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ぬばたまの夢 闇夜の忍~暫く全力のごっこ遊びかよって勘違いからはじまった異世界暮らしは、思ってたのと大分違う。(もふもふを除く)~  作者:


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253.

数日後。佐助は五郎(滝の夫)に誘われ木材を買いに出掛けた。燐は滝の家で着物の繕い方を教えて貰いながら過ごしていた。


「誰か来る予定だったかい?」


滝は首を傾げる燐を見て土間へ降り、薪を1本掴み、戸を少し開ける。


「見ない顔だねアンタ。隣は留守だが何の用だい」


「此方は細工物職人、佐助の家と。某は本日、不足分を持参致したミツと申す」


この声聞いたことある。燐は滝の後ろから声の主を見た。


ん?けどこの声


燐が目を見開くと、笠に手を当てていた男は小さく頷く。


「聞いてるかい?」


警戒しながら振り向く滝。燐は定期的に人が来るらしいと話し、才蔵が背の行李を見せ説明する。


「うちのと同じ請状の仕事か」


納得したような滝に安堵する、顔が全然違う才蔵の声の男(多分才蔵さん)。燐が戸を開けようとすると滝に遮られた。


「今は女一人だ。荷はこっちに置いといて、この子の亭主が来たら渡す。それか帰る、日暮れ頃また来るかだね」


滝の言葉に男は日暮れにまた来ると告げ去っていった。


「のこのこと着いてって人攫いだってあるんだ、気を付けなよ?」


滝は戸を閉めると呆れた顔で燐を見て、こりゃ亭主(佐助)が心配する筈だと1人頷いた。



「おい、請状の仕事ったら御偉いんじゃあねぇのか?」


「偉そうな口振りだったが、1人で荷を背負ってたから武家やまとめ役じゃねぇと思ってさ」


帰宅した夫達に経緯を話す滝に五郎は渋い顔をし、佐助は軽く頭を下げる。


「雪で来ねぇかと思ってて。面目ねぇ」


「独り立ちして間もねぇんなら仕方ねぇよ。請状の仕事ってぇのは決まった頃合いに、ちゃんとやってるかってぇ確認にくんだ」


雪だろうが定期的な手紙のやり取りでの進捗状況を実際見に来るのだと五郎が燐と佐助に説明した。


「また後に来ますって言ってたよ」


「じゃ家で待つか。仕事の状況とか、足りねぇもんの補充とかで燐も顔合わせることもあるから一緒に」


燐が言えば滝も頷く。佐助はならばと燐の背に手を回した。


「仕入れだって言やぁ良い」


五郎は今日買った小振りな香木を掴んで佐助に渡す。


「証拠が無ぇってんで遊び歩いてると思われたらえれえ目に遭うからな」


佐助は頭を下げ受け取ると燐を促し家に帰った。


「才蔵さんだと思うんだけど」


「ん。多分ね、って何してんの?」


慌ただしく鍋に水を張る燐を見て佐助は首を傾げた。


「なんか才蔵さん、あんまり食べてないみたいだったから」


燐の胸の内に少しでもここで食べていって貰おうと思いが読めると、佐助は柔く微笑む。


「手伝うよ。あ、先にちょっと出てくる」


佐助は眉を下げ、燐に囁いた後で戸を開けた。


「お、すまねぇ。今な?酒があるかって」


「俺もそう思って今から買いに」


「そうか。そんじゃ安いが味が確かなところ教えてやる」


戸の前に立っていた五郎は、佐助を促し酒を買いに出掛けた。


「邪魔するよ」


「あ、滝さん。今2人でお酒買いに行くって出掛けました」


「ああ、聞いてるよ。だから寝藁持ってきてやったのさ」


寒いし鍋にするかと野菜を切っていた燐に声をかけた滝は、部屋に寝藁を置く。


「酒飲んだら寝てくだろうからね。今後もあるから寝藁はふたっつこさえときな」


若夫婦なら1枚で寝てんだろと言えば燐は真っ赤になる。初々しいねぇと滝は一旦家に戻って木の棒と鍋を持ってきた。


「良いかい?今後も仕事を貰い続けんのに、ああいう客はちゃんと持て成さねぇと」


滝は簡単に作れて腹持ちも良いと鍋に野菜を入れ、持ってきた粉を練る。


「竹田汁ってぇんだよ」


ほうとう。山梨に旅行した時に食べたことあると燐は滝の料理から想像できた名前を思い浮かべた。


「最後に入れて甘みを出すと旨いんだよ」


滝は南瓜を切って入れ、後は掻き混ぜず煮るんだよと木蓋をする。


「おや丁度帰って来たみてぇだ」


顔を上げると、確かに長屋の入口の方から大きめの話し声が聞こえる。


「悪いねぇこんな貰っちまって」


「足りなくなりそうなら、具材はあるので」


並々と出来たほうとうを半分滝が持ってきた鍋に移した燐は、さっき教えて貰ったからと笑顔を向ける。


「飯の支度がまだだから助かるよ。それじゃ練ったもんは置いとくから追加で入れたら良いよ」


「え、でも」


小麦粉っぽかったけど高いんじゃ?と燐が滝を見ると滝は「粉は家にあるからね」と笑う。


「お燐とこの野菜貰ったんだから、アタシの方がもらい過ぎだ」


滝は戸を開け、帰宅した佐助に鍋を見せ簡単に説明をして五郎と隣に帰った。


「うどんにしようと思ってたんだけど、滝さんが作ってくれて」


「ん、旨そう。そろそろ来るだろうし」


燐は帰宅した佐助に寝藁を貸してくれたと言いながら準備を進める。


「本日は、不足分を持参いたした」


「さっきは、とんだ御無礼を。飯があるんでまずどうぞ。こっちは女房の…」


程なくして戸が叩かれると佐助は男に話しながら家に入れ、女房だと燐を紹介する。


「凄、才蔵さんに戻った。あ、お疲れ様です」


燐は笠を取った途端、才蔵の顔に変わったことに驚きつつ小声で告げた。


「忝ない」


才蔵は行李を背から下ろし上がり框に乗せる。佐助は先に草履を脱ぎ部屋へ促した。

明日も更新します。

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