目覚める
次に私が目を醒ました時、私はベッドに手錠で繋げられていました。
……えっ? はい? なんで!?
「どうなっているんですか!?」
私は飛び起きました。
普通、こういう時は「知らない天井です」から始まって、みんなが私の目覚めでホッとする、そういうものじゃないんですか!?
「あっ、目を醒ましたんですね」
私の叫び声に気付いて、ディアスが入ってきました。
「ディアス、私、なんでこんな目に遭っているんですか!?」
私が文句を言うとディアスはホッとしたようでした。
「良かった。香みたいですね」
「何を言っているんですか! 私以外に見えますか!?」
[師匠たちは香さんの先祖返りを警戒しているんです。だから、魔力無効化の手錠をしたんです」
あっ、そういうことですか。
「僕は説明したんですけど、師匠は疑っていたみたいで……」
「…………私自身で説明した方が良いですよね」
「もう大丈夫大丈夫なんですか? 香は三日も寝ていたんですよ」
三日!?
そういえば、体を動かす度にパキパキって、言います。
それとなんだかお腹が減ってきました。
ドラズさんに会いに行く前に食事をしたいです
「ディアス、何か食べ物はありませんか?」
「用意しますね」と言い、ディアスはパンと干し肉と水を持って来てくれました。
「すいません、今はほとんどの人が出払っているのでこんな物しかなくて……」
パンはパサパサして味気ないです。
干し肉は固くて不味いです。
水は恐らく魔法石を使った浄化水なので変な味がします。
でも、そんな粗末な食事が堪らなく、嬉しかった……
また、こうやって何かを食べられるのが夢みたいで……
「香、そんなに慌てなくても……」
そう言って、ディアスは空になったコップに水を注いでくれます。
「なんだか、今、とても生きているって気がします」
「大袈裟……でもないですよね。落ち着いたら、色々と話すことがあります」
私は最後のパンを水で流し込み、
「そうですね。さて、お腹も膨れましたし、ドラズさんやレンリスさんに会いに行きますか」
そう言い、立とうした時、手錠でベッドと繋がっていることを思い出しました。
「ディアス、もういいでしょ? 私は元に戻りましたし、手錠を外してください。ドラズさんの所へ行くまでにトイレにも行きたいですし…………」
私がそう言うとディアスは気まずそうな表情になりました。
なんだか、嫌な予感がします。
既視感に襲われます。
「僕は鍵を持っていません」
だと思いました!
「えっ、だったら、刀を貸してください。こんな手錠、ぶった切ります!」
「無理ですよ。この手錠は魔力を吸い取りますから。ほら、前に香とハヤテさんが手錠で繋がったことがあるらしいじゃないですか。今はあの時と同じ状況ですね」
そんな冷静に言わないでください!
というか…………
「なんであなたがそれを知っているんですか!?」
「リスネさんが面白そうに話してくれました。それを聞いた時、僕もその現場にいなかったのが残念だと思いました」
リスネさん、あの人は勝手に……
他の人には話してないでしょうね?
いえ、私の周りの人には一通り言っている気がしてきました。
って、過去のことはどうでもいいです!
「ディアス、私、トイレに行きたいんですけど!?」
今はそれが一番大事です。
するとディアスは「分かりました」と言いました。
何か考えがあるみたいです。
そりゃ、毎回、手錠されて恥ずかしい目に遭うなんて冗談じゃありません。
「桶を持ってきますね」
「本当に冗談じゃありませんよ!?」
「だって、ベッドは床に固定されていますから、動かせませんよ。大丈夫、知っているのは僕だけですから。誰にも言ったりしませんよ」
そういうことじゃないんですけど!?
って、どこに行くつもりですか?
ディアスは走って、部屋の外へ出て行ってしまいました。
一先ず、落ち着きましょう。
水でも飲んで落ち着きましょう。
って、これ以上、水を飲んでどうするんですか!
なんでこんな目に二回も合わないといけないんですか!?




