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ぬばたまの夢 闇夜の忍~暫く全力のごっこ遊びかよって勘違いからはじまった異世界暮らしは、思ってたのと大分違う。(もふもふを除く)~  作者:


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256.

明け方に帰ってきた佐助は白雲斎と話があるからと、何故か手早く朝食の準備を始める。


「手伝うよ?」


佐助に声を掛けると振り向いた佐助はチラと白雲斎を見る。


「俺は腹減ってんだが、弟子が話が先だって言うんでな。20分位で終わるが、お前さんどうする?」


「あ、じゃ折角なので朝風呂してきます」


昨日の続きだろうと思うと、燐は詳細は聞かない方が良いよねと風呂へ向かった。


「知り合いが死んだら、とか。そんな世界観なんだ…戦国時代って言うくらいだもんね」


同じ名前の有名武将達がいるなら、似通った歴史なのかと燐は朝焼け空を見る。


「良く分かんないなぁ…そして朝風呂もいーわぁ」


沢山人が死ぬ。映像の世界ではなく生身の人間が身近で起こすことだと現実味がない燐は、ゆっくり風呂に浸かっている身近で?と眉を寄せた。


「おーい、飯食っちまっていーかー?」


「あ、はーい」


こんなのんきな感じなのに?と燐は白雲斎の声に返事をして湯から出た。


「師匠、弱風お願いします」


「んー」


湯上がりの燐の髪が靡く。難しい顔をしていた佐助は香る花に似た匂いに顔を上げた。


「ごめんね、追いやっちまって」


「んーん。お風呂入りたかったし。で、もう良いの?話し合い」


両頬ぱんぱんの白雲斎が待ちきれなくて中断しているならと問い掛けると、佐助は大丈夫と頷く。


「あれ?才蔵さんは?」


才蔵の姿が見えず周りを見る燐に先に長屋に居ると告げると、燐は早く戻ろうと佐助を促す。


「朝ご飯の支度しとかないと、多分滝さんが何か持って来てくれちゃうから」


佐助は首を傾げるも、燐に促されると燐を横抱きし軽く床を蹴った。


「さ…ええっと、あのこれ、帰り道で食べてください」


才蔵の偽名を忘れた燐は、戸を開け出て行く才蔵を呼び止め笹包みを渡す。


「朝の残りですまねぇですが、持ってってください」


佐助が遠慮する才蔵の手に笹包みを持たせ、軽く頭を下げた。


「お帰りんなったんかい?」


「あ、滝さんおはようございます」


「アタシったら挨拶が抜けてたね、おはようございます」


才蔵を見送って家に戻ると、待っていたと戸が開き滝が出て来た。燐は今帰ったことを滝に告げる。


「で、仕事は続けられんのかい?」


心配そうな滝に佐助が頷く。滝は安堵し笑みを浮かべると良かったねぇと2人を見た。


「いやさ、昨日の夜に酒が足りなくなったらって、うちのが待ってたんだけどさ」


悪いとは思いつつも聞き耳を立てていたと話す滝は、直ぐ静かになった隣家で何があったのかと不安だったことを話した。


「慣れねぇ雪道でお疲れみてぇで早々に休まれるって言われたもんで」


その分、酒の残り等を土産を持たせたと佐助が返すと滝は頷く。


「そりゃ良かったよ。機嫌損ねて仕事回して貰えねえこともあるからねぇ」


滝の言葉にどこの世界も変わらないんだと燐は「それじゃ」と戸を閉める滝を見送り家に入った。


「師匠ん家で燐ちゃんが言ってたのって、このこと?」


以前から距離が近いと懸念はあったが敵意は感じられず放置していた。だが滝が此方の家の内情を監視して居ることを燐も気付いていたことに佐助は驚く。


「あ、うん」


「何でそう思ったの?」


平然と告げる燐。今度は何を見落としたのだろうか?燐に分かる程の決定的な何かを探ろうと佐助は燐を見た。


「ん?だって心配してくれてる感じ満々だったじゃない?」


今までも自分が頼りなく見えるのか色々世話を焼いてくれていたと燐が話せば、佐助は驚いた顔のまま燐を見る。


「心配?監視じゃなくて?」


不可解な燐の言葉に佐助が思わず警戒を漏らす。


「滝さんは心配してるだけだと思うけど…色々教えてくれるし。あ、けど佐助さんが心読んで怪しいと思うなら警戒した方が良いよね」


燐の言葉に佐助は滝の胸の内は燐を気にかけていたと伝えると、燐は佐助に笑みを向ける。


「じゃ、大丈夫だよ。住んでて思ったんだけど、私のこと皆気にかけてくれてるよ」


滝と行動を共にするようになってから長屋の皆の態度が変わったと感じた燐は、最初は警戒されていたがと苦笑した。


「私祖父母と田舎に住んでたから結構平気だけど、慣れてないと距離感近いのがお節介に感じるのかも」


祖父母の田舎は何十年来の顔も知り以外住んでいないこともあり、普通に庭に入って来るし縁側の戸を開けたりもする。慣れない人には監視されているように感じるのかもしれないと燐は佐助を見る。


「玄関に鍵かけ始めたのも最近だし。あ、けど初対面で玄関開けたりはしないけどね」


空き巣や野生動物対策で、老人会で玄関に鍵をかけることを徹底されてからはと思い出した燐は、ついでに元隣人を思い出すと嫌そうに顔を顰める。燐の言葉に自分には理解できないが、町人とはそういうものなのかと佐助は頷いた。


「燐ちゃんはさ、俺が色々知ってて凄いって言ったろ?俺は燐ちゃんが俺の知らねぇこと知ってんのが凄ぇって思う」


「そ?役に立ってるなら良かったよ」


真顔で自分を見る佐助に急にどうしたと思いつつも燐は笑みを向けた。これが普通の暮らし(よく観察する対象)なのかと佐助は燐に笑みを返した。

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