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ショートショート連載 僕とAIと信号機と  作者: あみれん


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20/26

その20 The Prompting Game of Thrones?

「ちょっと提案があります」


それまで無言でサムアップばかりしていた秦さんだ。

皆が一斉に秦さんに視線を集中させた。


「そのゲーム、我が社のAIを使いましょう。同一AI・個別セッション・共有記憶あり、という設定にして、AIにゲームの判定者になってもらいます」


「あのぉ…」


川口ミノリだ。

秦さんはニッコリと川口ミノリに視線を向けた。


「あの、すみません、私、意味がよくわかっていません。私達…、いえ、私は何をすれば良いのでしょうか」


変な意味じゃなくて、僕は川口ミノリに好意を感じ初めていた。

分からないことを素直に聞く、そしてポイントを外さずに、的確に理解している。

人のマウントばかり取りたがる誰かさんとは大違いだ。


秦さんはゆっくり話し出した。


「全員に同じAIと会話していただきます。ただし、一人ひとり個別のセッションです。他の人とのやり取りは見えません」


「ただしAIだけは、全員との会話を記憶しています」


川口ミノリは、まだ飲み込めていないような表情をしている。

分からないことを隠そうとしない。


へぇ〜、案外、可愛いかも。


「まず川口さんは、ご自身の考えと、その根拠だけをAIへ伝えて下さい」


「その後は、何も話さないで下さい」


「皆さんはAIとの対話だけで、川口さんの結論と根拠を突き止めていただきます」


「制限時間は……そうだな、15分にしましょう。最終的に、そのAIが皆さんのプロンプティング・スキルを評価します。レビュー付きで」


「これから私がAIに共有セッションを立ち上げます。そして、AIにジャッジとしての役割を伝えます。例えば、AIは正解を保持します。ただし、正解を直接開示しないよう指示します」


「もし、正解を提示しろ、なんていうカンニング行為をしたら、即時に失格になりますよ」


川口ミノリの表情も変わってきた。

うん、可愛いかも。


「なお」


全員が顔を上げる。


「AIは、皆さんのすべての質問も評価します」


一瞬、場の空気が止まった。


「答えだけではありませんよ」

「AIとの対話そのものが、採点対象です」


その時だった。

秦さんの笑顔だけは、変わらなかった。

でも、目だけは笑っていなかったんだ。

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