人で歩く畑への道
長く息を吸い込んで、肺を満たしてから、ゆっくり吐き出した。これから自分がやろうとしていることの、静かな重さの下で、胸が一度大きく上下した。メイさんが渡してくれた折りたたんだ紙は、まだ手の中に握られたままだった。あまりにも強く握りしめていたせいで、端はもう湿っていた。
「できる……できるよ……」
その言葉を口にしても、足はまだ重かった。一歩一歩が、まるで自分のものじゃない誰かの足みたいに引きずられて、この先に待っているものへ向かうのを拒んでいるみたいだった。
一人になって、わたしは野菜や果物、野生の植物が育つ畑の方へ歩いていった。歩くごとに、花畑は少しずつ後ろで薄くなっていって、代わりに、ひざに触れるくらい背の高い、荒々しい草に変わっていった。何歩か歩くたびに、目が勝手に前をまっすぐ見つめてしまう。何度も何度も、遠くに待つ暗い木々の列に引き寄せられていった。
そこには、昨日のあの巨大な森が、記憶のとおりの場所にまだ立っていた。薄暗い午後の空の下、暗く動かないまま。頭上の枝はぎっしり絡み合っていて、その下にはほとんど光が差し込まなかった。幹は、ガルデ市で今まで見たどんな木よりも、ずっと太かった。両腕を回しても、一本の幹を囲めるかどうかわからないくらいの太さで、その樹皮は、真昼間の今でさえ、ざらざらして影に沈んでいた。冷たい風が、幹と幹の間から抜けてきて、顔をかすめた。決して乾ききらない、湿った土と日陰のにおいを運びながら。
かたく乾いたかたまりが、飲み込むたびにのどをゆっくり滑り落ちていって、気づかないうちに、歩くペースが遅くなっていった。
頭が右へ向いて、木々の連なりをたどってから、すぐにまた左へ振れた。それから、ようやく前に落ち着いた。体全体が張りつめて、耳を澄ませていた。
そのとき突然、あの巨大な木々の奥深くで、何かが動いた。目の端に、鋭い動きの気配が引っかかって、体中の筋肉が一瞬で固まった。
「……え?」
黒い影が、追いきれないほどの速さでよぎった。頭上に広がる枝の下にたまった影を切り裂くようなその輪郭は、一瞬、恐ろしいほど長い人間の手のように見えた。細く引き伸ばされて、どこか間違っている形だった。腕と指は、やせ細って骨ばっていて、その縁には、鳥の翼が風をとらえるみたいに何かがちらちら光った。それが動くのを見ているだけで、胸の中で息が固まった。もっと下では、鳥のような二本の足が、その歪んだ体には大きすぎる爪で終わっていた。その爪は、この距離からでも、曲がって光って見えた。そして、奇妙なことに、信じられないことに、そのすべてが、一度も地面に触れていなかった。
目が、反射的にぎゅっと閉じた。体全体が、これ以上見ることを拒んでいた。ようやく無理やり目を開けたとき、そこにはもう何も残っていなかった。ただ、木々が前と同じように、静かに立っているだけだった。
「今の……何の怪物だったの……?」
両腕で自分の体をぎゅっと抱きしめた。爪が、気づかないうちに自分の肌にかすかに食い込んだ。体全体が震えていて、自分の意思では止められなかった。
強く首を横に振って、その考えを無理やり追い払った。
「違う……違う……たぶん、気のせい……」
また前に歩き出した。ただの意地だけで、足を無理やり動かしていた。でも、何歩も進まないうちに、また別の影が幹の間をすり抜けていった。今度のは、何かを見つけられずに探しているみたいに、行ったり来たりしていた。わたしはまたぴたりと立ち止まった。息が、のどの奥で高く固まった。
心臓は、一秒ごとにますます強く打っていた。自分を落ち着かせるためだけに、小さくつぶやいた。
「なんで、昨日はこんなの、全然気づかなかったんだろう……」
ちょうどそのとき、森の奥深くから、また別の音が漂ってきた。
「ゲコッ……」
最初は、カエルの鳴き声みたいに聞こえた。低くて湿った音。でも、そのリズムのどこかがおかしかった。本物のカエルというより、人間が下手にカエルの真似をしているみたいだった。そのずれだけで、背筋を何かがはい上がっていくような感覚が走った。
両手が、勝手に口を覆った。叫びたい気持ちを必死に抑え込みながら、完全に動かずにいた。脈拍が、自分の耳の中でうるさく響いて、まわりの音がほとんど聞こえなくなるくらいだった。
体中震えながら、音がようやく消えたあと、無理やり歩き続けた。目が右へ、それから左へ、何度も走った。数え切れないくらい後ろを振り返って確かめた。
「まだ、そんなに遠くまで歩いてないのに」
ひざのまわりでかすかに揺れる背の高い草しかない、道のちょうど真ん中で、また立ち止まった。鋭い音が耳に届いたから。近くて、はっきりしていた。
「パキッ……」
同じ乾いた音が、数秒後にまた聞こえた。さっきよりも近かった。
「パキッ……!」
体全体がこわばって、激しく震え始めた。首の後ろが、髪の下で硬くこわばって、氷みたいに冷たくなった。
「ママ……ギア……メイさん……」
熱い涙が目にあふれて、目の前のすべてが、緑と茶色のぼんやりした染みになってにじんだ。
「ジア、こわいよ……」
「ひっく……」
そして、何の前触れもなく、最後の音が静けさを切り裂いた。
「バキィィィィッ!!!!」
今度の音は耳をつんざくくらい大きくて、恐ろしいほど近かった。頭が理解するより先に、胸の中でその音を感じるくらい近かった。
「キャアア……!!」
叫びながら、足が完全に力を失って崩れ落ちた。転んだ拍子に、両手のひらが土に強くこすれて、ひりひりした。
倒れる直前、何かが背中をかすめた。すぐに振り向いた。ついに捕まったんだと確信しながら。
ゆっくり目を開けた。何が見えるか、覚悟しながら。
「……え?」
まだどくどく打っている恐怖の中に、真っ白な混乱が広がった。カメみたいな形をした動物が、隣に静かに座って、葉っぱの塊をもぐもぐ食べていた。まるで何事もなかったみたいに。頭が、もっと遠くの葉っぱに届こうと前に伸びるたびに、まるで謝るみたいに、そっと背中にぶつかっていた。全速力で打っていた心臓が、震える息を一つ吐くごとに、少しずつ落ち着いていった。今この瞬間の現実が、じわじわとしみ込んでくるのを感じながら。
何度も瞬きして、目の前のものを理解しようとした。
「え……カメ?なんか変なカメ……」
カメがこんなふうに草を食べるところなんて、今まで見たことがなかった。あごが、ゆっくり、規則正しく動いていた。すぐそばで叫んで倒れ込んだ女の子のことなんて、まったく気にしていないみたいだった。
「カメって、海に住むものじゃないの……?なんでここにいるの???」
首がわずかに片方に傾いた。恐怖がゆるみ始めるにつれて、好奇心がじわじわ戻ってきていた。
「本とか物語でも、こんなの見たことない……」
長いため息が、ようやくこぼれ出た。肩が、その解放感で下がった。
「ふううっ……」
首や額にたまった汗を手の甲でぬぐって、それからゆっくり立ち上がった。すりむいたひざから土を払い落として、その不思議な小さなカメを、静かに食事の続きをさせたまま、その場を離れた。
「怪物だと思った……」
もう一度、遠くにそびえる森の方へ目を上げた。まだ暗くて、まだ静かで、それでもずっと見張られているみたいだった。
「……早く行って、早く終わらせちゃったほうがいいよね」
そのあと、恐怖が足を速めた。野菜や果物でいっぱいの畑へ向かって急ぐわたしの足首を、丈の高い草がやわらかく打った。
でも、頭の中では、まったく別の何かがもうすっかり居座っていた。あのマンゴーの木の葉っぱの映像が、また勝手に浮かび上がってきて、押しのける間もなく、考えのすべてを埋め尽くしていった。
なぜか、今は、それだけがどうしても欲しかった。もう一度あの木にたどり着いて、あの葉っぱをもう一度味わうこと。




