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食文化創世記~味の開拓者たち~  作者: かつを
第2部:外食文化の設計者編 ~レストランの「仕組み」を創った人々~
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ケンタッキーはなぜ日本のクリスマスを支配したか 第4話:パーティーバーレルという発明

作者のかつをです。

第三十七章の第4話をお届けします。

クリスマスに「バーレル」を買う。

この習慣もまた、日本独自に発展したものです。

セット販売のメリットを最大限に活かした、見事な戦略でした。

 

※この物語は史実を基にしたフィクションです。登場する人物、団体、事件などの描写は、物語を構成するための創作であり、事実と異なる場合があります。

クリスマスキャンペーンが軌道に乗り始めた頃、KFCジャパンは次なる一手を打った。

それが「パーティーバーレル」の開発である。

 

それまでは、チキンを数ピース単位で箱に入れて売るのが一般的だった。

しかし、クリスマスは家族や友人が集まる特別な日。

もっと豪華で、テーブルの上が華やかになるような商品が必要だと考えたのだ。

 

彼らが考案したのは、巨大な赤いバケツ(バーレル)型の容器に、チキンだけでなく、サラダやケーキ、そして記念の絵皿までセットにして詰め込むというものだった。

 

「これ一つ買えば、クリスマスパーティーの準備はすべて整う」

 

そのコンセプトは、忙しい日本の主婦たちに熱狂的に支持された。

料理を作る手間が省け、しかも子供たちが喜ぶプレゼント(絵皿)まで付いてくる。

 

そして、この「バーレル(樽)」という形状にも意味があった。

 

欧米では樽は収穫や豊かさの象徴だ。

たっぷりのチキンが詰まった樽をテーブルの真ん中に置く。

蓋を開けた瞬間に広がるスパイスの香り。

みんなで手を伸ばしてチキンを取り合う楽しさ。

 

それは、日本の「おせち料理」や「鍋料理」にも通じる、同じ釜の飯を食うという団らんの精神に見事にマッチしていたのだ。

 

「やっぱりクリスマスは、あの赤いバケツがないと始まらないよね」

 

毎年変わる絵皿のデザインを集めるコレクターも現れた。

予約は数ヶ月前から始まり、クリスマスイブの店頭には予約客の長蛇の列ができるようになった。

 

パーティーバーレルは、単なる商品の詰め合わせではなかった。

それは「家族の幸せな時間」そのものをパッケージングした、究極の商品だったのだ。

 

このセット販売の成功により、客単価は飛躍的に向上した。

そして、店舗のオペレーションも効率化された。

あらかじめ予約を受け付け、セット内容を決めておくことで、当日の混乱を防ぎ、大量の注文をスムーズに捌くことができるようになったのだ。

 

消費者の満足と、店舗の効率。

その両方を満たす魔法のバケツ。

それが、KFCのクリスマス支配を盤石なものにした。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

ちなみに、あのイヤープレート(絵皿)は毎年デザインが変わり、年号が入っています。実家の食器棚に何枚か眠っている、という方も多いのではないでしょうか。

さて、商品力は完璧になりました。

最後は、それを「国民的行事」として心に刻み込むための仕上げです。

次回、「CMと、刷り込まれた原風景」。

あの名曲と共に、クリスマスのイメージが完成します。

よろしければ、応援の評価をお願いいたします!

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もし、この物語の「もっと深い話」に興味が湧いたら、ぜひnoteに遊びに来てください。IT、音楽、漫画、アニメ…全シリーズの創作秘話や、開発中の歴史散策アプリの話などを綴っています。


▼作者「かつを」の創作の舞台裏

https://note.com/katsuo_story

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