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第22話 その結末をラブは満たす

城。


門の前。


男が立っている。


王子。


息を整える。


目の前の景色を見る。


「……」


茨が、ない。


聞いていた話と違う。


城は開いている。


静かじゃない。


人の気配がある。


王子は一歩、踏み出す。


中。


兵士がいる。


動いている。


話している。


笑っている。


王子は立ち止まる。


「……どういうことだ」


誰も答えない。


そもそも、誰も気にしていない。


廊下を進む。


奥。


扉が開く。


部屋。


人がいる。


王。


そして。


少女。


オーロラ姫。


起きている。


王が泣いている。


「……よかった……」


声が震える。


抱きしめる。


強く。


オーロラは少し驚いた顔をしている。


「……お父様?」


状況がわからない。


でも。


そのまま受け入れる。


「……どうしたんですか?」


王は答えない。


ただ抱きしめる。


少し離れた場所。


ラブがいる。


白うさぎもいる。


王子はそこに立っている。


動けない。


ただ、見ている。


一歩も踏み出せない。


「……」


遅かった。


というより、


もう、必要とされていない。


白うさぎが小さく言う。


「間に合わなかった、ですね……」


ラブは首を傾げる。


「間に合ったよ?」


白うさぎが戸惑う。


「え……?」


ラブは笑う。


「起きてるし」


「会えたし」


「それで十分でしょ?」


王子は何も言わない。


ただ、


オーロラを見る。


オーロラが気づく。


王子に。


目が合う。


少しだけ首を傾げる。


「……どなたですか?」


静かな声。


王子の言葉が止まる。


「……」


何も言えない。


物語は、


もう終わっている。


時間が流れる。


後日。


城。


賑やか。


飾り付け。


音楽。


人が集まっている。


オーロラの誕生日。


17歳。


会場。


ざわめき。


一人の女が入ってくる。


魔女。


空気が止まる。


緊張。


ざわめきが広がる。


「……」


誰も動かない。


その中で。


オーロラが前に出る。


迷いなく。


魔女を見る。


そして。


笑う。


「来てくれて、ありがとうございます」


静かに。


まっすぐに。


魔女が少しだけ目を細める。


何も言わない。


でも、


拒まない。


王が頷く。


王子も、拍手する。


遅れて。


周囲も続く。


音が広がる。


緊張がほどける。


ラブはそれを見ている。


少し離れた場所。


白うさぎが隣にいる。


「……これで、よかったんでしょうか」


小さく言う。


ラブは笑う。


満足そうに。


「うんうん」


頷く。


「これで」


少しだけ間。


「誰も悲しくないでしょ?」


白うさぎは答えない。


でも、


少しだけ安心した顔をする。


ラブはくるっと回る。


楽しそうに。


「だからこれは──」


にこっと笑う。


「ハッピーハッピーエンドだね!」


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