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第八十八話 新しいスキル

「どうでもいいけどさー、博史も帰ってきたんだし

ケイティも合流したんだし、そろそろ酒盛り始めようぜ」

 キリヤの言葉で宴会が始まった。


神殿跡の焚き火にありったけの酒瓶が並び、ブランが手早く干し肉を炙り始める。

そんなブランに肉を無駄にするまいとチェンマンが割って入る。

ブランは不本意とばかりに頬を膨らませ

「あたしが博史に肉を焼いて持っていくの」


そう主張するブランからチェンマンは駄々をこねる子どもをあしらうように

肉を取り、チェンマンが焼き始める


神殿の焚き火…

おそらく聖火なのだろう

しかし、誰もそのことを気にする様子は無かった


マリーは杯を片手に、さっそく上機嫌で鼻歌を歌っていた。

「あー、やっぱり死線を潜り抜けたの酒は格別だわー。

マリリン、今日は飲むわよーあはん」


「ここは、おっさん居なくてもいいのか?」


「あら、博史、好みの女が居ないとお酒が進まないのかしらぁ

あ、このパーティにはマリリンみたいな可愛い子がいっぱい居るもんね」


「けっ、ババアが何言ってやがる

このパーティにはまともなやつほとんどいねぇだ…」

キリヤが言い終える前にマリーの守護霊の鉄拳が下った


 ケイティも初めは遠慮がちに杯を受け取っていたが、

二杯目あたりからすっかり打ち解け

涙ながらに詩の一節を口ずさみ始める。


「ば、バカヤロー……こんな風に笑って飲める日が来るなんて、思ってなかったのです」

「気にすんな、うちのパーティはいつもこんな感じだ」


 水月は静かに酒を舐めながら焚き火を見つめ

フローレンは骨付き肉を頬張りながら

「何で食べ物の肉を突き刺す時には古墳しないのだろう」

と怖い事ぼやいている。

誰も彼もが、束の間の平穏を惜しむように杯を重ねていた。


「なぁ、博史ぃー四天王の居城から一人でケイティを救ってくるなんて

また強くなったんじゃねぇか?」



「それなんだがな、キリヤ、スキル俺の影を歩くがレベルアップしたみたいなんだ」



「あら、スキルが勝手にレベルアップするなんて

マリリンー聞いたことないわー

転生者ならありえるの―?」

隣で飲んでいたマリーが割って入ってきた


「それでどんなスキルなんだい?」


「自分で使ってもよく分かんなかったから今使ってみる

スキル『影になる』発動」


「おおおー!」

スキルを発動すると歓声が上がった


博史の姿が消えてその場に衣服が宙に浮いている

「まさか、透明化してるの?」


「やっぱり、そうなんだ…身体だけ透明化出来てるんだ..

あと多分なんだけど、触れた人も透明化出来るっぽい」


「おかしいですね…

影を歩くはスキルのレベルをあげると

自分の装備や味方などに隠密の範囲が広がるスキルのはずで

余には必要の無いスキルだと思っていたのですが…

自分が消えるなんて聞いたことないですよ」

珍しくリザリーが話に入ってきた



「じ…じゃあ、試せばよいじゃないかい?

博史、あ…あたしにふ…触れて透明化させてくれないかい?」

ブランは顔を赤くして言った

「は?やめといた方がいいよ」

「そうよ、ブランちゃんやめときなさい」


「な、なんでよ!

こ、これから使う事があるかも知れないんだから、

ふ、触れて出来るか確認した方が良いでしょう?」


「..分かった」

博史がブランに触れるとブランは透明になり衣服がその場に浮いた


そして沈黙が訪れた

「な、なに黙ってるの?

って..」

ブランはあることに気付いた

透明なのはブランの身体だけで衣服がすべて浮いている


つまり、下着が中からすべて丸見え

むしろ、胸やおしり等の身体のラインが下着に接触しているために

形が強調されていたのだ


「ち、ちょっと、なんてことするのよ!

やめて、戻して!!」

その場にブランがしゃがみこむと

その動作も下着によって強調され

うずくまったことで胸の動きまで分かってしまった


「だからマリリン言ったじゃない

やめとけばって..」


俺はさすがに気まずくて見ていられなくなり、透明化を解いた


「博史!最低!!!」

バシィーンとブランの平手打ちが博史の顔面を歪める


え、お、俺が悪いの..?


「そうだな、これは博史が悪い」


「博史ってやっぱりむっつりなんだねー」


仲間の俺を咎める声を最後に俺の意識は刈り取られた。



「良かった」と思ってくださったら

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筆者が泣いて喜びます。


その他の作品も読んで頂けると嬉しいです。

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