その7 キックオフ
もうちょっと余談。
三週間前のこと。
僕の部署が「AIセミナー・ビジネス」を立ち上げるプロジェクトを編成することになった。
それで、僕もそのプロジェクトにアサイン”されてしまった”。
この”されてしまった”が、僕の正直な気持ち。
だって、こう思っている僕だからね。
ーーAIのことは、AIに聞け。
プロジェクトのキックオフの日、午後三時。
僕はプロジェクト・ルームに居た。
プロジェクト・メンバーは、僕を含めて、各部署から集められた8人。
初めて見る顔ばかりだった。
プロジェクト・マネージャーは執行役員の秦さんだ。
残りの七人は、”ただのメンバー”だ。
キックオフ・ミーティングは、アジェンダに沿ってサクサクと無駄なく進行していった。
・この事業のマスター・プラン
・各メンバーのロール
・作業環境やセキュリティなどに関するレギュレーション
・詳細スケジュール
・Q&Aセッション
アジェンダや資料は事前に渡されていたので、そのオサライのようなミーティングだ。
質問だって、メンバー全員が予め用意していたようだ。
もちろん、僕も用意していた。
質問は、一つだけだったけど。
僕が聞きたかったのは、
「マスタープランで謳っている、”他社との差別化”に関する具体的なアイデアはあるのか?」
PMはこう答えた。
「ある。ただし現時点ではレベルBの機密情報だ。公開できない」
PMは皆の顔を見回す仕草をした。
「皆さんのアイデアも期待しています」
いいねぇ〜、この感じ。
僕はそう思っていた。
誰も余計な事は言わない。
無駄を削ぎ落とした硬質的な感じ。
僕のタイプだ。
キックオフ・ミーティングが終わり、社屋のゲストフロアで親睦会となった。
僕はこの親睦会で、メンバーの中に面白い男を発見するんだ。




