いいにおいの葉っぱ
ここに来たときから、心の奥にずっと引っかかっていた質問があった。ちょうどいいタイミングを、辛抱強く待っていた。低い木の門をくぐって畑に入った瞬間、頭の上の葉っぱの隙間から日差しがやわらかい斑点を落とすのを見ながら、その質問がようやくこぼれ出た。
「じゃあ、メイさんが料理に使う野菜とか果物って、ここで採れるの?」
朝の空気が、湿った土と新鮮な葉っぱの混ざったにおいを、顔に運んできた。腕にかすかな鳥肌が立つくらい、ひんやりしていた。近くのどこかで、葉の先にまだ夜露がついたままで、小さなガラスの粒みたいに光を受けていた。着いた瞬間、足が勝手に動き出して、不揃いに並んだ列の植物を一つ一つ見て回りながら、わたしを畑の中へ運んでいった。裸足の裏で、やわらかい土がさくさくと崩れる音がした。気づかないうちに、メイさんを何歩も後ろに置いていた。好奇心が、抑えきれないくらい大きくなっていたから。
わたしの目は、目の前に並ぶ列を見て、驚きできらきらしていた。時々、目を細めて、こんな不思議な野菜や果物がこの世界に本当に存在するなんて、ほとんど信じられなかった。指先が、今すぐ全部触りたいみたいに、体のわきでもぞもぞ動いていた。
メイさんの方から、やわらかい笑い声が聞こえてきた。わたしのそんな様子を、明らかに面白がっていた。
「その通りよ。メイさんは、ここで育っている野菜や果物を使ってお料理してるの。魚は、川で獲ってきてるのよ」
その答えを聞いた瞬間、わたしはすぐに振り向いた。急に動いたせいで、小さなしっぽが一度ぴょこんと跳ねた。遠くでは、メイさんが葉っぱの中に低くしゃがみ込んで、ナスみたいな形の野菜を摘んでいた。でも、その皮は、朝の光の下で、ほとんど金色に近い、明るい黄色に輝いていた。
足が勝手にメイさんの方へ向かって、かすかにほこりを蹴り上げながら、すぐそばまで駆けていった。短い距離を走っただけなのに、息が上がっていた。
「メイさん、それ、何の野菜?」
メイさんはこちらをちらっと見て、パキッというやわらかい音を立てながらもう何個か摘んで、それからわたしの頭をやさしく撫でてくれた。手のひらが、髪の上であたたかかった。
「これはじゃがいもよ。ただ、ナスみたいな形をしているだけ。正直、メイさんも、こんな形のものを見るのは初めてよ」
わたしは、それを料理したらどんな味になるのか想像してみようとした。舌が、その想像そのものを確かめるみたいに、口の中の上あごに押し当たった。
でも、想像すればするほど、頭の中はますますこんがらがっていった。
その考え方自体が、なんだか変な感じがした。
「じゃがいも……ナス……?じゃあ、味はじゃがいもなのに、見た目はナスってこと?それって、いったいどんな味なの、おばさん?」
メイさんは片手をあごに当てて、記憶の中から答えを引っ張り出すみたいに、視線を少し遠くへ向けた。
「味はやっぱり、ちゃんとじゃがいもの味なのよ。違うのは形だけ。だから、切るときはナスを切るときみたいに切ればいいの」
その答えがあまりにも単純で、わたしはすっかり驚いてしまった。口が、思わず少し開いたままになった。
「え……本当に、メイさん?じゃあ、ひょうたんで作ってるコップやバケツも、ここから採れるってこと?」
メイさんはゆっくりうなずいた。今度は、その表情が少し真剣なものに変わって、口の端がわずかに引き締まった。
「最初は、メイさんも今のジアと同じくらい混乱したのよ」
メイさんの指が、手に持っている大きなひょうたんの表面をなでた。その皮はざらざらしていて、かすかに筋が入っていて、指の関節で軽くたたくと、鈍い音がするくらいしっかりしていた。
「でも、何回か試してみて気づいたの。この大きい種類のひょうたんには、病気の原因になる菌とかバクテリアとか、ウイルスとか、小さいものを殺してくれる液が入っているのよ」
メイさんはひょうたんを少し持ち上げて、わたしがもっとよく見えるようにしてくれた。その重さで、前腕が少し張っているのがわかった。
「だから、このひょうたんで川の水を汲んで、それを飲んだり料理に使ったりすると、水がもっと安全になるの」
「それに、このひょうたんは結構大きいから、水を運ぶのにも使ってるのよ」
一瞬、メイさんは黙り込んだ。視線が、畑の向こうのどこか一点へ流れていった。まるで、心の奥から何かがふっと浮かび上がってきたみたいだった。
「ああ、そうだ」
小さな笑みが顔に浮かんで、さっきまでのわずかな緊張をやわらげた。
「このコップとバケツは、二種類の違うひょうたんから、メイさんが自分で作ったのよ。ナイフとか、いつも袋に入れて持ち歩いていたいくつかの道具で、自分で切って形を作ったの」
そう言い終えると、メイさんは額に手を当てて、長いため息をついた。肩が少し沈んで、まるで古い重さが、また心の中に忍び込んできたみたいだった。
「はぁ……正直に言うとね、メイさんは、いつか捕まったり……殺されたりするかもしれないと思って、いつもそういうものを全部持ち歩いていたのよ」
短い笑いがこぼれた。どこかほろ苦くて、それでもなぜかほっとしたような響きがあった。目じりに小さなしわが寄った。
「結局、生き延びるのにずっと役立つことになったけどね。包丁も、マッチも、他のものも、全部使えることになったの」
わたしは、感心しながらメイさんを見つめた。まるで、今まで出会った中で一番すごい人みたいに。小さな手が、わきで軽く丸まった。
「わあ……メイさんってすごい。どうして、そんなに何でも知ってるの?」
メイさんはまた小さく笑って、頬をかいた。褒められて、少し照れているみたいだった。視線が、一瞬地面へ落ちた。
「そんなことないわよ」
そのあと、静かに息を吐いた。それから、わたしの前にしゃがみ込んだ。膝が、やわらかい土に沈み込んだ。いつもわたしを安心させてくれる、あのあたたかい笑みを浮かべながら。
「いつか、ジアもこういうことができるようになるわよ」
「それを、生き延びる本能って言うのよ」
「ふふ、ジアはとりあえず、この野菜と果物の畑で遊んだり、うろうろしたりしていてね。メイさんが終わったら呼ぶから」
その答えを聞いた瞬間、わたしの唇はすぐにむくれてしまった。胸の前で腕を組んで、抗議するみたいに顔をそらした。小さな角に、日差しの一筋がちらっと当たった。
「うう……おばさん、また、ジアにはわからないこと言ってる」
メイさんの顔には、いつもと変わらないかすかな笑みが浮かんだままだった。わたしのちょっとしたむくれ顔にも、まったく動じていなかった。
それから、メイさんはまた立ち上がった。使い古されたスカートの裾が、葉っぱをかすめた。午後の食事のための野菜やハーブを、また選んで集め始めた。
わたしの足は、また畑の中を歩き回り始めた。土は足の裏の下でひんやりして、少し湿っていた。メイさんは、後ろで野菜を選んで摘むのに夢中になっていた。
きれいに並んだ緑の列は、まるでそれだけで小さな世界を持っているみたいだった。風がやさしく通り過ぎるたびに、土のにおいが少し濃くなって、ほつれた髪の毛が顔をかすめた。時々、大きな葉っぱの向こうから虫のかすかな羽音が聞こえて、畑の端のどこかから届く水のせせらぎと混ざり合いながら、その朝、この場所全体に静かな生命の気配を与えていた。
やがて、わたしの足が、マンゴーに似た果実をつけた植物の前で止まった。その形も色も、まわりの他の植物の中でくっきり目立っていて、皮は光の下でかすかに金色に光っていた。
でも、最初にわたしの気を引いたのは、その果実そのものじゃなかった。
鼻が、そっとひくついた。まだうまく言い表せないにおいに引き寄せられて、頭が少し傾いた。それをたどろうとするみたいに。
すぐ近くに、別の香りが漂っていた。果実のいつもの甘さとは違う、かすかだけれど、しつこく残る何か。体の奥にある本能的な部分を、ぐいっと引っ張るような香りだった。
そのにおいは、結局、枝になっている果実からじゃなくて、葉っぱそのものから来ていた。不思議なのに、なぜか惹きつけられる香りだった。甘くて、さわやかで、息を吸い込んだ瞬間、おなかが急にきゅっと空腹を訴えるくらいだった。
耳が、自分の意思とは関係なく、ぴんと立ったような気がした。頭が理解するより先に、体がそのにおいに反応したみたいだった。ためらうことなく、足がその葉っぱの方へ近づいていって、手がゆっくり伸びていった。指先が、緑色でふちがかすかに毛羽立った葉っぱの表面に触れた。ひんやりとしていた。
胸の中でふくらんでいく好奇心を、もう抑えられなかった。
「この葉っぱ、絶対おいしそう……」




