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ショートショート連載 僕とAIと信号機と  作者: あみれん


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13/26

その13 なんだかなぁ

「ちょっと、聞いてます?!」


声の主は、中島マナだ。

僕は、どこにも合わせていなかった視線を彼女の顔に合わせた。


僕より…10は上かな。


僕は応えた。


「『聞いてます?』って、何故聞いたんですか?」


「はぁ? だって、あなたの名前を言っても、まるで無視していたじゃないの」


「はぁ?」 が中島マナの口癖のようだ。

まず、自分の不愉快な感情を最初に示す話し方。

マウントを取りたがる人間の典型的な話し方、そして、会話を一気に不穏な方向に持っていく話し方だ。

話すリズムや声のトーンも頂けない。

ふ〜ん、そういうことか。


「中島さん、あなたの話は聞いていませんでした」


「はぁ? どういう意味? それって失礼じゃないの?」


「我々の関係性はフラットです。つまり、それぞれのメンバーには等しく情報を取捨選択する権利が付与されています」


「つまり、私の話は聞く必要がない、そう言っているの?」


「その通りです」


中島マナの顔が一気に赤く、いや、茶色に変色した。


「随分と失礼な人ね! 私はさっきから秦さんが仰った”生産性”の定義の議論をファシリテイトしているつもりよ! 少なくとも、このプロジェクトのメンバーとして、そう、私を含む他のメンバーと等しく、あなたはこの議論に参加する義務があるんじゃないの?!」


僕は、AIだったらこうレスするだろう、いや、こうレスして欲しい、そのレスを、なるべくプロンプトに応答するイメージで言ってみた。


「議論には賛成していません、時間の無駄、それこそ非生産的だからです。秦さんが意味する”生産性”の定義、それは秦さんの”前振り”を考えれば自明です」


中島マナの顔が一層険しくなった。

決まりだ、この人は茶色だ。


僕はローストビーフを一切れ箸で摘み、ソースをつけて口に入れた。


和風ソースだ…美味い!


「ちょっと、どこまで失礼な人なの? 答えになっていないんですけど!」


現在の生成AIはプロンプトの入力内容に答えるだけ、それを分かってないのかな。

あ〜、この中島マナって人、何でこの人がこのプロジェクトのメンバーなんだろう。

そうか…サクラは彼女なのかもしれない。


誰も話さない。誰も音を立てない。

あ、いや、井上ヒロミのフォークが器に当たる音だけが響いている。


僕は話し出す。


「秦さんの言う”生産性”の定義ですが…」

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