何かがそこにいた
ちょうどそのとき、あたりはとても暗かった。土の上にメイさんの顔を描いていた。小さな棒で、あごの線をひっかくように描いているところだった。そのとき、突然月の光が差し込んで、踏み固められた土の上の絵を、冷たく銀色に照らした。
見上げると、月をずっと覆っていた雲が、ようやく流れていって、端の方から薄くなって、その間に淡い隙間が開いていくのが見えた。まわりの空気が、ふっとゆるんだ気がした。まるで森全体が、わたしと一緒に息を止めていたみたいに。
「わあ、ありがとう、お月さま、ありがとう、神様、お月さまがまた明るくなった。よし、ジア、また歩く時間だよ!」
立ち上がって、荷物をまとめて、また歩き始めた。小さな木の棒と、メイさんの絵は、座っていたその場所に、土の上に置いたままにした。かごの縄の持ち手は、もう手のひらに、ざらざらとなじんでいた。
しゃっくりをしながら歩いた。時々、声が出る前に飲み込めることもあった。どんな怪物にも聞こえませんようにと願いながら。
でも、失敗することもあって、そのしゃっくりは木々の間を遠くまで運ばれていって、思っていたよりずっと長く響いた。まわりに立ち込める、湿った重たい空気と、足元の道から立ちのぼるかすかな湿った土のにおいだけが、その音を飲み込んでくれた。
花畑に向かって、ずっと歩き続けた。どれくらい時間が経ったのか、はっきりとはわからなかった。わかっているのは、だいたい半分くらいまで来たということだけだった。
あの分かれ道からは、花畑までの道のりは、この不思議で怪物だらけの森を通り抜けてきた道のりの、四分の一くらいの長さしかなかった。ちょうどそのとき、右の方から、変な音が届いてきた。
すぐに左へ体を寄せて、一番近い木の茂みの陰にしゃがみ込んで、無理やり完全に動きを止めた。あらゆる筋肉に力を入れて、しゃっくりを必死に抑え込んだ。
かごを握る手に力がこもりすぎて、爪が手のひらに三日月形の跡をつけるくらいだった。すぐに月の光がまた消えて、森はまたわたしのまわりで暗闇に沈んでいった。背中に当たる樹皮は、破れた薄い服の生地越しに、ざらざらして冷たかった。
「わたし……ヒック!我慢しなきゃ……ヒック……ヒッ……おなか、ちょっと痛い、ヒック……我慢する」
虫たちが、あらゆる方向からブンブン、カサカサと鳴いていて、四方から途切れない音の壁になって押し寄せてきた。薄暗がりの中では、幹と葉っぱくらいしか見分けられなかった。
でも、あの不思議な新しい力のおかげで、集中すれば、まだ遠くまで見通すことができた。隠れたまま、あの変な音がした方向を中心に、まわりの森を見回した。
それでも、木々の間には何も動いていなかった。見つかるのは、もっとたくさんの幹と、もっとたくさんの葉っぱと、まだ先まで続く道だけで、虫たちは、暗闇のあらゆる隅から、絶え間ない合唱を続けていた。
「ヒック!ヒッ……あの音、どこ行ったの、さっきまで確かにあったのに……」
もう一度、手を口に当てた。目を前に向けたまま、しゃっくりを抑え続けて、あの変な音がもう聞こえないと確信できるまで、恐ろしく長い時間待った。でも、待てば待つほど、本当に何か聞こえたのかどうかさえ、自信がなくなっていった。
もう一度、あの新しい力を使って、さらに遠くまで見ようとした。道の右側、それから左側、そして幹と幹の間のあらゆる隙間へと、視線をすばやく走らせた。
それでも、何もおかしなところは見つからなかった。何も見えなくて、あの音もすっかり消えてしまったから、たぶんただの普通の動物が通っただけなんだろうと思い始めた。
そのままかごの持ち手を、指の関節が痛くなるくらいぎゅっと握りしめて、しゃがみ込み続けた。時々、花畑へ続く道の方をちらっと確認しながら。
もうずいぶん長いこと出かけたままだったから、心のどこかでは、すぐにでもメイさんのところへ急いで帰りたかった。それに、のども乾いて、ひりひりして締めつけられるような感じがしていて、飲み込むことさえ苦しいくらいだった。それでも、この先が本当に安全なのかどうか、まだ疑いが残っているうちは、木の陰から一歩も踏み出す気になれなかった。
もう一度前を見て、あの遠くまで見通せる力をまた呼び起こした。これから渡らなきゃいけない道や、その近くのどこにも怪物が潜んでいないと、絶対に確かめたかった。
目に映るのは、木々と葉っぱ、それに空からのかすかな光を受けているものだけだった。頭を後ろに傾けて、まだ雲の毛布に半分隠れたままの月を見つめた。
ゆっくりと雲が動いて、月の光がまた枝の間から差し込み始めた。さっきまで暗かった森が、木の幹と前方の道を、前よりずっとはっきり見分けられるくらいには明るくなった。もしかしたら、最後にもう一度まわりを確認したら、また動き出せるかもしれないと思い始めた。
前を見て、それから左、それから右を見た。そのあいだずっと、木の陰に低くしゃがんだままだった。
怪物はどこにも見当たらず、怪物を追う狩人らしき気配も近くになかった。あの野菜畑を出てから一匹の怪物にも出会っていないことに、胸の中に、少しだけ安心感が忍び込んできた。
次に、後ろを振り返った。ずっとついてきているものがいないか、確かめたかったから。音を立てないよう気をつけながら、ゆっくり体をひねった。月の光がだんだん明るくなるにつれて、後ろの木々も、さっきよりはっきり見えるようになっていた。
でも、視線が横へ流れた瞬間、あまりにも近すぎる何かをとらえた。それがどのくらいそこに立っていたのか、まったくわからなかった。
足音一つ聞こえなかったし、枝が折れる音も、乱れた葉の音も、その到着を知らせるものは何一つなかったから。ほんの少し前、まさにその方向を見たときには、何もいなかった。誰もいなかった。本当に何もなかった。
それなのに、今、誰かがすぐそばに立っていた。
ようやく焦点を合わせてちゃんと見たとき、そばにいるそれが人間ではないと気づいた。それは、怪物になってしまった人だった。
腕は全部で六本あって、左右に三本ずつついていた。右も左も、一番上の腕の先は、カニのはさみみたいな形をしていて、鋭く光っていた。虫でしか見たことのない種類の爪で、何の虫かは名前もわからなかった。
全身が石になったみたいに固まって、両手から力が完全に抜けて、持っていたものが手からすべり落ちて、地面にぶつかった。冷たい汗が、肌のあらゆるところから一気に噴き出した。
自分の足の感覚が完全になくなって、そのまま怪物の前にどすんと座り込んでしまった。その体は、わたしよりずっと大きくて、もしかしたらメイさんより少し大きいくらいだった。
目は、無数の小さな球体が集まってできていた。耳も鼻もなくて、口は人間らしいものとはまったく似ていなかった。体はやせ細って萎びていて、あちこちの肌がむき出しになって、その下の肉が見えていた。かつて着ていたであろう服は、もう見分けがつく形を保っていなかった。
そのときにはもう、自分が死んでしまうんだという確信以外、何も考えられなくなっていた。空気そのものさえ、まわりで重くなっていくみたいで、胸を押しつぶして、声一つ出せなくなった。
「これで、わたしはおしまいだ!」




