。
「ほう、お主が帰ると寂しくなるのぅ。ところで、孫達の何人かがお主の料理に憧れたようでな、ワシも食べたことのない孫達の手料理じゃ、食べていけ。」
へー、そこにまで影響受けたんだ。まぁ自分で言うのもなんだけど俺幻の料理人だもんね。憧れる部分もあるか。
「ではありがたく頂戴して……いただきます!」
地獄の食材ってやっぱり独特のものが多いんだよね。地球でも食べたことの無い味ではあった。何が言いたいかと言うと……、なんかぎゃむっとしてる。
ぎゃむって何だ、食感に使う擬音語じゃないだろ、と思うかもしれないけど、実際そうとしか言いようのないぎゃむっと感がある。まぁ美味しいんだけども。
「強さの秘訣だけでなくお孫さんの手料理まで食べさせて頂いて、ありがとうございやした!では、俺はこの辺で!」
そう言い残してダンジョンワープで街へ戻る。うん、長い七日間だったな。
因みに、自分の部屋に戻ると詐欺師がくつろいでいた。は?なに人の家でくつろいでんの?ちょっと近くのメイド型分裂体に聞いてみる。
「ご主人様の客人と名乗られておられましたので、お通ししました。」
うぉーい、防犯システムザルだなほんと。しかもいつの間にご主人様呼びになってるし。そんなの教えた覚えないんだけどなぁ。
「へー、随分と人の家でくつろいでくれるじゃん。今回は何の用?」
「なに、貿易のついでに立ち寄らせてもらったまでだ。ところで随分と長く街、というか国を空けていたようじゃないか?どこへ行ってたんだ?」
あ、やっぱ国って認識になる訳ね。というか今の言い方だとこいつもしばらく街に滞在してることになる。まぁいいけど。
「いやぁ、ちょっと七日間地獄に行って鳥育ててた。」
「ほう、随分とまた意味の分からないことを言う。旅行感覚で未開の地に出かけるな。」
「いやいや、今回は空飛んで狩りしてたら攫われただけだから事故だからね?別に俺が無茶苦茶なプレイングしてた訳じゃないからね?」
「空を飛んで狩りしてる時点で随分と頭がおかしいとは思うがな。」
ほう、言ってくれるじゃないか。スケルトンのくせして前世詐欺師で口が達者で人間の世界に溶け込んでる奴の方が変わってると思う。
まぁ半分ブーメランなんだけどね。ブーメランだって半分しかなければ戻ってこないだろう。
「で、ついでとは言ったが一つ取引を増やしたい。」
「って言うのは?」
「まぁ他の取引先の都合で長く保存できる食料が必要になってな。缶詰めなどはこの国で作れないだろうか?」
缶詰めかー、その発想はなかったわ。まぁうちで料理人が揃ってるとはいえ、家庭料理だって楽しみたい人は多いだろうしね。よし、作るか。
まずは鉄を変形させて缶を完成させる。その中に食材と極小サイズのスライムを詰める。で、そのスライムに空気を吸収させた上で、地熱を使って熱消毒をする。
地熱に関してはミノタウロス達が開けた溶岩スポットがあったからね。あれで十分だ。
よし、缶詰めという文明への第1歩も踏み出したことだし、街の発展も着々と進んでいるな。




