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チート転生者と白狼娘  作者: ゴルゴン
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瀕死はパワーアップフラグ

  初めての依頼は思ったより簡単に終わった。


  ゴブリン10体のレベルは5か6しかなくゴブリンの進化した魔物のホフゴブリンもいたが進化したばかりなのかレベルは4しかなく少し大きいゴブリンといった感じだ。

  当然そんな魔物に負けることもなくその場にいたゴブリン5匹を倒した。


  ここに来てからゴブリンばかり倒してるな……他にも魔物いないかな。


  少々退屈な思いをしながら残りのゴブリンを探しながら今後の役に立ちそうな薬草類を採取していく。

  森の地図は町から近いからなのかかなり詳細に書かれておりどこにどんな植物があるのか記載されている。


  しばらく歩くとグチャグチャと変な音が聞こえて来た。何かを潰すか食べている音だ。


  「やっとゴブリンに会えそう……か?」


  茂みを押しのけて音のする方に急ぐとゴブリンではない魔物がこちらに背を向けて肉を食べていた。

  魔物は食事に夢中のようでこっちには気づいていない。全体的にカマキリのように細く手足はまるで剣のように鋭い。

  俺はバレないように慌てずゆっくりと茂みに身を隠してから鑑定を使う。


  [刃獣・ザンクLv18……手足の刃が特徴の魔物。動きが素早く壁などに刃を突き立てて立体的に移動し獲物を奇襲するどう猛な暗殺者。一度獲物と決めた相手は殺すまで追いかける執念深さがある。犬とカマキリを混ぜたような姿をしている。


  ……え、えげつねえなおい。しかもレベルが俺の三倍かよ!


  ザンクは肉塊となったものを食べておりこちらに気づいていない。周りに落ちている剣や鎧を見ればその肉塊がまたは人であったことがわかる。

  喰われている死体の周りにも同じような肉塊が散乱しバラバラにされた馬車や首のない馬の死体も転がっている。


  Lv18の化け物にいきなり勝てるわけねえし帰ろ。まだ気づかれてないしな。


  そう思い引き返そうとしたとき馬車からパキッとかの折れるような音が聞こえた。そっちを見ると中から銀髪で獣耳の生えた少女がいた。隠れていたようだ。

 少女は音がしたのに気づいてないのかゆっくり馬車の中から這い出ようとしている。


  「ギッ?」


  ザンクは音のした方を振り返り少女を見つけるとニヤリと笑ったように口を歪めてゆっくりと彼女に近づいていく。

  まだ彼女は気づいていない。このままでは確実に殺されるだろう。

  俺の体は勝手に動いていた。


  「お前の相手は俺だ化け物ー!!」


  風体を使い速度を上げ一気に近づき後ろ足を斬りつけるがあっさり弾かれてしまった。


  「ギイイイィィィッ!!!」


  ザンクは威嚇するかのように鳴き声をあげ鋭い前足で殴るってくる。

  風体で速度が上がっているおかげでなんとか躱せるがギリギリだ。まるで刃が振られているような風切り音が聞こえる。


  足がダメなら顔だ!


  あえて正面から回避し隙を伺っているが中々隙を見せないどころか風体の効力が切れてきたのか躱しづらくなってきている。

 

  「ちぃ……うぉっ!」


  焦ったところにザンクの引っ掻きが腕にかすり体勢が崩れてしまった。熊のようにでかい魔物の攻撃だ。たとえかすっただけでも人間の体勢くらい簡単に崩すことができる。


  「ギィヤ!!」


  ザンクはそれをチャンスだと思い前脚をおおきく振りかぶって振り下ろしてきた。


  チャンス!!これで決める!


  「疾風斬り!!!」


  神羅を逆手に持ちザンクの顔面を斬りつける。綺麗に左目に斬撃が入り鮮血が飛び散る。


  「ギィヤアアアアア!!!?」


  ザンクは痛みで両脚を振り回しのたうちまわっている。


  よし、今なら!!


  「おい!馬車に隠れてるやつ!すぐに逃げっガハッ!」


  後ろから殴られて吹き飛ばされる。予想以上に立て直しが早かった。

  体勢を立て直しザンクを見ると血走った右目でタクヤを睨みつけていた。


  「フゥ…フゥ…!」


  きつい…視界がグラグラする。頭から血が出て前が見にくい、こんなやつどうやって倒せばいいんだか…。


 神羅を構えなおし一歩前に足を出した瞬間ザンクが視界から消えた。


  「どこにいっグゥ!!?」


  ボールのように弾き飛ばされた。

  ザンクにも速度を上げるスキルがあったらしい。

  派手に吹き飛ばされ木にぶち当たってようやく止まった。


  「ぐっ……体が……」


  無理やり立ち上がろうと足に力を入れたが動かない、足元を見ると両足とも変な方向に向いていた。しかも白いものが顔を覗かせ血がダラダラ溢れてくる。


  今度こそ勝ちを確信したのかゆっくりとザンクがこちらに近づいてくる。


  あぁ…こんなところで終わりか、2度目の人生もあっけない…あの子は逃げられたかな?最期に人助けができたなら前よりはいいか……。


  ザンクが目と鼻の先まで近寄って口を目一杯開ける。肉の腐った匂いや血の匂いがする。


  「くっ…………あれ?」


  目をつぶっていたが一向に殺される気配がしない、というか痛みも感じなくなっている。

  目を開けるとザンクが口を開けながら静止していた。まるで時間が止まったかのようだ。


  『ようやく目を開けたか人間よ。中々面白い闘いであったぞ』


  「へ?」


  上から野太い声が聞こえ見上げると影がタクヤに話しかけていた。とてつもなく巨大で座っている状態では全貌がわからないほど巨大だ。ただ真紅に染まった瞳でタクヤを見据えている。

 

  『まずは我の自己紹介をしなくてはな…我はシンラ、その刀に封印されている竜だ。刀の持ち主が死にそうだったから勝手に時を止めさせてもらったぞ』


  「時間止めても結局死ぬだろ?こっからどう足掻いても勝てないよ…早く楽にしてくれ」


  『潔いな人間。だが我ならばこの状況を覆してやれるぞ?だが契約をしてもらうがな…どうする?あの娘を見殺しにするか?この魔物は獲物の匂いを覚えたら逃しはしないぞ』


  こいつの言ってることが本当なら俺が死んだらあの子は確実に死ぬ。乗ってみるか。


  「…契約の内容は?」


  『そう怖い顔をするな人間よ、ただ我の眷族けんぞくになって竜の国の封印を解いてほしいのだ。眷族になるには我の血を貴様の体内に注入するしかない、それにこのままでは貴様の血が足りなくなって死ぬだけだ』


  「わざわざ眷族にする意味は?」

 

  『そういうところは察しが悪いのだな、国の封印を解く条件は3つ、我自身で解く、血縁関係にあるものが解く、そして眷族が解く、これだけだ』


  「…なるほど、それで輸血しただけで本当にこんな化け物に勝てるのか?防具はボロボロ、刀も当たらない」


  シンラはおかしそうに真紅の目を細めた。


  『クハハ!心配する必要はない、我はこの世界で最強の存在だ。我の力は貴様も見ただろう?それで契約するか人間よ?』


  リザードマンを瞬殺したあの力…あれを自由に操れるようになればたしかにザンクは倒せるだろう。だが何か嫌な予感がする。だが迷ってる時間はない。


  「………わかった、契約しよう。やってくれ」


  『いいだろう我が眷族よ!では眷族となった貴様に新たな力を授けてやろうではないか!時が動く前に貴様の装備を確認しておくことだ、眷族のために新たな装備も用意しておいた』


  そう言ってシンラの影が少しずつ消えていく。

  いつの間にか視界が少し悪くなっている。フルフェイスの兜を被っているようだ。鑑定スキルを使い今の状態を確認する。


  覇竜の眷族タクヤLv30、覇竜の鱗鎧りんがい一式、神羅の大太刀、スキル・疾風斬りLv6、反射Lv6、風体Lv6鎌鼬かまいたちLv6、覇竜の瞳、死炎Lv6、竜人の吐息ドラゴニュートブレスLv6、竜力Lv6、竜人化。


  なんか色々増えてる?!!しかも刀が大太刀になってるし竜人って完全に人間やめてるんですが……この鎧真っ黒というか漆黒って表現が1番しっくりくるな、こいつの兜を被ってるから視界が少し悪いのか。それにしては妙に軽いな…傷まで完全に塞がってるし神羅の血液やばいな…チートだこれ。


  装備とスキルの確認が終わり時間が動き出した。

  ザンクの臭い口が近づいてくる。


  「臭いんだよマヌケ!!!」


  「グギッ?!!」


  ザンクの鼻を全力で殴り吹き飛ばした。ザンクは驚きつつもなんとか踏みとどまったが脳が揺れたのか足が微かに震えている。

  立ち上がり霞の構えを取る。


  「第二ラウンドだ、かかってきな!」

 

 




 


 

 

タクヤ「一度はやってみたかった構えと口上言えた!」

シンラ『調子乗んな眷族』


霞の構え、相手の目を狙う構え方みたいです。Fateの佐々木小次郎が似たような構えをとっていたと思います。

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