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第62話 その歪みは互いを映す

裁判。


静寂。


誰も動かない。


アリスの言葉が、


空気に残っている。


「私は……私を否定する」


その一言。


重く、


沈んでいる。


ラブは動かない。


玉座の上。


ただ、


アリスを見ている。


笑っている。


でも。


どこか、


揺れている。


「……そっか」


小さく呟く。


優しく。


「そこまで、否定するんだね」


立ち上がる。


ゆっくりと。


ドレスが揺れる。


空気が、


柔らかく歪む。


「でも」


一歩。


階段を降りる。


「それでもいいよ」


変わらない笑顔。


「アリスちゃんがそうしたいなら」


「全部、いい」


その瞬間。


空間が歪む。


ふわり、と。


ラブの足元から、


光が溢れる。


暖かい。


柔らかい。


でも。


止まらない。


溢れ続ける。


ドレスが広がる。


赤と黒が、


滲むように混ざる。


ハートが浮かぶ。


空中に。


無数に。


「大丈夫」


ラブが言う。


「全部、許すから」


トランプ兵が揺れる。


崩れかけた存在が、


戻る。


裂けたものが、


繋がる。


歪みすら、


保たれる。


ラブの瞳が光る。


ハートの光。


強く。


輝く。


「壊れてもいいよ」


「間違っててもいいよ」


「全部、そのままでいい」


その言葉と共に、


世界が膨らむ。


溶けるように。


曖昧になる。


境界が消える。


優しく、


侵食する。


アリスはそれを見る。


動かない。


ただ、


見ている。


静かに。


「……そう」


一言。


足元。


ひび。


小さく。


音もなく。


広がる。


空間が、


割れる。


ラブの光に、


亀裂が入る。


アリスの髪が揺れる。


白。


さらに白く。


長く。


広がる。


風もないのに。


揺れる。


瞳。


色が抜ける。


青が薄れる。


限りなく、


白に近い空の色。


目の奥の光が消える。


何も映さない。


表情が消える。


完全に。


アリスが手を上げる。


空間が歪む。


裂ける。


その中から。


落ちる。


大剣。


一振り。


そして、


もう一振り。


空中に浮かぶ。


歪んだ刃。


形が不安定。


しかし。


存在は重い。


「それは違う」


静かに言う。


ラブの光が、


揺れる。


アリスの周囲。


色が抜ける。


音が消える。


意味が薄れる。


一歩、


踏み出す。


床が割れる。


ラブが微笑む。


でも。


少しだけ、


歪む。


「いいよ」


すぐに言う。


「それも、いい」


アリスの剣が揺れる。


空間を削る。


ラブの光が触れる。


包む。


でも。


削れる。


同時に。


二つの力が、


ぶつかる。


広がる。


押し合う。


世界が悲鳴を上げる。


トランプ兵が崩れる。


戻る。


また崩れる。


安定しない。


白うさぎが震える。


「じょ、女王様……」


声が届かない。


ラブは前を見る。


アリスを見る。


「アリスちゃん」


優しく。


でも、


少しだけ。


揺れている。


アリスも見る。


ラブを。


無表情で。


何も乗せないまま。


「ラブ」


ただ、


名前を呼ぶ。


その瞬間。


二人の歪みが、


完全に顕現する。


光と亀裂。


肯定と否定。


相反する存在が、


向かい合う。


世界が、


耐えられない。


崩壊を始める。


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