表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/102

初めてのベリー・トゥー・バック・スープレックス

前半はシンヤ目線、後半はエリシス目線です。

ややこしくてすみませんm(_ _)m

「ところで、自己紹介がまだだったよね。

私はコトハっていいます。趣味は茶道にピアノ、料理に人間観察かな。よろしくお願いします。」

コトハさんは自己紹介した後によく貴族のお嬢様がやるような、スカートの裾を軽く持ち上げる仕草をした。

そう言えばコトハさんは割と良家の子女だったもんな。でも、たぶん、現代日本ではこんな仕草する人はいない。きっと、やってみたかっただけだろう。


「俺は トモヤ、趣味は戦闘だ。他に特に何もないが、同じ転移者同士宜しくな」

トモヤはニコリともせず挨拶するが、サラッと爆弾を落としてくれた。


「あの?トモヤさんって、転移者なんですか?まぁ、それはいいんですけど転移者同士っていうのがなんでわかったんですか?」

俺が思わず矢継ぎ早に質問する。

転移者ってそんなに簡単にバレていいものなのか?


「いや、知らないかもしれないが、こんな目立つ連中はなかなか居ないし、明らかに転移者とわかるレベルの異常なパーティだぞ。俺は正直そんな質問が出ること自体が驚きなんだが、、、」

俺の質問にトモヤは戸惑いを隠せない様子で答えてくれた。


「シンヤ君ももちろんそうと分かってたけどトモヤさんが聞いて欲しそうなフリしてたから、シンヤ君が気を使ってそういう言い方したんだよね?」

コトハさんが助け船を出してくれたので、俺は事実とは全く違うけど首を縦に振っていた。


「あっ、そうなのか?変なところ気を使うな。別に思わせぶりな態度を取ったつもりはないんだがな、、」

そう言いながらトモヤは少し困ったような顔をした。


「トモヤさん、転移者っておっしゃってますけど他のゼミの仲間はどうしたんですか?」


「‥お前がなぜそれを知っている?」

俺の言葉にトモヤは大きく目を見開いて驚いている。


「あっ、ちょっと色々調べてみたんですよ。この世界のこと。勇者のこと。魔王のことをね。」

まぁ。これは半分嘘だけどね。

ゼミの仲間ってのは確かアリアが教えてくれたんだよな。思わず口走ってしまったせいでトモヤが鋭い目でこちらを見ている。

明らかに警戒させてしまったよな。



「‥‥まぁ、シンヤがそう言うならそうなんだろうな。それより、その情報網でアキヤマシンイチと妻のナオの子供については何か知っていることはないか?」

本当はなんで知っているか聞きたいところだがトモヤは表情を緩めて俺の警戒心を解こうとした、、、、つもりだったが、あまりに真剣な表情で質問をしてくるので思わず俺の背筋が伸びた。


よっぽど気になることなのだろうか?


「ごめんなさい、禁則事‥‥‥‥聞いたことがないです。トモヤさん、立ち寄ったギルド等で情報を集めるってのはどうですか?」

これから割と戦力としてお世話になりそうなのでお返しの意味を込めてそう提案するとトモヤも納得したようで更にスピードを上げて先を歩き出した。

割とせっかちな性格かもしれないなぁ〜とか思いながら彼の後を小走りで追いかけた。




「アヤ殿、少し休んだ方がいいのではないか?」

右足を庇いながらだからだろうか?

先ほどからアヤ殿が息を荒げながらなんとか私に付いてくる。もしかして、もう限界なのかもしれない。


「ううん、ウチは大丈夫やから、もうちょっと早く進んでくれてもええよ。シンヤとかホンマに無事か心配やしね。帝国の剣とか前回やった時は全然通用せぇへんかったんよ。」

アヤ殿はそう言って、弱音も吐かず前に進んでいこうとする。本当はツライ筈なのに、、何が彼女をそうさせるのだろうか?

私は彼女に肩を貸してなるべく早く歩けるように手伝うことにした。

実は私もみんなのことは心配なんだ。


そして、少し進んだところでよりにもよって煉獄の騎士三体があらわれた。


ここはヒットアンドアウェイで長期決戦か、狂人化を使い一気に片付けるか?いや、考えるまでもないな。狂人化は使えてあと一回といったところだが、時間をかけて背後から魔獣や敵があらわれたら目も当てられないものな。


「クゥッ、、、さすがにキツイな、、、」

狂人化による負荷でカラダがバラバラになってしまいそうだ。本当に一気に片付けないとちょっとマズそうだ。

私は一呼吸も置かず地を蹴って煉獄の騎士に襲いかかった。


しかし、彼(彼女?)は後ろに下がりながら私の剣を受けた。

そして、残りの2体が私の左右に回り込む。


連携攻撃か?

今迄こんな攻撃をしてきた魔獣は一体もいなかったのだが、、、


私は囲まれる前に後ろに下がり、そのまま右側の煉獄の騎士の更に右に回り込んだ。そして、五段突きを浴びせる。そのまま更に連撃を浴びせようとしたところで、またもバックステップする羽目になった。


残りの2体がまたこちらを囲みにかかったからだ。更に悪いことに背中に痛みが走った。


「えっ?」

振り返ると騎士と魔術士の二人組が居た。

その内の騎士が弓をとってつがえようとしているところを見ると、あの騎士の矢が私の背中に命中したということだろう。


「ターゲットオン」

アヤが騎士に向かって光弾を放つと光弾は騎士の弓に吸い込まれるように真っ直ぐ向かい、直撃した。


「うわっ、バ、バラバラだと?クッ、厄介な。ま、まずはあの軽装のオンナからやったほうが良さそうだな。」

騎士はそう言って、剣を抜きアヤ殿に迫る。


ガギィ〜


敵がアヤに向けて振り下ろした剣を私が受け止めたのだが、その音は低く鈍い。

剣撃がヒドく重いものだったことを如実に語るような響きだった。


そして、そのまま剣を押し込まれる。

まさか、狂人化状態で力負けするなんて思わなかった。


私はその一撃を受け流し、そのまま剣を手放すと体を相手の右側面に滑り込ませ、そのまま敵の脇の下に肘を命中させた。


敵の動きが一瞬止まった。

私はそのまま敵の後ろに回り込み、敵の脇の下に頭を入れて胴に腕を回した。


そのまま敵を持ち上げて後方に反り返るように倒れこむ。


「ベリー・トゥー・バック・スープレックス〜?」

アヤが驚きの声を上げる中、敵は後頭部を地面に叩きつけられて気絶した。



「クッ、いけっ。」

それに焦った魔術士は指示を出した。


だれに指示を出しているのだ?

彼の視線を追うと、、、煉獄の騎士が居る。

あぁ、あの三体の連携攻撃はそういうことだったのか?


なら、まず司令塔をたたく。


私は魔術士に向かって走りこむ。

しかし、一歩遅かった。

煉獄の騎士が行く手を阻む。


やるしかないな。

狂人化の第二段階。


膨大な量の狂気が頭の中に流れ込む。その狂気に意識が完全に飲み込まれそうになる。

その頭の中の激しい争いにアタマがひどく痛み、頭を抱えてうずくまりたい衝動にかられた。


そこに煉獄の騎士の突きが迫る。

もう一体も胴体に横薙ぎの同時攻撃。


しかし、攻撃が確かに遅く見える。

身をひねってかわしながら一体の首をはねた。



今度は左右から囲もうとした煉獄の騎士を各個撃破したところで、私は脱力した。

スキルの使用限界だった。


とはいえ、もう敵は魔術士しか居ない。

スキル無しでも、なんとかなるだろう。


「あれぇ〜、やるねぇ、君。でも、まさかこれでおわりだと思ってない?」

魔術士がニヤッと笑ったかと思うと煉獄の騎士がまた三体現れた。


マズイ、もう私には力が残ってない。

アヤ殿が光弾を放ってなんとか一体倒したがスキルの過剰使用で気絶してしまった。


私はとりあえずアヤ殿を背にかばう。そこに、煉獄の騎士が迫ってきた。


私は一か八か狂人化の第4段階を使うことを決意した。私はもう戻れないだろう。

それでも、アヤ殿だけでも必ず生かしてみせる。


しかし、その決意も少し遅かった。

間に合わない。

眼前に煉獄の騎士が迫り、剣を振り下す。


さよなら、シンヤ殿、イオリ殿、コトハ殿。

守れなくてすまない、アヤ殿。

心の中で皆へのお別れを告げて、冥府への出立準備を済ませた時、私と煉獄の騎士の間に誰かが割り込んだ。


「ふぅ〜、間に合ったか?よく頑張ったな、偉かったぞ。後は俺に任せてゆっくり休め」

そう言った彼の広い背中はとても頼もしかったけど、私はどうしても言いたいことがあった。


「誰だ、、、、貴様?」

うん、、、残念ながらこの背中には全く見覚えはなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ