苦い薬
わたしは水を少し飲んでから、目の前のスープをどんどん食べ始めた。あたたかい汁が、感謝しながら飲み込むたびにのどを包んでいった。
「これ、すごくおいしい!」
わたしは少し手を止めて、両手で包んだ器を見つめた。それから、また一さじすくった。細い湯気が冷たい朝の空気の中に立ちのぼり、すぐに消えていくのを、じっと見つめていた。
正直、どうしてこんなにおいしいのか、うまく説明できなかった。今まで我慢してきたぶん、おなかがすっかり空っぽになっていたのかもしれない。それとも、おばさんの料理が、名前のわからないあたたかい味付けで、本当に特別な味なのかもしれなかった。
食べているあいだ、胸の中にあたたかさが広がっていった。太陽が雲の隙間からやさしく差し込むみたいに、体の奥まで染み渡っていった。少し泣きそうになった。おなかがちゃんと満たされるのなんて、誰かがちゃんと食べさせてくれるのなんて、本当に久しぶりだと気づいたから。
「おばさん……これ、本当においしいよ」
食べながら、おばさんが近くで小さく笑う声が聞こえた。あたたかくて急がない音が、この小さな空間いっぱいに広がるみたいだった。
「ありがとう。ジアがそんなに元気に食べてくれると、おばさんも嬉しいわ」
わたしは、食べながらちらちらとおばさんを見た。その声に急に温かさが混じったのが、不思議だった。
「なんで、おばさん?」
おばさんはゆっくり首を横に振ってから、話し始めた。その表情は、どこか懐かしむようにやわらいでいた。
「おばさんはね、本当は女の子が欲しかったの。でも、代わりにジアと同じくらいの年の息子がいるのよ」
わたしは首をかしげた。おばさんの人生を、こんなふうにちらっとのぞけたことに、なんだかわくわくした。その息子がどんな子で、どんな毎日を過ごしているのか、知りたくなった。
「そうなんだ……もし会えたら、ジアはその子と遊べる?」
おばさんは一瞬驚いたような顔をした。その表情は、戸惑いとためらいが混ざったものに変わり、視線が一瞬、テントの向こうの木々の方へ流れた。
「おばさんにも、よくわからないの。あの子は、お友達を作るのがあまり得意じゃないから」
わたしは、そのあとすぐにスープを食べ終えた。水も一緒に飲み干して、唇についたしずくを舐め取った。
それから、コップと器を両方、おばさんの方へ差し出した。
「おばさん、ジア、食べ終わったよ」
おばさんは、わたしの手からそれを受け取った。指先が一瞬わたしの指に触れた。思っていたよりあたたかくて、ざらざらしていた。
おばさんはそれをどこかに丁寧に置いてから、また話しかけてきた。
「ジア、まだお薬を飲んでいないでしょう」
わたしは戸惑って、すぐに聞き返した。
「お薬って、なに?おばさん」
おばさんが指さした方を見ると、もう一つのひょうたんのコップがあった。中身は濁っていて、見つめれば見つめるほど、嫌なにおいが強くなっていくようだった。
「それは、ジアの痛いのどを治すためのお薬よ。おばさんは実は薬草師なの。ジアが眠っているあいだに、ちゃんと用意しておいたのよ」
わたしはコップを持ち上げて、まず鼻に近づけた。恐る恐るにおいを嗅いでみた。指が、そのざらざらした表面をぎゅっと握りしめた。
においが鼻に届いた瞬間、胃がむかむかした。思わずコップを顔から遠ざけた。
「うっ……おばさん、これ、すごく変なにおいがする」
それから、その濁った液体をのぞき込んだ。
「色もひどいよ。お医者さんのお薬とぜんぜん違う」
おばさんは、わたしの手の中にしっかり握られたコップを指しながら、少しもためらわずに答えた。
「それはね、植物から作られているからよ。それに、これは全部おばさんが自分で用意したものなの」
わたしは、その説明に本当に納得できないまま、おばさんを見つめた。
「お医者さんのお薬も、植物から作られているんじゃないの、おばさん?」
おばさんは少しのあいだ黙って、考えるように視線を上へ向けた。わたしの質問を、思いがけないほど真剣に考えているようだった。
「お医者さんのお薬の中にも、これと同じくらい苦いものがあるのよ」
好奇心に押されて、わたしはまた別の質問をした。首を少しかしげながら、おばさんの答えを理解しようとした。
「じゃあ、なんでお医者さんのお薬のほうが、おばさんのよりおいしいの?」
「それはね、お医者さんの中には、お薬を甘くする人もいるからよ。ジアみたいな子どもが飲みやすいようにね」
感心したわたしは、思わず「へえ」とだけつぶやいた。
「さあ、ジア……まずこれを飲んでみて、いいかしら。そのあと、おばさんがもっとお水を汲んでくるから」
おばさんはテントの入り口の近くで立ち上がり、袖についた葉っぱを何気なく払ってから、器とコップを持ってテントの外へ出て行った。
わたしはコップの中をじっと見つめたまま、鼻をつまんだ。おばさんの手作りの薬の強すぎるにおいのせいだった。おなかは、もうすでに抵抗するようにねじれていた。
おばさんは本当に変わっている。それでも、なぜか……ジアはもう少し、おばさんを信じてみたいと思った。
おばさんがいなくなると、テントの中が目に見えて静かになった。布の壁が、わたしの方へ少し押し寄せてくるみたいに感じられた。でも、さっきの会話であたたまった気持ちは、肩にしっかり巻きついた毛布みたいに、まだそこに残っていた。
濁った液体からは、まだかすかに湯気が立ちのぼっていた。冷たい朝の空気の中に消えていきながら、鼻にしわを寄せたくなるような、あの苦くて土っぽいにおいを運び続けていた。
外では、おばさんの足音がだんだん遠くなり、やがて完全に聞こえなくなった。背の高い草と朝もやの向こうに、その姿は飲み込まれていった。
わたしは視線をコップに戻した。中に待っているものに向き合う心の準備をしながら、おなかの奥が少しきゅっと縮こまった。
指先がコップのふちをぎゅっと握った。まだ痛むのどが早く楽になってほしいという気持ちと、ためらいの気持ちが、まったく逆の方向へ激しく引っ張り合った。
遠くでは、川の音がずっと変わらず流れ続けていた。ここまでわたしを連れてきたあの長くて恐ろしい夜のことを、絶えず思い出させてくれるみたいだった。
おばさんの息子の話を、わたしは考えていた。友達を作るのがそんなに苦手な男の子って、どんな子なんだろう。その子も、誰にも見えない何か重いものを抱えているのかもしれない。
もしかしたら、その子も、わたしがかつて感じていたのと同じくらい、寂しい思いをしているのかもしれない。まわりに人はいるのに、なぜかみんなから離れている感じ。どれだけ頑張っても、見えない壁がいつも誰かとの間に立っているような感じ。
その考えは、思ったより長く頭の中に残った。この場所について、おばさんについて、そしてこの花畑の中でこれから始まる、まだよくわからない新しい生活について、わたしがまだ理解できていないことの、静かな片隅に居座り続けた。
残っている勇気をかき集めて、わたしはもう一度コップを口元へ持ち上げた。もうわかっている苦い味に、そして、おばさんのやさしくて注意深い笑顔の裏にまだ隠されている何かに、覚悟を決めながら。
テントの外では、朝もやが花畑からゆっくりと晴れていった。揺れる花びらの上に、金色の光がところどころ踊るように広がっていった。そして遠くのどこかで、鳥が一羽、二度鳴いて、また静かになった。




