その19 カーン!
「あの……」
川口ミノリは、ゆっくりと顔を上げた。
「真意なんて、そんな大袈裟なものじゃないんです」
皆、川口ミノリを見ている。
いや、中島マナだけは天井を見ている。
「秦さんは、『このプロジェクトは”ライン”でもあり”スタッフ”でもある』と、おっしゃっていました」
おっと…この子…
「つまり、セミナーで売上を稼ぐ主体である"ライン"でもあり、当社のAIサービス事業をサポート・プロモーションする"スタッフ"でもある、と」
「『パフォーマンス・レビュー事業の内容は理解できているか?』と聞かれた時に、この事に気付きました」
川口ミノリは一瞬、僕の顔を見た。
「つまり……」
「面白い、いや、全部説明されたら面白くない」
井上ヒロミの甲高い声だ。
「どうです、皆さん。ここでちょっとしたゲームをしませんか?」
「はぁ?」
井上ヒロミは中島マナをスルーした。
もう彼女の「はぁ?」では、マウントが取れないんだ。
「我々は、これからAIの使い方を指南する、というダイソレタ事業でお金を稼ごうとしているのです」
川口ミノリが、そっと座った。
「各々AIを使って、川口さんがたどり着いた結論とその根拠を当ててみませんか?」
場が少しざわつく。
「この言葉は、あまり好きじゃありませんが、皆でAIの"プロンプティングのスキル"を競う、いや、披露し合うのです」
川口ミノリは、ちょっと迷惑そうな顔してる。
中島マナは、もっと迷惑そうな顔してる。
「生産的に互いを理解する一つの方法だと思いますが、秦さん、どうですか?」
ここで秦さんは三度目のサムアップ。
カーン!
僕の頭の中でゴングが響いたんだ――




