その18 なんだか飽きてきたぁ〜
中島マナが秦さんのサムアップを見ている。
秦さんのサムアップの意味を測っているような顔付きだ。
秦さんは、ヨーグルトを食べ始めた。
中島マナは背もたれに体を預けると、脚を組んで腕組みをした。
「まぁ……ステレオタイプな回答だけと、間違っている、とは言わないわ。お客様からの売り上げが会社とプロジェクトにとって第一義の評価指標だから。でもね、メンバー個人の評価指標とそれがどうリンクするか、そこまで考えないと、個人の評価基準とは言えない」
おっと、幾分トーンダウンしたじゃないか。
秦さんがサムアップしたせいだろうな。
「それに、この会社の能力査定AIのアウトソーシング・サービス事業の気付きから、なんで”メンバーの能力査定を行う適任者がお客様”ってことになるの? ロジックがないでしょう? 商品である能力査定AIを使って、このプロジェクトメンバーの評価も行う、これが矛盾のないロジックでしょう?」
この人間って…
「中島さん」
川口ミノリの顔ばかり見ていた橋下ジュンヤだ。
「生産性の足を引っ張っているのはあなたではないですか?」
おっと、まだファイナル・マッチじゃなかったのか?
「はぁ?!」
キタァァ〜、カァーン!
「簡単な話、分からないことに対しては聞く、調べる、それが手っ取り早い対処ですよね。憶測をスピーチしても、ただ時間が空回りするだけですよ」
「私の、何が分かってないと言ってます?」
「川口ミノリさんの真意をですよ」
橋下ジュンヤは川口ミノリを見た。
川口ミノリは下を向いている。
橋下ジュンヤの言った「分からなければ聞く、調べる」は正しいけど……
カッタリィ……
こんなの、AIに聞けばいいじゃん!
僕らは、これから「AIの使い方を教えて差し上げる」っていう、ケッタイなビジネスを始めるんだよ。
秦さんが説明会で話したキーポイントをAIに投入して聞けばいいだけだ。
中でも秦さんはこう言った。
「このプロジェクトは”ライン”にもなり”スタッフ”にもなり得る」
みんな、この一言が一番大事だったって、気付いているのかな〜。
AIは魔法の箱じゃない。
気付くかどうかは、僕ら次第なんだ。
そして僕だったら、”能力査定を行う適任者”を問う前に、まずこう指示するね。
「このビジネスで、メンバー個人の能力査定基準を策定する為のチェックリストを作成して下さい」
一人だったらサクサクできるんだけど……
あ〜、やっぱりこの話、断ればよかったかも。
その時だった。
川口ミノリが立ち上がったんだーー




