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第65話 そのつまんない綺麗事をアリスは否定した

衣装部屋。


静か。


いつも通りの空間。


ベッド。


鏡。


そして。


チェシャ猫と白うさぎ。


チェシャ猫がにやりと笑う。


「やあ、おかえり」


白うさぎがぴょこんと頭を下げる。


「お、おかえりなさい」


扉が開く。


光。


アリスとラブが戻る。


アリスが一歩踏み出す。


「あ、チェシャ」


じっと見る。


「逃げたでしょ」


チェシャ猫は肩をすくめる。


「だって何もできないからね」


ラブがくすっと笑う。


「薄情だね」


軽く。


「うさぎも無事だったんだ」


白うさぎが慌てて頷く。


「女王様達の戦いに巻き込まれる前に、なんとか……」


チェシャ猫が興味深そうに言う。


「やりあったのかい?」


アリスが肩をすくめる。


「まぁ、ね」


ちらっとラブを見る。


ラブが笑う。


「お話しただけー」


同じようにアリスを見る。


一瞬。


目が合う。


二人とも笑う。


ラブがふと思い出す。


「あ、そのせいで」


少しだけ困った顔。


「不思議の国、壊れちゃったかもなんだけど……」


チェシャ猫がすぐに答える。


「いや?問題ないよ」


アリスが眉をひそめる。


「え?」


白うさぎが補足する。


「あの物語は、僕達の物語とは違うみたいなんです」


アリスが考える。


「つまり……」


「別の不思議の国がある……?」


チェシャ猫が笑う。


「そういうこと」


軽く。


それから。


「あと」


少しだけトーンを変える。


「次からは歪ませるの、やめてほしいな」


アリスが即座に返す。


「え?」


チェシャ猫が続ける。


「物語を歪ませたら、他のも歪んじゃうのが分かったしね」


アリスが目を細める。


「否定するの煽った癖に」


チェシャ猫が笑う。


「アリスの趣味みたいなものでしょ」


アリスが呆れたように言う。


「うるさい」


ラブがぱっと顔を上げる。


「じゃあこれから何するの?」


チェシャ猫が答える。


「今までの歪み、全部治してこよう」


間。


アリスが止まる。


「は?」


ラブも目を丸くする。


「せっかく終わらせたのに?」


白うさぎが慌てて説明する。


「歪みがあると繋がって、また歪んだ物語ができちゃいますので……」


チェシャ猫が頷く。


「そういうこと」


アリスがため息をつく。


深く。


ラブが少し身を乗り出す。


「アリスちゃん」


アリスがちらっと見る。


「?」


ラブが笑う。


明るく。


でも、


ほんの少しだけ、


間がある。


「一緒ならなんとかなるって!」


手を広げる。


「ほら、私たちでやったんだし」


「……ちゃんと終わらせられるよ」


小さく続ける。


「今度は」


アリスは一瞬黙る。


ラブを見る。


それから。


小さく息を吐く。


「……はぁ」


「つまんない綺麗事」


ラブが楽しそうに聞く。


「否定する?」


アリスは少しだけ笑う。


ほんの少し。


「もう分かってる」


一拍。


「それでも、採用しないだけ」


チェシャ猫がひょいと肩に乗る。


「退屈そうだね」


白うさぎはラブの後ろに回る。


「で、では行きましょうか……」


扉が現れる。


静かに。


アリスとラブが並ぶ。


少しだけ。


距離を置いて。


それでも、


同じ方向を見る。


アリスが手をかける。


開く。


光。


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