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ショートショート連載 僕とAIと信号機と  作者: あみれん


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10/26

その10 前振り

「失礼致します」


二人の女性と一人の男性が大きなワゴンを押しながら僕らのブースに入ってきた。

三人は手際よく円卓にグラス、スープカップや料理の盛られた器を並べていく。


並べ終えると、その中の女性が言った。


「お料理とお飲み物はこれで全てでございます。お飲み物はこちらのドリンクサーバからご自由にお飲み頂けます。お水、麦茶、オレンジジュースの3種類がございます。ホットドリンクはございません」


三人がブースから出て行った。


井上ヒロミがグラスを持って席を立つ。

麦茶のドリンクサーバのタップから麦茶を注ぐ。

他のメンバーもグラスを持って席を立ち始める。


席に戻った井上ヒロミは、自分の目の前に並べられた料理を見て言った。


「金かけてるなぁ」


秦さんは料理を食べ始めていた。

料理は大きな弁当箱のような器に盛られていた。

器は五つに仕切られていて、それぞれ前菜、肉料理、魚料理、野菜料理、フルーツの乗ったヨーグルトが盛られている。

僕にはこれが”金のかかった料理”かどうかは分からない。


僕はスープを飲んだ。


うまい!


ブース内が静かに騒めき始めていた。

会話を始めるメンバーもいた。


「井上さん、あなたの生産性に関する質問だけど、その件について、この場で私は前振りをしてありますよ。分かりますか?」


秦さんが言った。


井上ヒロミは、口をモグモグさせながら顔を上げ、秦さんに視線を合わせた。

場が再び沈黙した。


井上ヒロミは口をモグモグさせ終えると、甲高い声で言った。


「ああ、そういうことですか」


井上ヒロミは再び料理に視線を移し、箸を付けた。


秦さんは無言で料理を食べている。

他のメンバーは井上ヒロミを見ている。


僕は思った。


なんだか…面白くなりそうだーー

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