花畑の秘密
どれくらい気を失っていたのか、まったくわからなかった。
「ジア、どのくらい眠ってたんだろう…?一分?一時間?もしかして、丸一日?」
虫の羽音と、隠れた草地に漂う葉擦れの音に包まれながら、ゆっくりと目が覚めた。一瞬、何もかもが現実じゃないみたいに感じた。まるで自分の体が、許しもなくこの世界へ戻ってきたかのようだった。
小さな角が、頭の上にある何か硬いものに触れた。そのとき初めて、もう地面に直接寝ていないことに気づいた。擦りむいた膝はまだ鈍く痛んで、喉もひりひりしていた。一日中叫んで走り続けたみたいな感覚だった。
さっきまでの出来事は、まるでひどい悪夢のようだった。心の底から、完全に目覚めたいと願った。
「家が燃えてた。パパもお姉ちゃんも、下で叫びながらジアの名前を呼んでた。でもジアは逃げた。森がジアを丸ごと飲み込んで、一人ぼっちにしちゃったんだ」
少し頭がはっきりしてくると、自分が小さな粗末なテントの中にいることに気づいた。屋根は曲がった枝を適当に重ねただけで、下には乾いた草が敷かれていて、簡単に作られた割にはベッドのように柔らかかった。
木の隙間から月明かりが漏れて、土の床に細い灰色の線を描いていた。変わってしまったこの目には、もう色というものが存在しなかったから。テントの中は乾いた葉と、名前のわからない土っぽい匂いがして、覚えている家の温かい匂いとはまるで違っていた。
ゆっくりと体を起こし、少しずつテントの入り口へ這っていった。小さな尻尾が編んだ草の上を柔らかく引きずった。何度動かしても、まだ自分のものだとは思えなかった。
外を見回して、すっかり混乱した。
「ジアはどこ?花と大きな木しかない。昨日の夜、ジアが走ってた森とは全然違う気がする」
疑問が頭の中をぐるぐる回った。「誰がジアを助けたの?誰かがここまで運んでくれたはず。だってこんなテント、ジア一人で作れるわけないもん」
入り口の向こうには、前に見たあの小さな草地が広がっていた。花が柔らかい草の上に散らばり、高い木々が朝の光をほとんど遮っていた。
いくつかの花びらには、まだ朝露が残っていた。灰色に染まった視界の中でも、うっすらと光って見えた。近くでは水のせせらぎが静かに聞こえていて、それはここまでジアを導いてくれた、あの音と同じだった。
右の方を振り向いた瞬間、体が固まった。テントからそう離れていない場所に、明らかに巨大な熊の姿が立っていた。
息が喉に詰まって、まともに考える間もなく、両手両膝で後ろに下がり、テントの中へと転がり込んだ。
編んだ草の上に体を伏せて、じっと動かないようにした。死んだふりをすれば、あの生き物が去ってくれるかもしれないと必死に願った。心臓は、体の中で一番大きな音を立てているみたいに激しく鳴っていた。
長い数分が過ぎたころ、重い足音が入り口に近づいてきた。熊は身をかがめてテントの中へ入り、狭い空間を暗い目でゆっくりと見回した。わたしは息すらまともにできないまま、微動だにせず横たわっていた。
それでも、恐怖より好奇心が勝ってしまった。目を完全に閉じることができず、こっそりと何度も、上に立つ大きな影を盗み見た。
見れば見るほど、頭の中は混乱していった。
その姿は、完全な熊ではなかった。
「あれ……人?ジアの見間違い?でも、どうして頭に熊の耳が生えてるの?」
数歩離れた場所から見えたのは、頭の上に丸くて毛の生えた耳を持つ人だった。片方の腕は明らかに動物のものへと変わっていて、黒い毛に覆われ、太くて鋭い爪がついていた。もう片方の腕は不思議なほど普通で、白い肌と細い指が、あの荒々しい腕の隣ではまるで場違いに見えた。
衝撃が全身を貫いて、息をすることすら忘れそうになった。目の前に立っているのは、ただの獣ではなく、一人の女性だった。
「あああっ……!」
信じられなかった。目の前で見たものを、心が受け入れようとしなかった。人が一晩で爪や毛を生やすなんて、これまで教わってきた世界の常識では、あり得ないはずだった。それでも、この人は確かにそこに立っていた。
半分人間に見えても、わたしは再び地面に伏せて、必死に死んだふりを続けた。
「もし本当は熊だったら?」心の中で焦りながら考えた。「もしかしたら、これは何かの罠かもしれない」
怖くても、女の人は落ち着いた足取りで近づいてきた。重い足音が少しずつ大きくなっていった。
一歩一歩が、ゆっくりと丁寧に土の床を踏みしめていた。昨夜わたしを追いかけてきた、荒々しく怒った足音とはまるで違っていた。
薄い草の毛布の下で、体中が震えた。入り口へ駆け出すべきか、このまま動かずにいるべきか、心が引き裂かれそうだった。
女の人は、人間のままの腕をそっと持ち上げた。指はゆっくりと動いて、脅すというよりは、まるで気遣うような仕草だった。
温かい笑みが顔に広がり、その人はやわらかい声で挨拶した。声は優しくて、小さな胸で轟いていた恐怖を、一瞬だけ静かにしてくれた。
「こんにちは」




