29・フェアリーテール・3
小悪魔マユ・29
『フェアリーテール・3・藪から棒』
「あ、その服なんとかしてあげなくっちゃ」
エルフの王女レミは、マユの叫び声で着替えたばかりのワンピを吹き飛ばされた。
で、取りあえずは、そこら辺の落ち葉をかき集めて身にまとって蓑虫のようになっている。
「いいのよ、あの驚きっぷりで、あなたの魔力のスサマジサも分かったから」
「でも、その格好じゃ、あんまり気の毒だわ。わたしが魔法で服を出して上げるから」
「そうして……くれたら嬉しいんだけどね」
「わたし、あんまりファッションのセンスには自信ないんだけどね……とりあえずポップティーンでも見て考えようよ」
マユは、とりあえずポップティーンの最新号を出した。
「このタンク付きトロピカルTシャツに花柄フレアースカート、ストローハット付きなんて」
「……あの」
「じゃ、このゴスロリ、モテカワ系なんか……やっぱ、わたしのセンスじゃだめか……」
レミは、じっとうつむいている。
「……やっぱり、あなたを騙すことなんてできないわ」
「騙す……どういうこと?」
「マユが、魔法で服を出してくれたら……もう契約成立ってことになるの」
「え……わたしをハメようとしたの!?」
「……うん」
アホーと鳴き声がしたかと思うと、二人の上を飛んでいたカラスが糞をを落として、見事にレミのホッペに命中させた。レミは、一瞬ドキリとしたが、さほどには驚かない。なんともおかしく、マユはクスっと笑ってしまった。
「ごめん笑ったりして。拭いたげるわね……」
マユは、ポケティッシュを出して拭いてやろうとした。レミは、のけ反った。
「レミ……」
「それもダメ……わたしのために何かしようとしたら、それも契約したことになる」
アホーとカラスが、また鳴いた。シャクに障ったマユは、カラスを石にしてやった。カラスは「アホー」の「ホー」の口をしたまま落ちてきた。ひどく間の抜けた顔になっている。
「あ……それ、お父さんの監視カメラ用のカラス……ヤバイよ」
「もういいよ」
「え……」
「レミの味方になってあげる」
「ほ、ほんと!?」
思わず立ち上がるレミ。その勢いで、身にまとった落ち葉が、いっせいに落ちてしまった。当然レミはスッポンポン。でも、それにも気づかないほどレミの驚きと喜びは大きかった。
「あの……とりあえず、その格好、なんとかしよう」
「……あ」
レミは、思わず両手で隠せるだけのところだけ隠した。
「えい……あれ?」
レミにとりあえず、ポップティーンの最新号に載っていた服を着せたつもりでいたが、服はタグが付いたままレミの前に置かれた状態。
「これ、着ちゃったら、もう後戻りできないわよ……」
「いいから、早く着て……着ろって言ったら、さっさと着るの!」
「あ……ありがとう!」
レミは、大急ぎで下着から身につけ始めた。
そのとき、マユが木の葉を吹き飛ばして出来た半径50メートルほどの森の広場。その向こうで人の気配がした。
「だれ、そこに居るのは!?」
マユは、レミを庇うように立ちふさがった。
薮から……棒のような若者が現れた……。




