おばさんを信じてもいいの?
おばさんがさっき話してくれたことを、わたしはまだうまく理解できずにいた。突然変異という言葉が、疲れた頭の中で、混乱と静かな不安の間をずっとぐるぐる回っていた。
おばさんが言いたかったことって、なんだろう。最後の言葉だけ、ジアにはよくわからなかった。
けれど、おばさんはもう、見たこともない不思議なひょうたんに手を伸ばしていた。テントの上の木々の間から差し込む月明かりが、そのなめらかで白っぽい表面を照らしていた。
そのひょうたんは、ただの野菜というより、コップみたいに見えた。丁寧にくり抜かれていて、水をためるのにちょうどよさそうな形をしていた。
おばさんはコップをわたしの方へ差し出しながら、やさしく話しかけた。大きくて毛に覆われた手は、その大きさに似合わず、しっかりと安定していた。
「まずこれを飲んで。おばさんが川から汲んできたのよ」
わたしは差し出された水を受け取って、ゆっくりと飲んだ。長い夜のあいだ、渇いたのどが耐えてきたぶん、一口ずつ味わうように飲んだ。
飲みながら、ふと好奇心がわいてきた。
これって、さっき聞こえた川の水と同じなのかな?
その味は、なぜか少し懐かしい感じがした。まるで暗闇の中、森自体がわたしをここまで導いたことを覚えているみたいだった。
その疑問は、この隠れた花畑にたどり着いてから、ずっと頭の中に残っていた。遠くから聞こえる水の流れの音が、疲れた足をここまで導いてくれたときからだった。
水はとても冷たくて、さわやかな味がした。でも、乾いたのどに流れ込んだ瞬間、鋭い痛みが一瞬走った。だから、そのあとは一口ずつ、慎重に飲み込むしかなかった。
最後の一口を飲み終えたあと、わたしは少し顔をしかめて、おばさんに痛みを訴えた。声は、怒っているというより、ただ疲れているだけだった。
「おばさん、お水を飲むと、のどが痛いの」
おばさんの表情は落ち着いていて、少しも慌てていなかった。少し首をかしげながら、しばらく考えてから、ようやく答えた。
「ああ、それも無理ないわね。のどが、よっぽど乾いていたんでしょう。ジアはこの森の中で、どのくらい食べたり飲んだりしていなかったの?」
その質問は、静かな夜の空気の中に重く残った。わたしには、正直に答えられることが何もなかった。
わたしはすぐにうつむいた。あの森の中を、何かに追われながらどのくらいさまよっていたのか、はっきり思い出せなかった。その記憶は、暗くてかたちのないものに変わってしまっていた。
「ごめんなさい。ジア、本当に何も覚えていないの」
おばさんは、わたしがしょんぼりしているのに気づいて、そっと髪を撫でてくれた。
わたしは顔を上げて、おばさんを見た。同じやさしい笑顔が、その顔にゆっくり広がっていた。手は、ずっとわたしの乱れた髪を撫で続けていた。
「大丈夫よ、ジア。あんな危ない森の中で、たった一人で生き延びるなんて、ジアは本当に賢い子だわ」
その手のぬくもりが、思いがけない安心と静かな幸せを運んできた。あれほど怖かったことを、ほんの少しだけ忘れさせてくれるくらい、やさしい感触だった。
おばさんは、もうしばらく頭を撫で続けてから、ようやく手を止めた。膝の上に、そっと手を戻した。
「さて、今夜はもう休みましょう。月がだんだん木々の上まで昇ってきているし、もうすぐ真夜中になるわね」
わたしはうなずいた。おばさんが、さっき渡してくれたひょうたんのコップを持ち上げるのを見つめた。中にはまだ、川の水が少し残っていた。大きくて毛に覆われた手が、そのコップを丁寧に扱っていた。
「おばさん、ありがとう」
わたしは少し黙って、何か他にも言うべきことがないか考えた。今夜のやさしさに、どれだけ感謝しているか、うまく言葉で伝えたかった。
「本当に、前よりずっと楽になった気がする。おばさんの言うとおり、もう休むね」
おばさんはうなずいて、あたたかく微笑み返した。
「それを聞けて嬉しいわ。おばさんも安心した」
それから、おばさんはテントのすぐ外に立ち上がり、少し体を屈めて、もう一度中のわたしをのぞき込んだ。
その高い背丈は、まるで自分の縄張りに立つ熊みたいだった。月明かりが淡く照らす広場の中で、その姿は黒く大きく浮かび上がっていた。
「それじゃあ、おばさんはもう休むわね。ジアは、おばさんがどこに行くか心配しないで、ここでゆっくり休んでいて」
わたしはうなずいて、また体を草の敷物の上に横たえた。おばさんはまっすぐ体を伸ばし、ゆっくりとテントから離れていった。その後ろ姿は、少しずつ暗闇の中へ小さくなっていった。
わたしは、おばさんが消えていった場所をじっと見つめ続けた。あの大きな姿が、また木々の間から現れるんじゃないかと、半分そんな期待もしていた。
あの人は、わたしにやさしくしてくれた。
ためらうことなく水をくれたし、他のみんなみたいに追い払おうとはしなかった。
それだけじゃなくて、髪も思いがけないやさしさで撫でてくれた。
それでも、わたしはまだ、おばさんのことを本当には何も知らなかった。あのやさしい声と、あの不思議な、半分動物みたいな手以外は、何も。
フルネームすら知らなかった。ただ、おばさんが自分を呼ぶときの、あの静かであたたかい呼び名だけを知っていた。
心のどこかでは、おばさんを完全に信じたいと思っていた。あんなやさしさに、何か裏があるはずないと信じたかった。
でも、もう一方の心は、まだ怖がっていた。前にひどい仕打ちを受けたあとでは、簡単に気を許すことなんてできなかった。
前にわたしに笑いかけてくれた人たちだって、結局は追い払ったじゃないか。
その記憶だけで、わたしの小さな心は、いつも身構えてしまう。今夜のおばさんの声が、どれだけやさしく聞こえたとしても。
おばさんを信じてもいいの?
わたしは両腕でひざを抱えたまま、テントの入り口の向こうに広がる、月明かりに包まれた花畑をじっと見つめていた。明日は、もっと答えをくれるのか、それとももっと疑問が増えるだけなのか、わからなかった。
どのくらいそうして座っていたのか、わたしにはわからない。希望とためらいの間をさまよっているうちに、まわりの花は夜露の重みで少しずつ頭を垂れていった。
花畑の向こうで、遠くの葉がかすかに揺れる音がした。わたしは思わず息を止めた。そのあと、静けさがまた広場の上に戻ってきた。
やがて、落ち着かない心よりも先に、疲れた体のほうが降参した。まぶたは、これ以上眠気と戦うには重すぎた。
心の中で渦巻いていた混乱に、答えを見つけられないまま、眠りがわたしを完全に包み込んでいった。一日中ついてまわった恐怖よりも、ずっと静かなどこかへと運んでくれた。




