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初めての透明攻撃


「ところで、トモヤ‥‥‥さん。このまままっすぐ進んで仲間と合流できると思いますか?」


「トモヤでいい。まぁ、戻るという選択肢が無い以上仕方がないとは思うな。それなら敵の残党を殲滅する意味でも早く進んだほうがいい。」

俺の質問にトモヤは即答した。

ホントに迷わない人だ。

その決断力が戦闘にいい影響が出てるよな。


「橋本、、、ちょっと、、いいかしら?」

そして、今度は宮下さんが手招きするので近寄ると俺の耳に口を寄せて

「愛してる」

と囁いた。


な、な、なにいってるの?

とツッコミたいけど残念ながら俺の顔は真っ赤になっていた。

そして振り返ると少しも照れていない宮下さんが目を細めてこちらの方を見ていた。


「ごめんね、一度やってみたかったのよ。私自身、もっと照れると思ったんだけど橋本があんまり照れるから、かえって冷静になってしまったわ。計算外ね。それで本題なんだけど、なんであの人と一緒に帰ってきたの?もしかして敵と味方の区別がつかないほど橋本のアタマは残念になっちゃったの?それとも、もとからそんなアタマなの?とりあえず脳移植でもしてみる?」

いやいやいや、脳みそごと交換って、、、そんな『コンビニで買い物してくる?』みたいな軽いノリで言われても、、、


まぁ、それはともかく、勝手にトモヤを仲間にしたのは悪かったかな?

コトハさんあたりにもチクっと言われそうだよ。


「いやこの人、案外悪い人じゃないよ。さっき戦って気づいたんだけど、エリクサーの時だって、、、」

俺がそう続けようとした時に宮下さんから反論が飛んできた。


「戦って友情が芽生えるとか、、どこの少年漫画なのよ?友情とか努力なんて古過ぎてもう賞味期限とか切れてるわよ。」

‥‥うん、、宮下さん、そろそろ、口を閉じようか?

あんまり、いろんな業界に噛み付いていると後々立ち直れなくなるよ、、、


「悪かったな、、、俺のせいで揉めているようだが、、、どうしたら信じて貰えるんだ?

切腹か?」

トモヤはそう言って剣を抜き出した。

‥‥もしかして、この人ヤバイ人なのか?

俺が大慌てで止めようとすると。

彼は剣の持ち手を宮下さんの方に向けて差し出した。


「そんなに信頼できないのならこれで、俺を斬っても構わんよ。その代わり、殺るならサックリやってくれ」

トモヤはそう言って不敵な笑いを浮かべた。


しかし、宮下さんはなんとか矛を収めてくれたよ。


「わかったわ。橋本が決めたならわたしも従うわ。でも、、、、橋本に危害を加えたら、、、、千切りにしてあげるわよ」

そう言って剣をトモヤの喉元にあてた。


「へいっ、へいっ、お〜、怖い、こわい。

わかった、俺はそんな不義理なことをするつもりはないがな」

トモヤはそういって余裕の笑みで両手を挙げて降参した。



「ほら、そこ。イチャついてないで、早く進むよ。」

俺はそんなやりとりをしている2人を急かせて先に進んでいた。何しろ、他のメンバーもトモヤ級の敵を相手にしているかもしれないから、早く合流しないと。

しかし、完全に言葉のセレクトを間違えたようだ。


宮下さんが持つ剣の先が俺の目の前を通り過ぎる。その際に剣に触れた俺の前髪が数本、パサリと地に落ちた、、、や、やべぇ、、

なにが引きトリガーかわからないけど、ツンデレがヤンデレにクラスチェンジしたのか?


しかし、宮下さんも無意識に剣を振るってしまっただけのようで追撃は無かった。


「橋本、ごめ、、、ご冥福をお祈り申し上げたいレベルの顔が髪を切って少し見られる顔になったんじゃない?」

そして、宮下さんも、我に帰ったのか俺にアタマを下げそうな素振りをした、、と思ったら、、なぜか罵倒された、、、

なんだよ?ご冥福をお祈り申し上げたいレベルの顔って?

俺のこと好きだったんじゃないのかよ?


もしかして、、、これが宮下流ツンデレ免許皆伝の腕前とでも言うつもりか?


「ほら、行くぞ。」

一瞬、呆気に取られていたトモヤは一番に正気を取り戻し、先へ進んでいく。


慌てて俺と宮下さんはトモヤを追いかけた。




暫く歩いていると、洞窟の横壁に四角い穴がいきなり現れた。


もしかして、洞窟を掘り進める魔獣でもいるんだろうか?

俺たちは念のため足を止めて少し離れた位置から様子を見る。

すると、中から少女が現れた。

敵か?味方か?

様子を見ていたが襲いかかってくる様子はない。少女はこちらに気付き俺たちに向かって走り出した。


マズイ、敵か?

「トモヤさん、取り敢えず敵を足止めしてくれませんか?」

俺がそう言うとまだ少女までかなり距離があるというのに彼が剣を振るおうとした。


いや、彼は少女が加速したのを知っていたようだ。彼が剣を振るった時には少女はトモヤのすぐそばにまで来ていた。そこにトモヤの剣が迫る。

これ?ドンピシャで少女は真っ二つになるタイミングだよな?トモヤの考える足止めは相手を真っ二つにすることなの?

俺は仲間への作戦指示の難しさを改めて実感してしまったよ。



しかし、俺の後悔は無駄に終わった。

少女は慣性の法則に逆らって真後ろに大ジャンプ。あっさり、回避した。


更に追撃に向かったトモヤが剣を振るうと、今度は左側に跳躍した。



あれ?

穴から他の人が出てきている。

もしかして、敵の援軍?


「あ〜〜〜っ、シンヤ君。こんなとこで道草食って何してるの?お腹壊すよ」

しかし、穴から出てきたコトハさんは驚きの声を上げて、俺を指差す。

コトハさん、人を指差しちゃダメって習わなかった?


「コトハさん、イオリ、無事だったか?」

俺はコトハさんと、彼女に肩を貸してもらってなんとか歩いているイオリを気遣って声をかけた。


「‥‥シンヤ君それはいいんだけど、妹ちゃんと敵が戦っているの、加勢しなくていいの?」

コトハさんは今度は少女を指差した。


「えっ?妹ちゃん?誰それ?おいしいの?」

コトハさんって妹いたっけ?


「えっ、、、シンヤ君の妹だよ。もしかして、覚えてないの?」

コトハさんに言われて改めて少女を見る。


物理法則を無視して、そこら中をピョンピョン飛んでトモヤの攻撃をかわしている少女。

あっ、楓だ。



「トモヤ、楓〜〜〜、ストォ〜〜プ〜」

俺は慌てて2人の間に向かって走っていった。






「お兄、お兄、お兄、お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄お兄〜〜〜会いたかったぁ〜」

争いがおさまると楓は俺の胸に飛び込んだ。


「‥‥シンヤ君、この人、私達をさっき襲ってきた人だよね?なんで一緒にいるの?」

更に近付いてきたコトハさんは無遠慮にトモヤを見つめながら俺に質問した。



「あ〜〜、俺は勝負に負けてコイツのものになったんだが、何か文句でもあるのか?」

その質問にバツの悪そうな態度でトモヤが答える。


「え〜〜、シンヤ君のものなの?え〜、ウソ?そういう関係なの?」

コトハさんは、え〜、とか言いながらも喜色満面の笑みを浮かべながら更にツッコンでくる。そ、その想像はやめてくれ〜


「いや、違っ‥‥楓、また会えて嬉しいのはわかるけど、いつまで俺にくっついてるんだよ?」

楓が俺の正面から抱きついて離れてくれない。いくら兄弟だからと言っても、残りのパーティーメンバーに見られてなんだか恥ずかしいんだが、、、、、


「久し振りだから、良いでしょ?今夜は寝かさないよ。」

楓は俺の耳元で小さく呟いて、俺の耳に舌を這わせた。

「イッ‥‥ちょっと待って、、楓、、それ、反則だからな。」

その時、いきなり楓が俺から離れたと思ったら、目の前を炎の塊が通り過ぎた。

て、敵襲か?皆の者〜、であえ、であえ〜

俺は慌てて周りを見渡すが、俺たち以外誰も居ない。


しかし、冒険者としてもニートとしても経験を積んだ俺にはこれがどういうカラクリかは簡単に見抜いている。


透明攻撃インビジブルアタックだな?

厨二っぽくて俺が2番目に欲しかったスキルだ。正直言うと羨ましい。

ちなみに1番欲しかったのは時間停止だ。


俺が皆んなに注意を呼びかけようとしたその時、、、

「イオリちゃん、大丈夫?」

イオリが地に伏して、コトハさんが心配のあまり大声を出していた。


しまった〜、1番弱っている相手から仕留めるのは常套手段だ。何よりも先にイオリを護るべきだったんだ。

俺なら次は誰を狙うのか?


簡単だ。動揺しているコトハさんに決まっている。


「コトハさん、危ない。」

俺はコトハさんに抱きつくような形で飛びついた。勢い余って彼女を押し倒すような形となったが仕方がないだろう。なんとか彼女を護りきったんだ。次は隣にいるイオリの怪我の状態を見ないと、、、

そう思い、腕に力を込めて状態を起こそうとすると、ムニュっと柔らかい感触が手のひらに伝わってくる。もちろん、宮下さんの時の無乳とした感覚ではなく、とにかく柔らかい感触に頭の中はエッチなことで一杯になりかけたが今は理性が勝った。


「イオリ、大丈夫か?」

俺がイオリを、よく見るがとくに怪我をした様子はない。呼吸も正常に見える。


「あの、イオリちゃん、、ギリギリだったのにあの状態でまさか妹ちゃんにファイアーを放つとは思わなかったよ。大丈夫、力尽きて気絶してるだけだから。ところで、いつになったら胸から手を離してくれるのかな?」

コトハさんはそう言って俺を安心させてくれた後に重大な事実を告げた。あれ?理性が勝ったハズだったのに、、、、


俺が呆然としている内に、今度は楓が俺とコトハさんの間に乱入してきて更にメチャクチャになってしまった。


「ほら、行くぞ。まだ、仲間が2人のこってるんだろ?心配じゃねえーのか?」

トモヤはそう言って先に進んでいく。

正直、正論過ぎて反論できないのでイオリを背負って後を追いかけた。


その間、怖くてコトハさんの方を見ることは一度もできなかった、、、、


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