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ショートショート連載 僕とAIと信号機と  作者: あみれん


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23/26

その23 モノづくりの人

「あ〜あ、私、モノづくりの人なのに…このプロジェクトはやっぱりなんか違う気がするわ」


中島マナの声だ。

僕は中島マナを見ない。


“モノづくりの人”?何だそりゃ。

どんな人だよ、それ。

確かにこの会社では、ソフトウエアというモノを作ってはいるけど、“モノづくりを仕事にしている人”が正しい言い方だろう?


あぁ……なるほどね。

そうやって、自分で境界線を引いているのか。

「ここまでしかしやりませんから」っていう保険みたいなものなのかな。


“モノづくりの人”なんていう滑稽なレッテルを自分自身に貼り付けて、”モノづくり以外は知りませんから”ってわけだ。

それ以外のことは全部人任せってわけだ。


「イギリスの数学者アラン・チューリングが1950年に提唱した思考実験ですよ、ご存じですよね」


コイツ、まだしゃべってやがる。

井上ヒロミの甲高い声が無性にウザイ。

僕は無視することにした。


川口ミノリが、井上ヒロミを怪訝な表情で見ている。

彼女も井上ヒロミがウザイんだ。

うん、やっぱり可愛いかも。


「生成AIの登場で、ほぼ無意味になってしまいましたよね、アレ。だって生成AIは、機械っぽくも人間っぽくも応答できますもんね」

「あ、そんなユニークな発想、ぼくだけかも」


そう言って井上ヒロミはクククッと笑ったけど、忙しく指でスマホをタップするスピードはそのままだ。


「そう言えば、アラン・チューリングはゲ…」


「あなた、いい加減にして下さいよ。皆の迷惑でしょう!」


橋下ジュンヤだ。


「あ、こりゃ失礼」


ふぅ〜ん、なるほどねぇ。

何だか久しぶりに、ムカついてきちゃったみたい。

井上ヒロミ……中島マナ……。


……潰しちゃおうかなーー

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