メイさんの最初の試練
もう一度、持って帰らなきゃいけない野菜や果物のリストを読み返した。真昼の日差しの下で、一行一行、ゆっくり目でたどった。ずっと握りしめていたせいで、紙はやわらかくなって、端が少し湿っていた。指を強く押しつけたところに、小さな折り目がいくつもできていた。羽虫が一匹、耳のそばでのんびり羽音を立てていて、あまり考えずにそれを手で払った。視線は、目の前の言葉にずっと固定されたままだった。
小さな声で、それを口に出してつぶやき始めた。声に出して言えば、記憶にもっとしっかり残るかもしれないと思いながら、唇が、まだ見慣れない名前の一つ一つの上を、ゆっくり動いていった。
「最初は、ナスみたいな形のじゃがいも。それから、青いアスパラガス。パパとお姉ちゃんと一緒に外食するときに、いつもレストランで見るやつ」
視線がまた紙の方へ落ちて、同じ静かなつぶやきのまま読み続けた。片方の足からもう片方の足へ体重を移すあいだ、一匹の甲虫が、サンダルのつま先の上をゆっくり這っていった。
「次は、マンゴーの果実。昨日、メイさんとジアで見つけたやつ。それで最後は……緑のにんじん……?緑のにんじん?普通、スーパーで売ってるのはオレンジ色なのに」
親指が、紙の端の小さなインクのしみを、ぼんやりこすりながら、リストの一番下まで読み続けた。
「まだまだ、ジアの知らない植物の名前がたくさんある。メイさんが、どんな見た目か書いてくれてて、本当によかった」
そのあと、両腕でその紙を胸にしっかり抱きしめた。強く抱えれば、おなかの底に居座っているこの怖さが、少しでも小さくなるみたいに。
「でも……ジア、そこに行くのが怖い」
頭が低く垂れて、あごが折りたたまれた紙の端にほとんど触れそうになった。つま先が、下のやわらかい土をぼんやりとほじった。
「もし、またあの怪物に会っちゃったら……?」
しばらくしてから、頭を強く横に振って、その考えを無理やり振り払った。その動きで、ほつれた髪の毛が何本か、額の上に乱れて落ちた。
「でも……ジア、またメイさんに怒られるのもいやだ」
ゆっくり息を吸い込んで、胸を満たしてから、同じくらいゆっくり吐き出した。両わきの小さなこぶしが、力を抜いていった。
「だめだよ、ジア。メイさんはもう、いろいろ助けてくれた。ジア、ちゃんと勉強して、メイさんみたいなすごい女の人になるって約束したじゃない」
小さく、はっきりとうなずいた。自分だけに向けたうなずきだった。湿った手のひらを、あまり気にせず一度だけこすった。
「ジアは、勇気を出さなきゃ」
でも、本当に最初の一歩を踏み出す直前、別の何かが記憶を急に引っ張って、その場に立ち止まらせた。
「え……待って……」
視線が、まだ手に握られたリストの方へまた落ちて、その考えがはっきりしてくるにつれて、二度まばたきした。
「なんで、メイさんは紙とペンを持ってるんだろう?」
その疑問は後回しにできないと思って、わたしは先にメイさんを探すことにした。風で飛ばされないように、リストをひじの内側に丁寧にはさんだ。
足は、花畑を横切って戻っていった。高い茎と低い花の間を縫うように歩きながら、歩いているうちに腕にくっついていた花びらを何枚か払い落とした。前方では、地面が花畑の遠い端に向かってゆるやかに下っていて、そこから道が開けて、川へと続いていた。
しばらく歩いたあと、遠くにメイさんの姿がようやく見えてきた。最初は、広がる草と、その先の水に対して、とても小さく見えた。日差しが、その先の動く水面に、まぶしい光をちらちら散らしていた。川岸のどこかで、姿の見えない鳥が二度鳴いて、近づくにつれて、水の絶え間ないせせらぎの音がだんだんはっきりしてきた。
メイさんは水際にしゃがみ込んで、器や鍋、いつも使っている小さなスプーン、それから料理のときにいつも使う大きめのおたまを洗っていた。一つ洗い終えるたびに、そばの平らな石の上に丁寧に並べていった。素焼きと金属がやわらかくぶつかる音が、水を通して届いてきた。新しいものを水の中に沈めるたびに、やさしい水音が混ざっていった。
そのそばには、飲み水や、あたためたお湯を飲むときに使うひょうたんが、メイさんの手の下で半分つぶれるようにして置かれていた。硬い外側の殻から、白い果肉が少しずつはがされていて、しぼり出された果肉のかけらが、ひざのそばに小さな濡れた山になっていた。
遠くからその姿を見つけた瞬間、足が勝手に速くなった。サンダルが、踏み固められた道を軽くぱたぱた叩いて、急ぐたびに小さな土ぼこりが舞い上がった。
「メイさん……!メイさん……!」
わたしの声に、メイさんが顔を上げた。手首の甲で額の汗を軽くぬぐってから、小さく笑いかけてくれた。手は、まだ川の水でかすかに光っていた。
「なに?どうしたの、ジア?」
わたしは、まだしっかり握りしめていた折りたたんだ紙を持ち上げて、メイさんに見えるように差し出した。もう片方の手は、息を整えるために胸に押し当てられていた。
「メイさん……この紙とペン、どこで手に入れたの?」
メイさんはしばらく黙り込んだ。片手があごへゆっくり上がって、視線が、わたしの肩の向こう、川の向こうの木々の方へ流れていった。
「あのころ……追いかけてくる人たちから逃げていたとき、メイさんは、こういうものをわざと持って逃げていたのよ」
もう一度間をおいた。まるで、その記憶自体に、落ち着くための時間が必要みたいだった。指が、下の濡れた石の上でじっと止まっていた。
「あのときね……もしいつか、自分が怪物になってしまったら、もう話せなくなって、誰にも自分だとわかってもらえなくなるかもしれないって、ずっと考えていたの」
わたしは、その言葉を邪魔せずに、静かに沈み込ませた。紙の端を握る手に、少し力がこもった。
「だから、自分の名前を書いて、何かメッセージを残しておきたかったの。そうすれば、それでも誰かにわかってもらえるかもしれないから。もしかしたら、いつか誰かがそれを見つけてくれて、治す方法があったら、メイさんが怪物になってしまったあとでも、見つけてもらえるかもしれないって」
そう言いながら、メイさんの顔にかすかで薄い笑みが浮かんだ。目までは届かない笑みだった。しばらくのあいだ、聞こえるのは、岩に静かに打ち寄せる水の音だけだった。
「昨日話した、ナイフとかマッチと同じよ。最初は、最悪の場合に備えて、念のために持っていただけだったの。でも結局、全部、生き延びるのに役立つことになったのよ」
話しながら、メイさんの手はまた鍋をこすり始めた。動くたびに、指から水がぽたぽたと落ちて、作業しているところから小さな波紋が広がっていった。
「最近はね、ジアのことや、この花畑のことについても、少しメモを書いているのよ。いつか、何かの役に立つかもしれないから」
それから、メイさんはこちらを向いた。表情に、またあたたかさが戻ってきた。さっきの張りつめた空気が、現れたときと同じくらい簡単に溶けていった。
「さて、罰を早く終わらせるためにも、そのリストにあるもの、全部持って帰ってきてね。いいかしら?」
うまく言葉が見つからなくて、口が少し開いてから、また何も言わずに閉じた。
わたしにできたのは、ゆっくり、静かにうなずくことだけだった。
「うん、メイさん」
そう言って、わたしは向きを変えて、また花畑を横切って戻っていった。紙をもう一度胸に抱きしめながら、いろいろな野菜や果物が育っている畑につながる、あの遠い端の方へ向かった。足は、踏み固められた土の道の上で、いつもの慣れたリズムに落ち着いていった。
ようやくたどり着いたとき、足がぴたりと止まった。見慣れない植物の列が、午後の光の下で静かにじっと目の前に広がっていた。葉っぱのどこかから、虫のかすかな羽音が立ちのぼっていた。
気づかないうちに、折りたたんだ紙を握る手に力がこもって、指の関節が白くなっていた。紙の端が、握りしめる力でわずかにしわになった。まわりに迫る静けさを破るのは、その紙のかすかな音だけだった。




