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商人貴族~僻地で始める国家改革~  作者: ふぃん
第5章 軍務官テュールと反乱軍ランドル
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反乱軍 (1)


「ランドルが帰ってきたぞ!」

「また鎮圧軍を追い払ってくれた!」


ランドルとライカが追撃に行っていた反乱軍をまとめて城に戻ってくると、城に残っていた兵士たちからの大歓声に迎えられた。

反乱軍の司令部がある城の中心の教会では、城をずっと守っていた仲間が両手を上げてランドルを歓迎した。


「ランドルとライカが助けに来てくれたおかげでこの城も救われた。ありがとう。」

「そんなことはない。みんなが持ちこたえて時間を稼いでくれたおかげだ。」


ランドルは首を振って謙遜し、仲間たちの頑張りを称賛する。


「反乱軍のリーダーが駆け付けてきてくれて、この城を救ってくれたんだ。本来だったらご馳走を振舞ってあげたいところなんだけれど、、、」


仲間がそこまで言って口ごもる。城に入って中心の教会まで歩いたが、汗と埃の匂いばかりで食べ物の匂いは全くしなかった。前から報告を受けているが、この城では食料の不足が深刻なようだ。

ランドルは気まずそうにしている彼の肩をポンと叩いた。


「いや、気にするな。俺の方こそ敵の食料を根こそぎ奪うはずだったんだが。敵の奴ら、食料を燃やして撤退しやがって、、」

「ランドルが気に病む必要はないよ。だけど、できるだけ早くこの状況を何とかしないといけない。」


二人は小声で話し合った。食料が不足していることが一般の兵士や町の住人たちの耳に入るのはできるだけ避けたい。

食料不足は何もこの城だけの問題ではない。反乱軍全体に言えたことであった。もっとも、食べる物に困って反乱を起こした農民たちであるから当然と言えば当然なのだが。



「ランドル大変だ!」


深刻に二人が話し合っていると別の仲間駆けこんできた。


「ユークが捕虜を殺した。」

「なんだと!?」


ランドルは思わぬトラブルに仰天して、急いで現場の広場へ駆けつけた。

広場には人だかりができて大騒ぎになっており、一人の老人が血を流して倒れている。反乱軍に占領される前の城の副長官だった男だ。この男は能力が高く、年老いて脱走の心配もなかったため、牢獄から出して事務仕事を手伝わせていた半ば自由な捕虜であった。


そして倒れている捕虜を足で踏みながら、一人の若者が勝ち誇ったように血で汚れた剣を掲げている。ユークという青年だ。ずっとランドルの部隊に所属し、この城にランドルと一緒に入ったばかりだった。


「父ちゃんと母ちゃんの仇を取ったぞ!!!!」


「よくやったユーク!」

「いいぞ」


大声で喚くユークに周囲の人間も囃し立てる。その歓声でユークはますます興奮していくようだった。


ランドルは周りの人垣を押しのけて中に入っていく。


「ユーク!」


名前を呼ぶとユークはゆっくりと顔をこちらに向けた。目は血走っており、呼吸も荒い。かなり興奮している。


「ランドルさん」

「なぜ殺した。捕虜の殺害はルール違反だ。」

「別にいいじゃないですか。だって捕虜なんだから。」

「この捕虜は能力も高く、地位も高かった。仕事をやらせるなり、王国に身代金を要求するなりたくさん使い勝手があった。」


ちょうど頭の中で王国側と交渉して捕虜と食料を交換してもらおうかと考えていたところだった。それなのに貴重な交換の弾を殺されて、ランドルは少し苛立ってくる。


「こいつはねえ!俺の村に税を取り立てに来たんだ!穀物が全然育たずに村のみんなが必死に懇願したんだよ。お願いだから税を減らしてくれって。でもこいつは取りたてやがった。俺たちが飢え死にしようがこいつには全く関係のないことだったのさ。」


ユークもランドルの苛立ちが癇に障ったのか怒気を含んだ声で言い返してくる。肩で息を始め、かえって興奮が激しくなっていった。


「こいつのせいで俺の父ちゃんと母ちゃんは死んだんだ。それ以来、俺はこいつの顔を忘れなかった。今日、この城にやって来た時にこいつを見かけた。捕虜になったくせにのうのうと生きていやがってよ。だから殺した。だから殺したんだ!」


親の仇を見つけて衝動的に殺したというのか。気持ちは分からなくはないが、もっと落ち着いて状況を見てほしかった。いまさら言っても仕方がないし、言ったところで益々興奮してしまうかもしれないが。


しかし、周囲のギャラリーはランドルの考えとは逆に考える。


「よくやったユーク!」

「殺して何が悪い!」


周囲から野次が飛んだ。もともと周りはみんな反乱軍の兵士たちだ。程度の差はあれど、ユークと境遇が似ているものがほとんどであるため、ユークにかなり同情的になる。


これ以上興奮状態の中で叱るのもリスクがあるため、ランドルは短く結果だけ伝えた。


「ユーク。牢屋に入れ。3日間反省しろ。」

「どうしてですか?俺何か悪いことしました??」

「規則は規則だ。これでも大目に見ている。」

「規則規則って。俺はねえ!親がこいつに殺され、、」


「お前は南のギース公を知っているか?」


何度も同じことを言おうとするユークを遮ってランドルは語りかけた。


「は?、、、大量の食料と引換えに解放してあげた人質ですよね。」

「あいつは俺の父親を殺した男だ。」

「えっ、、」


正確には元冒険者だったランドルの父親を兵士として徴発しようとしたが病で拒否されたため、領主への反逆罪として処刑したのだ。


「俺は反乱軍のリーダーとして常に最善の策を考える。お前たちも気持ちは分かるが少しは協力してくれ。」


足ばっかり引っ張りやがってというランドルの呆れがビンビンに伝わってくる口調に周りの人達も静かになる。自分がしたことがどれだけランドルの怒りを買ったかに気づいたのか、ユークは下を向いて目を合わせようとはしなかった。


「ユーク。さっさと牢屋に行け。3日反省してろ。」


ランドルはそれだけ言い放って教会へと戻って行った。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 職業軍人じゃないとあかん理由よねー…
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