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ショートショート連載 僕とAIと信号機と  作者: あみれん


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12/26

その12 雑音と雑念の負の相関

僕はあの信号機のことを考えていた。

僕の人生の時間の一部を、毎朝無駄にしているあの信号機だ。

車の通行量など殆ど無いに等しいくせに、車優先の信号制御をしているあの信号機だ。

他の人にすれば、信号待ちで無駄にされる数分は、他愛もない、許容できる些細なことなのだと思う。


だがどうだろう。

年単位で考えてみたら。

合理的な理由が不在のまま、毎朝3分を無駄にされている僕は、一年間で18時間15分を無駄にしている事になる。


そしてどうだろう。

これは僕一人ではないだろう。

例えば、日本の人口の四分の一の約3千万人の規模で考えてみたら。

一年間で、約5億4,750万時間が無駄にされている。

更にこれを、時給2,000円で金額換算してみる。

なんと、約1兆950億円の損失だ。

これは、日本の超大型公共事業、大きな自治体の年間予算に匹敵する額だ。

国家規模で考えれば、膨大な損失ではないだろうか。


確か、「セブン」という映画で、シリアル・キラーがこんなことを言っていた気がする。


人々は「過ち」の多くを許容することに慣れきってしまっている。

だが、私は自分の行いで、それが間違いであることを知らしめるのだ。


そうだ、やはりーー

見過ごせない。


他のメンバーは議論をしていた。

皆の声が僕にとってのある種の環境音になっていく。


僕は昔から静寂が苦手だ。

そして、一人で黙々と何かに集中することが苦手でもある。

僕は、少し騒ついているくらいの環境にいた方が、少しは何かに集中できる。


これは、ある種のメンタルの症状かと思ってAIに聞いてみた。

AIはこう答えた。


医学・心理学的に説明できる現象です。

ただし、「静寂が苦手で雑音がある方が集中できる」こと自体は病気や症状とは限りません。

よく知られている説明の一つが、脳の覚醒水準(arousal level)です。


つまり、僕の場合は、静かすぎる環境では、パフォーマンスの高さに関わる緊張・興奮状態のレベルが下がってしまい、注意が内側へ向いて、別のことを考えるようになるらしい。


この丁度良い騒めきの中で、さて、これから“僕がすべき行い”を考えてみようか――

という時に、邪魔が入った。

誰かが僕の名前を呼ぶ声に気付いてしまったんだ。

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