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ショートショート連載 僕とAIと信号機と  作者: あみれん


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11/26

その11 色イロ

「あの…井上さん」


声を発したのは、川口ミノリだ。

四人の女性メンバーのうちの一人。


「はい?」


井上ヒロミは、相変わらず口をモグモグしながら川口ミノリを見た。


「あの、どういうことなんでしょうか。その…生産性の定義について」


井上ヒロミは食べ物を咀嚼し終わるのを待って言った。


「うーん、どうでしょう、飲み食いしながら議論してみませんか?」


秦さんは顔を上げる。

微笑んでいるようだ。


井上ヒロミは、前菜を平らげ、麦茶を飲んだ。


僕は思った。


へぇ〜、前菜からちゃんと食べるんだ。

僕は好きな物から食べるけどね。


川口ミノリが言う。


「議論って…わたし全然ピンと来ていないから、何から話していいかわからないんですけど」


「まず、秦さんが言った”前振り”から振り返ってみたら?」


中島マナだ。

二人目の女性メンバー。


秦さんは更にニコニコしている。


「”前振り”って?」


「はぁ? だから、それが何かを考えるんでしょ。ここで秦さんが言ったこと思い出してみなさいよ」


お? いきなりバチバチですか?


「ここのメンバー間に序列は無いフラットな組織。それと、秦さんは、ご自身をファシリテイターとして位置付けている、ということです」


橋本ジュンヤだ。

二番目の男性メンバー。

僕の中で、モノクロだった彼らに、少しずつ色がついていく。


秦さんは、ずっとニコニコしてその様子を見ている。

井上ヒロミは、オレンジジュースのサーバーの前に立っている。

川口ミノリは眉間に皺を寄せていて、中島マナは野菜料理を口にほうばっている。

橋本ジュンヤは川口ミノリを見ていた。


そして僕は…あの信号機のことを考えていたんだ。

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