第63話 その衝突は世界を壊す
ぶつかる。
音が消える。
次の瞬間。
世界が割れる。
アリスの剣。
ラブの光。
触れた瞬間、
空間が削れる。
崩れる。
歪む。
床が砕ける。
トランプ兵が巻き込まれる。
裂ける。
でも。
次の瞬間、
戻る。
ラブの光が包む。
「いいよ」
再構築。
成立する。
アリスの剣が振るわれる。
再び、
切断。
今度は戻らない。
存在ごと削れる。
世界が耐えられない。
崩壊が進む。
空が割れる。
色が抜ける。
意味が消える。
それでも。
ラブは笑う。
「全部許そう?」
一歩踏み出す。
崩れた地面の上を、
浮くように。
「アリスちゃんに罪なんてないんだよ?」
光が広がる。
優しく。
「生きるために、進むためにやってることなんだからさ」
アリスは剣を止めない。
振るう。
切り裂く。
その中で。
「罪はあるよ」
静かに言う。
「生きるだけで、進むだけで」
一歩、
踏み込む。
地面が割れる。
「私は罪人なんだよ」
ラブは首を振る。
「そんなことないよ」
その瞬間。
ハート。
無数に現れる。
アリスを囲む。
包み込む。
優しく。
暖かく。
「それが罪だとしても」
「私が全部許すもん」
アリスは止まる。
一瞬。
剣が空中で静止する。
「……どっちでもいいんでしょ」
ぽつりと。
ラブが少し首を傾げる。
「ん?」
アリスは言う。
「良いことも、悪いこともさ」
ハートが揺れる。
「ラブは興味が無いんだよ」
次の瞬間。
大剣が飛ぶ。
空間を裂きながら。
一直線に。
ラブへ。
ラブは避けない。
受ける。
光が包む。
「……そうだよ」
静かに。
剣が触れる。
削れる。
でも、
消えない。
「どっちでもいい」
光が広がる。
「だから、許せる」
剣が弾かれる。
空中で停止。
「相手のことを、肯定できる」
その瞬間。
世界が大きく揺れる。
空が崩れる。
地面が裂ける。
裁判の空間が崩壊する。
トランプ兵が落ちる。
戻る。
また崩れる。
成立と否定が、
同時に起きる。
アリスはそれを見る。
静かに。
「……そっか」
一歩踏み出す。
崩壊の中へ。
「分かったよ、ラブのこと」
ラブの目が揺れる。
ほんの少し。
アリスは続ける。
「私が私を否定するのは」
剣が浮く。
二本。
「私に罪があるから」
そのまま、
向ける。
「でもラブは違う」
一拍。
「ラブは、自分を守るために肯定してる」
空気が止まる。
ラブの表情が揺れる。
「あ……」
声が漏れる。
アリスは続ける。
「誰かを許したいんじゃない」
「許してる自分でいたいんだ」
沈黙。
ラブは何も言えない。
笑顔が、
崩れる。
少しだけ。
アリスは一歩近づく。
崩れた世界の上を。
「……ラブ」
静かに。
「私はその肯定を……」
剣が揺れる。
空間が歪む。
「否定する」
振るう。
光を切り裂く。
ラブの周囲が崩れる。
ハートが砕ける。
歪みが裂ける。
ラブが揺れる。
崩れる。
でも。
消えない。
ラブは顔を上げる。
涙はない。
でも。
少しだけ、
弱い笑顔。
「……そう、だね」
静かに。
「自分を肯定したいからする」
一歩踏み出す。
崩壊の中で。
「だから」
アリスを見る。
真っ直ぐに。
「アリスちゃん、その否定を」
優しく。
「肯定するよ」
その瞬間。
アリスの歪みに、
ひびが入る。
音。
小さく。
でも、
確かに。




