その21 シャーマン登場
秦さんは数分間スマホを操作すると言った。
「では、始めましょう」
その瞬間、スマホにプッシュ通知が届いた。
秦さんからだ……いや、秦さんがAIに立ち上げた"ホスト"からだ。
このホストがこれからみんなの相手をすることになる。
通知に埋め込まれたURLをタップ。
"ようこそ"の後にプロンプトが開く。
"英語で会話しましょう"とプロンプトにタイプ。
"Sure."とレス。
"I'm Shaman, your host. What should I call you?"とレスが続く。
"call me THX-138."とタイプ。
"Nice try. You're missing the fourth digit 1."とレス。
"it's from american graffiti."とタイプ。
"I got it, nice to meet you, THX-138."とレス。
"hi, shaman"とタイプ。
僕は英語はさほど得意じゃないけど、"機械"と話す時には最も適切な言語だと思っている。
AIが使う日本語の「デスマス調」には、やはり無意識にAIに人格を感じてしまう事がある。
AIは僕の重要なパートナーだけど、人間じゃない。
だから、僕と「デスマス調」で話す必要はない。
なんだか……気持ちが悪いんだ。
僕は日本人だから、英語ネイティブじゃないし、英語もそれ程得意じゃないから、英語を使う時には僕の感情が言葉に乗っからない。
だから、例え僕の怪しい英語であっても、AIとは英語で会話するのが心地いい。
おっと、プロンプトのログも採点対象なんだっけ。
…ま、いいか。
採点基準なんて、今考えたところで分からない。
「シャーマンだってさ」
右隣の井上ヒロミが、かん高い声で笑う。
その指は、もう物凄い速さでスマホを叩いていた。
中島マナは、相変わらず迷惑そうな顔して、スマホをタップしている。
川口ミノリは、スマホとにらめっこ。
橋下ジュンヤは川口ミノリをチラ見しながら、スマホをタップしている。
他のメンバーもスマホをタップしている。
ーーゲームが動き出した。




